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慢性心不全薬エンレスト、初の3成分配合喘息薬エナジアなど8製品発売

公開日時 2020/08/27 04:50
8月26日付で薬価収載された新薬13製品のうち、新規の慢性心不全治療薬・エンレスト錠(一般名:サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物、ノバルティスファーマ)など8製品が即日発売した。

即日発売した製品の中には、初の3成分配合の気管支喘息治療薬・エナジア吸入用(インダカテロール酢酸塩/グリコピロニウム臭化物/モメタゾンフランカルボン酸エステル、ノバルティス)や、中外製薬独自のリサイクリング抗体技術が適用された初の医薬品となる視神経脊髄炎スペクトラム障害治療薬・エンスプリング皮下注(サトラリズマブ(遺伝子組換え)、中外)が含まれる。

■保存期にも使用可の経口腎性貧血薬2製品も発売

HIF-PHD阻害薬と呼称する新規の経口腎性貧血薬で、保存期と透析期の両方に使えるダーブロック錠(ダプロデュスタット、グラクソ・スミスクライン)及びバフセオ錠(バダデュスタット、田辺三菱製薬)も即日発売した。HIF-PHD阻害薬で保存期適応を持つ薬剤は両剤が初となる。

なお、即日発売した製品のうち4製品は、ノバルティスの製品だった。

薬価収載された13製品の発売日(予定、未定含む)は次のとおり。カッコ内は成分名、製造販売元。内服薬・注射薬・外用薬順、薬効分類順。

【8月26日発売】
オンジェンティス錠25mg(オピカポン、小野薬品)
薬効分類:116 抗パーキンソン剤(内用薬)
効能・効果:レボドパ・カルビドパ又はレボドパ・ベンセラジド塩酸塩との併用によるパーキンソン病における症状の日内変動(wearing-off現象)の改善
薬価:25mg1錠972.00円(1日薬価:972.00円)

末梢性の長時間作用型の新規COMT(カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ)阻害薬。1日1回投与製剤で、レボドパ含有製剤と併用して用いる。細胞毒性を示すことなく、末梢選択的に高いCOMT阻害作用を示す。プラセボと比較して、レボドパ(ドパミン前駆体)のバイオアベイラビリティを最大65%まで増加させ、用量依存的にOFF時間を短縮するとされる。同種同効薬にコムタン錠がある。

エンレスト錠50mg、同錠100mg、同錠200mg(サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物、ノバルティスファーマ)
薬効分類:219 その他の循環器官用剤(内用薬)
効能・効果:慢性心不全。ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る
薬価:50mg1錠65.70円、100mg1錠115.20円、200mg1錠201.90円(1日薬価:403.80円)

ネプリライシン阻害薬サクビトリルと、ARBバルサルタンを含有し、1日2回投与で、機能不全に陥った心臓の負荷を軽減する。大塚製薬とコ・プロモーションする。

アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)と呼称するクラスの新薬。心臓に対する防御的な神経ホルモン機構(ナトリウム利尿ペプチド系)を促進すると同時に、過剰に活性化したレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)による有害な影響を抑制することで作用を発揮する。

ダーブロック錠1mg、同錠2mg、同錠4mg、同錠6mg(ダプロデュスタット、グラクソ・スミスクライン)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:腎性貧血
薬価:1mg1錠105.40円、2mg1錠185.80円、4mg1錠327.40円、6mg1錠456.10円(1日薬価:457.00円)

低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PHD)阻害薬と呼称する新クラスの薬剤。慢性腎臓病(CKD)患者では、赤血球産生を促すホルモンであるエリスロポエチンが十分に産生されないため貧血がよくみられる。HIF-PHD阻害薬は、低酸素(酸素欠乏)で生じる生理学的作用と同様に、骨髄での赤血球産生を促すことで腎性貧血に効果をもたらす。

同剤は保存期と透析期の腎性貧血に使用でき、保存期適応を持つHIF-PHD阻害薬としては同剤と、この日に薬価収載・即日発売したバフセオ錠が1番手となる。ダーブロックは1日1回投与で使うが、用法・用量が▽保存期慢性腎臓病▽保存期で赤血球造血刺激因子(ESA)製剤からの切り替え▽透析患者――のそれぞれで規定されており、この点がバフセオと異なる。

ダーブロックはESA製剤ネスプを手掛ける協和キリンが販売し、GSKと協和キリンが共同して情報提供・収集活動を行う。

バフセオ錠150mg、同錠300mg(バダデュスタット、田辺三菱製薬)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:腎性貧血
薬価:150mg1錠213.50円、300mg1錠376.20円(1日薬価:457.00円)

低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PHD)阻害薬と呼称する新クラスの薬剤。慢性腎臓病(CKD)患者では、赤血球産生を促すホルモンであるエリスロポエチンが十分に産生されないため貧血がよくみられる。HIF-PHD阻害薬は、低酸素(酸素欠乏)で生じる生理学的作用と同様に、骨髄での赤血球産生を促すことで腎性貧血に効果をもたらす。

保存期と透析期の腎性貧血に使用でき、保存期適応を持つHIF-PHD阻害薬は同剤と、この日に薬価収載・即日発売したダーブロック錠が1番手となる。バフセオの用法・用量は1回300mgを開始用量として、1日1回経口投与する。以後は患者の状態に応じて投与量を増減するが、最高用量は1日1回600mgとする。保存期、透析期とも同じ用法・用量となる。

バフセオの製造販売元の田辺三菱は透析領域の製品を有していないことから、透析領域に強みを持つ扶桑薬品とコ・プロモーションする。

タブレクタ錠150mg、同錠200mg(カプマチニブ塩酸塩水和物、ノバルティスファーマ)
薬効分類:4291 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
薬価:150mg1錠5055.50円、200mg1錠6573.50円(1日薬価:2万6293.80円)

経口MET阻害薬。MET(間葉上皮転換因子)のリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することで、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異を有する非小細胞肺がんに対して腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。MET遺伝子エクソン14スキッピング変異を有する非小細胞肺がんの国内患者数は約5000人と推測されている。同種同効薬にはテプミトコ錠がある。

エンスプリング皮下注120mgシリンジ(サトラリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬)
薬効分類:639 その他の生物学的製剤(注射薬)
効能・効果:視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防
薬価:120mg1mL1筒153万2660円

pH依存的結合性ヒト化抗IL-6 レセプターモノクローナル抗体。中外独自のリサイクリング抗体技術が適用された初の医薬品。

視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)は視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患で、生涯にわたって衰弱を引き起こす。繰り返す再発により、神経の損傷や障害が蓄積される。症状として視覚障害、運動機能障害などが現れる。同剤はNMOSDの病態に深くかかわっているとされるIL-6シグナルを阻害することで、NMOSDの再発を抑制することが期待されている。

アテキュラ吸入用カプセル低用量、同カプセル中用量、同カプセル高用量(インダカテロール酢酸塩/モメタゾンフランカルボン酸エステル、ノバルティスファーマ)
薬効分類:229 その他の呼吸器官用薬(外用薬)
効能・効果:気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
薬価:低用量1カプセル157.80円(1日薬価:157.80円)、中用量1カプセル173.10円、高用量1カプセル192.20円

長時間作用性β2刺激薬(LABA)のインダカテロール酢酸塩が新有効成分となる。モメタゾンは吸入ステロイド薬(ICS)で、同剤はICS/LABA配合薬。3規格ともインダカテロールは150μgを含有し、同カプセル低用量はモメタゾンとして80μg、同カプセル中用量は同160μg、同カプセル高用量は同320μg――がそれぞれ含有されている。3規格とも1日1回、専用の吸入用器具を用いて吸入する。

エナジア吸入用カプセル中用量、同カプセル高用量(インダカテロール酢酸塩/グリコピロニウム臭化物/モメタゾンフランカルボン酸エステル、ノバルティスファーマ)
薬効分類:229 その他の呼吸器官用薬(外用薬)
効能・効果:気管支喘息(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入β2刺激剤及び長時間作用性吸入抗コリン剤との併用が必要な場合)
薬価:中用量1カプセル291.90円(1日薬価:291.90円)、高用量1カプセル333.40円

長時間作用性β2刺激薬(LABA)のインダカテロール酢酸塩が新有効成分となる。既承認成分のグリコピロニウムは長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、モメタゾンは吸入ステロイド薬(ICS)――で、同剤はICS/LAMA/LABAによる3成分配合吸入薬となる。COPD適応のICS/LAMA/LABA配合吸入薬はビレーズトリエアロスフィアとテリルジーがあるが、気管支喘息適応ではエナジアが初となる。

エナジアは1日1回、専用の吸入用器具を用いて吸入する。2規格ともインダカテロール150μg、グリコピロニウム50μgを含有する。そして、同カプセル中用量はモメタゾン80μg、同カプセル高用量はモメタゾン160μgを含有する。

【8月中に発売予定】
サークリサ点滴静注100mg、同点滴静注500mg(イサツキシマブ(遺伝子組換え)、サノフィ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:再発又は難治性の多発性骨髄腫
薬価:100mg5mL1瓶6万4699円、500mg25mL1瓶 28万5944円(1日薬価:2万425円)

CD38 受容体の特異的なエピトープを標的とするモノクローナル抗体製剤。多発性骨髄腫(MM)細胞の細胞膜上に発現するCD38に結合し、MM細胞に対して抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、補体依存性細胞傷害(CDC)活性ならびにアポトーシスを誘導することなどにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。ポマリドミド、デキサメタゾンと併用して使う。なお、CD38を標的とする抗体製剤にはダラザレックスがある。

【9月中に発売予定】
イルミア皮下注100mgシリンジ(チルドラキズマブ(遺伝子組換え)、サンファーマ)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(注射薬)
効能・効果:既存治療で効果不十分な尋常性乾癬
薬価:100mg1mL1筒48万7413円(1日薬価:5803円)

ヒト型抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤。同剤が結合するIL-23(インターロイキン-23)は自己免疫性炎症疾患に関与する17型ヘルパーT細胞の維持及び活性化に関与するサイトカイン。同剤がIL-23に結合することでIL-23とIL-23受容体との結合を阻害し、炎症性サイトカイン及びケモカインの遊離を抑制する。

【近日中に発売予定】
メーゼント錠0.25mg、同錠2mg(シポニモドフマル酸塩、ノバルティスファーマ)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:二次性進行型多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制
薬価:0.25mg1錠1083.50円、2mg1錠8668.00円(1日薬価:8668.00円)

スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体調節薬。リンパ球上のS1P受容体に作用して末梢血中のリンパ球数を減少させることで、自己免疫反応に関与するリンパ球の中枢組織への浸潤を阻止し治療効果を示すと考えられている。

多発性硬化症(MS)は臨床経過に基づき、急性増悪(再発)と寛解を繰り返す再発寛解型(RRMS)、RRMSとしてある程度経過した後に、再発の有無にかかわらず障害が徐々に進行する二次性進行型(SPMS)、発症時から急性増悪(再発)がなく進行性の経過を呈する一次性進行型(PPMS)の3病型に分類される。メーゼントはSPMSに用いる。

フェインジェクト静注500mg(カルボキシマルトース第二鉄、ゼリア新薬)
薬効分類:322 無機質製剤(注射薬)
効能・効果:鉄乏性貧血
薬価:500mg10mL1瓶6078円

通常、成人に鉄として1回あたり500mgを週1回、緩徐に静注または点滴静注で用いる。総投与量は、患者の血中ヘモグロビン値及び体重に応じるが、上限は鉄として1500mgとする。経口鉄剤が服用できない場合や、多量の出血などで鉄の損失が多く、経口剤では補充が不足する場合などに用いるという位置づけ。

【発売日未定】
バクスミー点鼻粉末剤3mg(グルカゴン、日本イーライリリー)
薬効分類:249 その他のホルモン剤(抗ホルモン剤含む)(外用薬)
効能・効果:低血糖時の救急処置
薬価:3mg1瓶8368.60円

低血糖時に点鼻で処置するタイプは国内初となる。低血糖の際、ブドウ糖を含む飲料水をとるが、ブドウ糖を口からとれないなど患者本人が対応できない場合は、家族など周りの人がグルカゴンを注射して対処する。バクスミーは低血糖の際、患者本人や周りの人が点鼻で使うイメージとなる。
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