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新薬薬価収載 がん悪液質薬エドルミズなど3製品が即日発売 片頭痛薬エムガルティは26日

公開日時 2021/04/22 04:52
4月21日付で薬価収載された新薬11製品のうち、初のがん悪液質治療薬エドルミズ錠(一般名:アナモレリン塩酸塩)など3製品が即日発売した。片頭痛治療で初の抗体製剤のエムガルティ皮下注((ガルカネズマブ(遺伝子組換え))は、製造販売元の日本イーライリリーが本誌取材に、4月26日に発売予定と説明した。

即日発売した製品は、▽エドルミズ▽慢性リンパ性白血病治療薬カルケンスカプセル(アカラブルチニブ)▽間質性膀胱炎治療薬ジムソ膀胱内注射液(ジメチルスルホキシド)――となる。

4月23日に遺伝性血管性浮腫(HAE)発作抑制薬オラデオカプセル(ベロトラルスタット塩酸塩)が発売予定。26日にはエムガルティとムコ多糖症II型治療薬ヒュンタラーゼ脳室内注射液(イデュルスルファーゼ ベータ(遺伝子組換え))の2剤がそれぞれ発売する予定だ。

薬価収載された11製品の発売日(予定、未定含む)は次のとおり。カッコ内は成分名、製造販売元。内服薬・注射薬・外用薬順、薬効分類順。

【4月21日発売】
エドルミズ錠50mg(アナモレリン塩酸塩、小野薬品)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:非小細胞肺がん、胃がん、膵がん、大腸がんにおけるがん悪液質
薬価:50mg1錠 246.40円

グレリン様作用を有する薬剤。グレリンは成長ホルモン(GH)放出促進因子受容体タイプ1aの内因性アゴニストとして同定されたペプチドホルモンで、主に胃で産生され、GH分泌促進、食欲亢進、脂肪生成促進などの生体内エネルギー代謝を調節する。

通常、成人にはアナモレリン塩酸塩として100mgを1日1回、空腹時に経口投与して用いる。なお、用法・用量に関する注意事項として、投与開始から3週間をめどに効果が認められない場合は原則、投与を中止する。

がん悪液質は、がん患者において通常の栄養サポートでは完全には回復しない持続的な体重(特に筋肉量)減少を特徴とする複合的な代謝異常のこと。がん化学療法への忍容性の低下やQOLの著しい低下などを生じ、予後に影響する。

カルケンスカプセル100mg(アカラブルチニブ、アストラゼネカ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)
薬価:100mg1カプセル 1万5202.20円(1日薬価:3万404.40円) 

ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬。B細胞に発現するB細胞受容体(BCR)の下流シグナル伝達分子であるBTKと結合し、BTKのキナーゼ活性を阻害することでB細胞性腫瘍の増殖などを抑制すると考えられている。再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(CLL)に対するBTK阻害薬にイムブルビカがあり、カルケンスは2番手となる。

ジムソ膀胱内注入液50%(ジメチルスルホキシド、杏林製薬)
薬効分類:259 その他の泌尿器生殖器官薬(外用薬)
効能・効果:間質性膀胱炎(ハンナ型)の諸症状(膀胱に関連する慢性の骨盤部の疼痛、圧迫感及び不快感、尿意亢進又は頻尿等の下部尿路症状)の改善
薬価:50%50mL1瓶 1万1210.50円

同剤は投与局所で抗炎症作用及び鎮痛作用を示すとするin vivo試験の報告があり、同剤の膀胱内投与によりこれらの作用が間質性膀胱炎の諸症状の改善に寄与すると考えられている。同剤は尿道カテーテルを用いて膀胱内に注入して用いる。

間質性膀胱炎は膀胱の非特異的な慢性炎症に伴い、頻尿、尿意亢進、尿意切迫感、膀胱痛などの症状症候群を呈する疾患。厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議に、日本病院薬剤師会が既存の療法が国内にないことから開発要望した。同会議で「医療上の必要性が高い」と判断されたことを受けて、厚労省から開発企業が募集され、杏林が開発することを表明した品目。

【4月23日発売予定】
オラデオカプセル150mg(ベロトラルスタット塩酸塩、オーファンパシフィック):
薬効分類:449 その他のアレルギー用薬(内用薬)
効能・効果:遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制
薬価:150mg1カプセル 7万4228.20円

低分子の血漿カリクレイン阻害薬。遺伝性血管性浮腫(HAE)は、補体第1成分阻害因子の欠損によりブラジキニンが過剰に産出されて発症する常染色体優性遺伝性疾患。同剤は、ブラジキニン産生酵素を特異的に阻害することで、HAEの急性発作を予防することが期待される。

HAEの急性発作治療薬としてはベリナートP静注用やフィラジル皮下注があるが、HAEの発症抑制を目的とした薬剤はオラデオが初となる。鳥居薬品が国内で販売、情報提供活動を行う。

血管性浮腫発作は通常1~5日間持続し、激しい痛みや身体障害を引き起こす。口腔咽頭や喉頭の発作に処置を施さない場合、浮腫が進行し、窒息により死に至る場合もある。

【4月26日発売予定】
エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター、同皮下注120mgシリンジ(ガルカネズマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー)
薬効分類:119 その他の中枢神経系用薬(注射薬)
効能・効果:片頭痛発作の発症抑制
薬価:120mg1mL1キット 4万5165円
120mg1mL1筒 4万4940円

片頭痛で役割を果たしていると考えられているカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に特異的に結合し、CGRPの受容体への結合を阻害するよう設計された抗CGRP抗体。片頭痛に対する初の抗体製剤。

用法・用量は、「通常、成人にはガルカネズマブとして初回に240mgを皮下投与し、以降は1か月間隔で120mgを皮下投与して用いる」となる。製造販売承認は日本イーライリリーが保持し、流通及び販売を第一三共が行い、両社で情報提供活動を実施する。

ヒュンタラーゼ脳室内注射液15mg(イデュルスルファーゼ ベータ(遺伝子組換え)、クリニジェン)
薬効分類:395 酵素製剤(注射薬)
効能・効果:ムコ多糖症II型
薬価:15mg1mL1瓶 198万1462円(1日薬価:14万1533円)

ムコ多糖症II型に対する酵素補充療法に使用される脳室内投与製剤。1回30mgを4週間に1回、脳室内投与して用いる。今回の脳室内投与製剤は、薬剤が脳室に直接送達されるため、脳および中枢神経系の細胞に到達する。このため従来の静脈注射では不可能だった精神運動発達遅滞などに対する効果が期待されている。

【発売日未定】
イグザレルトドライシロップ小児用51.7mg、同ドライシロップ小児用103.4mg(リバーロキサバン、バイエル薬品)
薬効分類:333 血液凝固阻止剤(内用薬)
効能・効果:静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制
薬価:51.7mg1瓶 5308.30円
103.4mg1瓶 9333.10円(1日薬価:1353.90円)

選択的直接作用型第Xa因子阻害薬。今回、小児適応を追加し、新たにドライシロップも追加した。

マスーレッド錠5mg、同錠12.5mg、同錠25mg、同錠50mg、同錠75mg(モリデュスタットナトリウム、バイエル薬品):
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:腎性貧血
薬価:
5mg1錠 44.30円
12.5mg1錠 93.70円
25mg1錠 165.10円
75mg1錠 405.30円(1日薬価:457.00円)

低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PHD)阻害薬。保存期と透析期の腎性貧血に使用できる。HIF-PHD阻害薬としてエベレンゾ錠(一般名:ロキサデュスタット)、バフセオ錠(バダデュスタット)、ダーブロック錠(ダプロデュスタット)、エナロイ錠(エナロデュスタット)に続く5番手となる。

アルンブリグ錠30mg、同錠90mg(ブリグチニブ、武田薬品)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
薬価:30mg1錠 4200.50円
90mg1錠 1万1598.00円(1日薬価:2万3195.90円)

ALKを選択的に阻害する次世代チロシンキナーゼ阻害薬(ALK-TKI)。ALK融合遺伝子陽性の腫瘍に対して、ALKのリン酸化を阻害することで、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。同剤はALK陽性の非小細胞肺がんの1次治療にも使える。なお、ALK陽性を判定するためのコンパニオン診断薬として、アボットジャパンの「Vysis ALK Break Apart FISHプローブキット」が承認されている。

サルプレップ配合内用液(無水硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム水和物、日本製薬)
薬効分類:799 他に分類されない治療を主目的としない医薬品(内用薬)
効能・効果:大腸内視鏡検査時の前処置における腸管内容物の排除
薬価:480mL1瓶 1011.60円(1日薬価:2023.20円)

大腸内視鏡検査を行うための腸管洗浄剤。検査当日のみ投与(当日1日)と、検査前日と当日に分けて2回投与する(2日分割)との2つの用法がある製剤は、現時点では同剤のみとなる。2回投与の場合、検査前日の夕食は投与開始の3時間以上前に終了し、夕食後は絶食(水分摂取は可)とする。朝早くから検査が必要な場合の選択肢のひとつになる。

リンスパッド点滴静注用1000mg(乾燥濃縮人α1-プロテイナーゼインヒビター、オーファンパシフィック)
薬効分類:634 血液製剤類(注射薬)
効能・効果:重症α1-アンチトリプシン欠乏症
薬価:1000mg1瓶 21万6054円

ヒト血漿から精製されたα1-プロテイナーゼインヒビターの凍結乾燥製剤。α1-アンチトリプシン(AAT)欠乏症患者に対する補充療法への使用を目的として開発された。AAT欠乏症は、AATの欠乏により、若年性に慢性閉塞性肺疾患(COPD)を発症する遺伝性疾患。主な症状は労作時呼吸困難や慢性の咳嗽・喀痰で、進行すると労作時呼吸困難の程度が悪化し、酸素吸入、人工呼吸管理が必要になる。
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