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【特別版】中医協総会 無償提供の新型コロナ治療薬ベクルリー 保険診療との併用認める

公開日時 2020/05/08 17:30
中医協は5月8日、持ち回りで総会を開き、新型コロナウイルス感染症治療薬のベクルリー(一般名:レムデシビル)について、時限的・特例的な対応として、「保険適用前の医薬品の投与と類似するものとして評価療養に該当するものとし、保険診療との併用を認める」ことを診療・支払各側が了承した。同剤をめぐっては前日7日に、重症の「SARS-CoV-2による感染症」を効能・効果として特例承認された(関連記事)。ただし、今回の措置は同剤の流通量が限られる間のあくまで特例的な対応と位置づけており、「一般的な流通が見込まれ、当該企業から薬価収載の希望があった場合には、速やかに対応する」としている。

新型コロナウイルス感染症が世界的にパンデミックの状況にあるなかで、厚労省は特例承認されたベクルリーの「供給量は極めて限定的」と見通し、現在もギリアド・サイエンシズ社との間で調整を進めている。一方、ギリアド側も当面の間は同剤を無償提供するとしており、この間、薬価収載希望書は提出しない方針だ。このため厚労省保険局医療課は、保険医療機関で保険診療を受ける患者がベクルリーの投与を受ける場合は、時限的・特例的な対応として、承認後、保険適用前の医薬品の投与と類似するものとして「評価療養」に該当するものとし、保険診療との併用を認めることを中医協に提案。診療・支払各側が了承した。

厚労省は今月4日、さらに同剤承認後の7日付の事務連絡で、新型コロナ感染症の患者を受入れる医療機関から必要量に関する情報について、Webを通じて収集。当面は国がレムデシビルの供給を管理し、重症患者の受入れ状況などに応じて当該薬剤の医療機関への配分を行う方針を示している。

なお、アビガン(一般名:ファビピラビル)は通常時に流通する医薬品でないことから、薬価収載されていない。ただし、治療薬のない感染症への有効性等を検証する治験にかかわる診療と類似していることや、企業治験に参加する患者との公平性に配慮する必要があることから、「緊急かつ特例的な取扱い」として、保険診療との併用が認められるものとして運用されている。

◎支払側・幸野委員 患者・家族への丁寧な説明と同意求める


診療・支払各側からはこれに応じた対応の必要性を指摘する声があがった。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、日本人を対象とした臨床経験が蓄積されていないことから、「患者・家族への丁寧な説明と同意を前提により安全な使用と充分な治療の効果検証を行うべき」と指摘した。また、日本への供給量が限定的であることから、「当面の間は投与対象患者を厳選すべき」ことも強調した。

◎診療側・松本委員 医療機関の配分で体制構築求める


診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「現在実施中の治験結果など、新たな情報が得られ次第、速やかに本剤の適正使用に必要な情報が医療現場に提供されるようお願いしたい」と要望。供給量が限定的であることから、「医療機関への配分に当たって、公的な管理の下、混乱のないよう、必要な患者に適切に使用できるような体制を早急に構築するように要望する」と続けた。また、今回の承認は重症者に限られているが、同剤をめぐっては中等症の患者を対象とした臨床試験が進行中だ。そのため、「新たな知見が得られれば速やかに対象を拡大するよう、医薬・生活衛生局と連携し企業を指導するよう要望する」とした。また、今後の薬価収載についても「医療上必要な医薬品はすみやかに薬価収載することが基本」として検討を求めた。

診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)も、「今後のさらなる症例の蓄積による臨床上の有用性を十分に検証した上 で、改めて保険収載に値するかどうか検討されたい」と指摘した。
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