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製薬企業の医師カバー率 コロナ前に比べ半減 MR訪問でのカバー激減、デジタル主流に

公開日時 2020/12/24 04:50
製薬企業による医師カバー率(MR訪問やインターネットによる情報提供を受けた医師の割合)が新型コロナの流行後に、流行前と比べて半減したことがわかった。チャネル別では、「MR訪問のみ」で情報を得たとの医師がコロナ流行前は約5割いたが、流行後は2割以下に激減。「MR訪問+ネット」で情報を得たとの医師も、訪問の減少により減った。一方で、「ネットのみ」で情報を得たとの医師は、コロナ流行前の約2割が流行後は約7割にまで拡大した。医療現場への情報提供手段としてのデジタル活用は急速に進んだといえそうだが、カバー率自体は半減しており、MR訪問によるインパクトの減少をデジタル活用で補うところまではいっていないようだ。

文末の「関連ファイル」に、医師カバー率上位10社のチャネル別カバー率や、一部の診療科での医師カバー率上位3社などの資料を掲載しました。会員のみダウンロードできます。2週間の無料トライアルはこちら

この調査は、ヘルスケア領域専門の調査会社である社会情報サービス(通称:SSRI)とエムスリーが実施したもの。両社は毎年5~8月に2万人以上の医師の協力を得て、約400疾患の診療の有無や診療患者数を調査し、大規模データベース「PatientsMap」をまとめている。2020年日本版の調査は5月20日~8月28日に実施。エムスリーの会員医師のうち2万196人が調査に協力した。

なお、インターネットによる情報提供にはeメール、リモート面談、ウェブ講演会、自社サイト/サードパーティによる情報提供が含まれる。

■上位10社でカバー率減少

医師カバー率の上位10社は20年調査、19年調査、18年調査で順位の変動はあるものの、10社の顔ぶれはこの3年間変わらない。

20年調査(n=20,196)のカバー率1位は武田薬品(情報提供を受けた医師数4727人、カバー率:23.4%)、2位は第一三共(4691人、23.2%)、3位はアステラス製薬(4557人、22.6%)、4位はファイザー(4346人、21.5%)、5位はMSD(4313人、21.4%)、6位はエーザイ(4272人、21.2%)、7位は大塚製薬(4108人、20.3%)、8位はアストラゼネカ(3862人、19.1%)、9位はグラクソ・スミスクライン(3739人、18.5%)、10位は小野薬品(3472人、17.2%)――だった。

しかし、全10社とも20年に、19年、18年と比較して、カバー率は10~20ポイント減らした。例えば、武田のカバー率は20年23.4%、19年38.1%、18年42.3%――、第一三共は同23.2%、41.2%、43.1%――、アステラスは同22.6%、38.4%、39.8%――、ファイザーは同21.5%、35.8%、35.4%――といった具合で、全社同様の傾向だった。

■「ネットのみ」で情報得た医師割合 1位は武田 2位はファイザー

次に、「MR訪問のみ」「MR訪問+ネット」「ネットのみ」――のどのチャネルで情報を得たのかを聞いた結果を見てみる。企業ごとに、情報提供を受けたと回答した医師数を母数として、各チャネルの割合を算出した(チャネル合計が100%となる)。

10社の傾向としては、コロナ前の19年や18年は、「MR訪問のみ」で情報を得たとの医師割合は約5割、「MR+ネット」は2~3割、「ネットのみ」は2割~3割――との状況だった。これが20年は「MR訪問のみ」で情報を得たとの医師割合は1~2割、「MR+ネット」は1割強、「ネットのみ」が7割前後――となった。「MR訪問のみ」で情報を得た医師は激減し、「ネットのみ」で情報を得た医師が急激に増えたことがわかる。

ちなみに、10社のうち、20年に「ネットのみ」で情報を得たとの医師割合が7割を超えたのは、武田薬品(73.3%)、ファイザー(76.0%)、MSD(74.1%)、エーザイ(71.9%)、小野薬品(71.0%)――の5社だった。

「MR訪問のみ」で情報を得たとの医師割合は、大塚の20.5%を除く9社で2割を下回った。最も低かったのはファイザーの11.8%だった。

この調査結果を分析したSSRIは、「20年になってから製薬企業の活動が、これまでのMR訪問中心の活動からネットでの活動に切り替わったことが確認できた」とし、「COVID-19の影響によって、一般企業や消費者だけでなく、医療の現場への情報提供についてもデジタル化が急速に進んだことを裏付けた」としている。

■5診療科でカバー率50%超えの企業あり

PatientsMapでは35診療科別の分析もできる。注力領域での自社や競合企業の医師カバー率は気になるところだろう。そこでSSRIに、診療科別に各企業のカバー率を算出してもらったところ、5診療科でカバー率が5割を超えた企業があることがわかった。

具体的には呼吸器内科(n=668)でカバー率1位のアストラゼネカ(カバー率52%)、糖尿病/内分泌科(n=577)で1位の日本イーライリリー(51%)、乳腺外科(n=153)で1位のアストラゼネカ(50%)、眼科(n=748)で1位の参天製薬(65%)、泌尿器科(n=677)で1位のアステラス(50%)――となる。各社とも当該診療科を注力領域のひとつに位置付け、主力品を投入している。
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