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ミクス調査 MR活動への「AI活用」企業3割 面談成果分析、施策一次検証、時間軸重視の戦略型組織へ

公開日時 2025/06/03 05:31
ミクス編集部は製薬企業59社の協力を得て行った「MR数調査2025年版」から、MRの活動形態を分析した。今回の調査では初めてMR活動への「AI活用」について回答を求めた。その結果、約3割の企業がMR活動にAIを組み入れていることが分かった。先行的な活用事例では、「AIによるMRの面談分析」、「活動の効果検証」、「ターゲット先の情報収集」まで幅広い。一方、自社内のMR数削減を見据え、AIをMR一人当たり生産性や1回あたり面談(ハイブリッド型)の強化、医師や医療者とのエンゲージメント向上などの実現を目的に投資を集中化する傾向も垣間見えた。

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◎AI活用 チャットボット、レコメンド機能が上位にランク

今回の調査では、MR活動におけるAI活用事例について回答を求めた。多かった回答は「AIを用いたチャットボットの導入」と「AIを用いたレコメンド機能を導入・強化」で、ともに全体回答率は27.3%となった。AIチャットボットは、本社のコールセンターで利用されることが多く、現場のMRが医療者との面談の中で、“AIチャットボット”を紹介し、医療者に利用を促している。スペシャリティな革新的新薬が数多く上市されている状況から、疾患理解や患者インサイトなどの周辺情報から、診断・予防、さらには当該薬剤の有害事象への対処方法などの問い合わせにAIがリアクティブに回答するなど、MRの情報提供活動を側面的に支援することも想定されている。

◎AI用いたレコメンド機能 面談前の事前確認に活用 施策の検証や改善にどう活かすか

一方、「AIを用いたレコメンド機能の導入・強化」は、回答した内資系企業23社中6社(26.1%)、外資系企業6社中3社(50.0%)が取り組んでいた。主な活用事例は、社内に蓄積したデータ(製品情報、顧客・エリアデータや売上情報など)をAIが解析し、MRが面談する際に、医師の嗜好や興味に沿った情報提供内容を事前に確認するのに役立てるというもの。医師とMRの1回あたりの面談機会を最大化できると期待し、導入するケースが増えている。一方で課題も見えた。医師のリアクションを正確かつ迅速にMRが本社に報告できるかだ。AIは大量のデータをリアルタイムに解析してこそ機能を発揮する。レコメンド機能はAI以前からMR活動に活用されてきたが、今後はMR側のフィードバックを本社が正確にキャッチアップし、次の戦略にアジャイルに反映することができるかが求められそうだ。

本社のマーケティング部門も、注力製品の戦略の一次検証や、検証結果を踏まえた戦略の修正・見直しなどをアジャイルに実行するためのデータ管理やMRとの現場連携がこれまで以上に求められる。AI機能を導入することで、いかに現場との情報連携を迅速かつタイムリーに行うための社内の組織体制を整備できるかが新たな課題として浮上している。

◎AIとの“壁打ち”で自信をもって医師との面談に臨む 面談の事前準備に効果も 

このほか、「AIを活用したMRの研修(ロールプレイ)ツール導入」は全体回答率で21.2%だった。社内データをAIに読み込ませ、AI医師を相手に特定製品のロールプレイをMRと行うというもの。「壁打ち」と呼ばれるAIとのロールプレイを行うことで、医師との面談時に自信をもって正確な情報を提供することができる。加えて、予期しない医師からの質問にも動じることなく正確な情報を伝えることができるなど、MR自身の教育効果も高まると期待している。

また、AIロールプレイツールはMRのタブレット端末で利用できるため、病院訪問のスキマ時間を有効活用できるほか、営業車の中で自己学習できるなど、MR一人ひとりのスキルアップ効果も期待されている。こちらのツールは、今後急速に普及するものと見られている。

◎MRのスキルアップや成功体系向上に期待

AI活用については自由コメントでも興味深いものがあった。「AIによる面談分析を行う」というもので、こちらは複数社で実施していることが本誌取材から明らかになっている。MR活動も事前準備だけでなく、面談後の効果検証にAIを活用するなど多様化しており、MRのスキルアップや成功体系向上、さらには生産性向上に応用する企業が今後増えそうだ。

◎Web講演会視聴後フォロー 全体65.9%

2024年4月実施の「医師の働き方改革」への対応も調査した。その結果、ミクス編集部が想定した通り「これまで以上にWeb講演会の視聴後のフォローを重視するよう徹底した」がトップで、全体回答率は65.9%を占めた。次いで、「これまで以上にデジタル情報を活用するよう徹底した」と、「担当医療機関(病院・診療所)ごとの情報収集を行わせた」がともに全体回答率50.0%で並んだ。

「これまで以上に1回あたりの面談に際して医師の疑問や疑念に答える活動を行うよう徹底した」は全体回答が40.9%。「これまで以上にWeb講演会の視聴を依頼するよう徹底した」が全体回答で38.6%と続いた。
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