MR認定センター MR総数2742人減の5万7158人 直近2年間で5000人超減少 20年版MR白書
公開日時 2020/11/02 04:52
MR認定センターは11月2日、「2020年版MR白書」を公表した。2020年3月31日時点のMR数は5万7158人となり、前年に比べて2742人減少した。単年度の減少数は過去最高。MR数は2013年の6万5752人をピークに毎年減少している。製薬各社が実施した早期退職者優遇制度なども影響し、直近2年間の合計減少数が5000人を超えたことも分かった。一方でCSOに所属するコントラクトMRは前年度に比べて303人増加し、総数は3917人となった。
調査は製薬企業185社(製薬協加盟67社、GE薬協加盟34社、その他87社:製薬協・GE薬協両加盟企業あり)、CSO14社、卸1社に調査票を配布し、3月末時点のMR数や継続教育などについて回答を求めた。調査期間は20年3月~8月。回収率100%。
◎内資系1992人減、外資系1052人減 CSOのコントラクトMRは303人増
MR数は5万7158人で前年度実績の5万9900人から2742人減少した。MR数の内訳は、認定証取得者が5万6058人(認定証取得率98.1%)。内資系は3万3463人(140社)で1992人減、外資系は1万9711人(45社)で1052人減、CSOは3917人(14社)で303人増、卸企業は67人(1社)で1人減だった。なお同調査結果についてMR認定センターは企業ごとに決算期が12月期、3月期など異なるため、MRの増減が決算月により影響を受ける可能性があるとしている。このほか、支店長、部長、課長、グループマネージャーなどの「管理職」は8717人(認定証取得率96%)で前年度に比べて537人増加した。
◎MR数減少の背景 収益モデルに変化 デジタルチャネル活用した情報提供活動
MR数減少の傾向は、ミクス編集部が行っているMR数調査と同じ傾向を示している。この背景には製薬各社がここ数年間で実施した早期退職優遇制度の影響が大きい。2000年代初頭にSOV(シェア・オブ・ボイス)型のMR活動でブロックバスターに成長させた生活習慣病薬が2015年以降相次いで特許切れを起こし、後発品中心の低薬価市場に置き換わった。その一方で研究開発型企業の主力品がオンコロジー、CNS、レアディジーズなどにシフトしたことから、従来のようなコール数ベースのMR活動から、デジタルコンテンツをオムニチャネル型で情報発信する「MR×e」型に切り替わったことも影響している。加えて、20年4月以降は新型コロナウイルス感染症の影響で医療機関から訪問自粛要請をMRが受けるなど、さらなるチェンジが求められている。MR数の増減は、こうした外部環境の変化や医療現場・医療者のマインドチェンジ、さらに政府のデジタル化社会の実現などの影響を引き続き受けると想定され、各社ともMR数の適正化の名のもとに減少傾向がさらに進むものと思われる。
◎研修成果の確認 「MRの日報・事例レポートのフィードバック」44.5%
MR白書では「MRの継続教育」について各社に調査した。「研修の成果を確認するために現在取り組んでいるもの(複数回答)」との調査項目に対し、知識習得度テストやロールプレイでのレベル確認などが上位項目に入った。また、「MRの日報・事例レポートを研修でフィードバックする」が全体の44.5%。「マネージャーのMR同行レポートから成功事例を収集・共有」が39.0%、「医師・薬剤師・MSへモニター調査を行う」が10.0%となっていた。
一方で「研修の成果を確認するために今後取り組みたいもの(複数回答)」の上位には、「マネージャーのMR同行レポートから成功事例を収集・共有」が34.5%、「成功事例についてマネージャーに定期的なアンケート調査を行う」が31.5%、「医師・薬剤師・MSへモニター調査を行う」が30.5%となった。厚労省は昨年4月に「販売情報提供活動ガイドライン(GL)」を施行し、MR活動における業務記録の作成・管理やMR教育などを規定した。今回の白書では販売情報提供活動GLについて直接質問していないが、GL徹底やMR活動の実効性について教育研修担当者にとっても重要視されることを浮かび上がらせている。