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流改懇 コロナ禍の医薬品流通 蓋を開けてみれば「例年並み」 毎年薬価改定へ外堀埋まる

公開日時 2020/11/25 04:52
厚生労働省医政局経済課は11月24日の「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」に、2020年9月時点の妥結率が95.0%、単品単価取引の割合が95.2%(チェーン薬局)とのデータを示した。製薬業界は、新型コロナウイルス感染症の影響や、医薬品卸の談合疑惑の影響で、“平時と異なる”ことを強調してきたが、蓋を開けてみれば「例年並み」の数値となった。薬価調査の回収率も高く、12月上旬にも公表される乖離率を残し、毎年薬価改定(薬価中間年改定)の実施に向けて完全に外堀が埋まった格好だ。この日の流改懇では、交渉時期の遅れや、取引期間の短縮化など、イレギュラーな取引状況も指摘された。流改懇の三村優美子委員(青山学院大名誉教授)は、「数字については注意して扱っていただきたい」と取りまとめた。

2020年9月時点の妥結率は95.0%。未妥結減算導入後の2018年9月の91.7%、19年9月の99.6%から大きな変動は見られなかった。内訳をみると、「200床以上の病院」は96.7%、「200床未満の病院」が72.2%、「診療所」が87.8%、「チェーン薬局(20店舗以上)」が97.5%、「その他の薬局」が98.0%だった。単品単価の割合は、20年度上期で95.2%。「200床以上の病院」は83.3%、「調剤薬局(20店舗以上)」では95.2%だった。

◎卸連・折本委員「価格交渉は大変厳しい状況だった」 医療機関経営に「かなり配慮した」

折本健次委員(日本医薬品卸売業連合会理事)は、新型コロナの影響を説明し、「例年とは全く異なる状況で、価格交渉は大変厳しい状況だったと言わざるを得ない」と訴えた。折本委員は、医薬品卸47社を対象に実施した調査結果を紹介。価格交渉の期間について「例年並み」との回答は40%、交渉回数についても例年並みは42%と半数以下であると説明した。また、医療機関等の経営状況に「かなり配慮した」との回答が28%となるなど、「配慮した」との回答が9割近いことなどを紹介した。

これに対し、長坂良治委員(日本製薬工業協会流通適正化委員会副委員長)は、「コロナ禍で単品単価が厳しい状況になってしまっているのではないかと懸念している」と表明。岩下圭二委員(日本製薬工業協会流通適正化委員会副委員長)は、「数字だけでは理解されないような内容が、医療機関への“配慮”という所に含まれていたと理解していいのか」と尋ねるなど、製薬業界側は指摘。折本委員は、顧客のために妥結を最優先したほか、価格交渉回数や内容の希薄さなどで、価格交渉の厳しさがあったことも強調した。森昌平委員(日本薬剤師会副会長)も、「川上から川下まで新型コロナ対応を最優先としていたため、そのなかで結果は出たが、判断するのは難しい」との見方も示した。

一方で、折本委員は川下だけでなく、「一次売差マイナスという深い問題がある。スペシャリティと後発品との乖離が大きいのも悩みだ。一次売差マイナスの是正も真剣に考えていかないといけない」と川上に課題があるとの認識を示した。

◎川上取引 仕切価率0.1ポイント上昇 一次売差マイナスは若干ながら拡大傾向

川上取引については、一次売差マイナスが拡大傾向にあることも指摘された。2019年度の推移をみると、納入価率は横ばいで、割戻し率は0.1ポイント縮小したが、仕切価率は0.1ポイント上昇しており、一次売差マイナスは若干ながら拡大傾向にある。

厚労省がメーカーを対象に行ったアンケートによる、2020年4月時点の仕切価の見直し・変更状況をカテゴリー別にみると、「新薬創出加算品」では引上げが12品目(10社)、引下げが13品目(3社)あった。「特許品」では引上げが14品目(7社)、引下げが10品目(5社)、長期収載品では引上げが124品目(20社)、引下げが151品目(23社)だった。一方、後発品は引上げが2685品目(44社)、引下げが1264品目(38社)だった。2019年10月時点と比べると、後発品では19年に比べ引上げの品目が縮小している(19年10月時点では引上げは3582品目)のに対し、それ以外の先発品では「引き上げる見直しが増え、引き下げる見直しが減っている」状況にある。

◎製薬協・土屋委員 企業の“努力”へ理解を求める


土屋直和委員(日本製薬工業協会流通適正化委員会委員長)は、流通改善ガイドラインなどに則り、「卸機能の適切な評価を行い、割戻しを定期的に見直している。割り戻しのうち、仕切価を修正するようなものについては仕切価への反映などの対応をしている」と述べ、理解を求めた。特に、2019年4月について、「薬価改定がなかったにもかかわらず、割戻しの運用基準の変更、仕切価の見直しを実施した会社もある」と強調。その後の19年10月の消費増税改定や20年4月の改定でも、「適切な割戻し、仕切価等の設定を行い、流通改善に向け取り組んでいる」と企業の“努力”への理解を求めた。

◎日医・宮川委員 「数値としてファクトとして出るところまで整備して欲しい」

これに対し、宮川政昭委員(日本医師会常任理事)は、「方向性だけでなく、具体的に数字として見えなければやったことにならないというのが世の中の常識だ。数値としてファクトとして出るところまで是非速度をあげて整備していただくことが重要だろう。でなければやっている意味がない。このままでは、だらしないと言われても仕方ない」と苦言を呈した。土屋委員は、前述の主張を繰り返したうえで、「メーカーも少しずつではあるが、取り組んでいる。ただ、ご指摘の通りのところもあるので、流通当事者の意見も聞きながら少しずつ進めたい」と応えた。

◎議論取りまとめに疑義 小山委員「全く横ばいだ。川上が改善されていない」

この日の議論の取りまとめでも、「薬価改定で一定の取り組みが進められていると評価する」とした案に対し、医療従事者から厳しい声があがった。小山信彌委員(日本私立医科大学協会病院部会担当理事)は、「さんざん議論しているのに、2015年度以降、全く横ばいだ。川下は未妥結減算などペナルティがあるのに、川上が改善されていない。よくやったということではないと疑問だ」と指摘した。宮川委員も、「努力というのではダメだ。ファクトを出さなければ、評価という言葉は使うべきではない。しっかりした文言で残さなければ、流改懇の意味がない」と述べた。こうした議論を踏まえ、製薬企業の努力を“評価する”という文言の盛り込みは見送られた。

また、取りまとめで、「川上ではコロナ禍の影響はさほど大きくなかったと聞いている」ことも三村座長は指摘した。

このほか、平川秀紀委員(全国自治体病院協議会常務理事)は、「最近、自主回収の頻度が非常に高い」と指摘。安定供給に資する制度設計を求めた。
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