製薬協 新型コロナワクチンの知的財産放棄で米国政府と「見解異なる」
公開日時 2021/05/10 04:50
新型コロナワクチンの知的財産の放棄が議論になるなかで、日本製薬工業協会(製薬協)は5月7日、声明を出した。米国政府が知的財産の放棄支持の方向性を打ち出すなかで、「製薬協の意見とは異なるものだ」とした。ワクチンの知的財産放棄をめぐっては、欧州ではドイツでは反対を表明するなど、意見がわかれている。
製薬協は、「ワクチンの生産には生産設備、原材料調達、ノウハウ、流通、各国の薬事規制など解決すべき多くの技術的課題がある」と指摘。知的財産の放棄により、「ワクチンの生産拡大や供給が可能になるわけではなく、求められているワクチン接種をより多く、より早く行うための対処として適切なものではない」としている。
また、知的財産の放棄で同等のものができる保証がないとして、「品質が確保されない又は効果が不十分なワクチンが生産され、流通し、副反応が発生する危険性が懸念される」としている。さらに、ワクチンの原材料や資材が不足するなかで、製造をコントロールできない状況となることに懸念を表明。「原材料・資材の不足に拍車をかけ、これまで以上にサプレイチェーンが分散・混乱し、一層の供給遅延等が発生する可能性を深く憂慮する」としている。
◎「知的財産は、研究開発やアライアンスを促進するイノベーションの源泉」
製薬協は、新型コロナワクチンや治療薬の開発に向けて、企業やアカデミアなどの垣根を超えた多くのアライアンスを通じ、これまでにないスピード、規模で取り組みを進めてきたと説明。「知的財産は、研究開発やアライアンスを促進するイノベーションの源泉」としている。