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NPhA 22年度調剤報酬改定で「薬局機能の公正な評価」を要望 対物業務中心の報酬体系の抜本的見直しを

公開日時 2021/05/17 04:50
日本保険薬局協会(NPhA)は5月13日の会見で、2022年度調剤報酬改定に向けて、「患者にとってわかりやすく、薬局が果たしている機能を公正に評価する」ことを要望した。NPhAは、チーム医療のなかで、継続的な薬学管理を担い、患者や地域から求められる薬局となると表明した。その実現には、調剤報酬上の評価も、これまでの”対物業務”から、”薬局機能、薬剤師の職能発揮の評価”へと「抜本的な見直しを行う必要がある」と指摘した。また、後発品使用促進で薬剤師が果たしてきた役割を説明。相次ぐ自主回収などが、薬局・薬剤師の負担となっていると指摘し、「今後の目標に合わせた評価」を要望した。

「薬局が、外来受診時だけでなく、在宅医療、入退院時を含め、医師を中心とした地域におけるチーム医療において、その治療方針や患者情報を共有した上で、継続的な薬学的管理を担い、その治療・処方作成に持続的にかかわること、そして、これらの連携を通じて、認定薬局が真に、患者や地域から求められる薬局になることを目標としている」―。要望書の冒頭で、NPhAは目指す姿を示し、真に国民の健康な生活に貢献できる薬局となるとした。また、コロナ禍で、ワクチン接種に際しても、薬剤師としてチームに加わり積極的に関与することで、地域医療に貢献することも表明した。

◎調剤基本料「患者にとってわかりやすい体系に」


そのうえで、こうした姿の実現に合致した調剤報酬上の評価を要望した。患者や地域から選ばれる薬局となる必要性も指摘されるなかで、「患者にとってわかりやすい」調剤報酬体系を求めた。現行の調剤基本料は、チェーン薬局で点数が引き下げられており、調剤基本料1~3に加え、特例が設けられているなど、複雑化している。要望書では、患者や患者家族にわかりづらいと指摘した。

また、現行の調剤報酬では、いわゆる個店などが取得する調剤基本料1に手厚い調剤報酬体系となっている。しかし、現在薬局に求められる機能に該当する、地域支援体制加算の取得率やかかりつけ薬剤師の届出、後発品の変更率80%以上の割合、年間10件以上の在宅医療は、調剤基本料1以外を取得する薬局で取得率が高いとのデータを示した。そのうえで、「かかりつけ機能、医療機関等との情報連携、在宅医療への対応等、薬局が果たしている機能に基づき、公正に評価されるべき」と主張した。地域支援体制加算については、夜間・休日の対応実績と麻薬調剤の実績は、周囲の医療環境に影響されることから、要件の見直しも要望した。

◎後発品使用促進 自主回収や医薬品管理の負担踏まえた評価を


後発品の使用促進をめぐっては、後発品の使用割合が80%に迫っている。患者への丁寧な説明など、薬剤師も使用促進に貢献してきた。こうしたなかで、小林化工や日医工の不祥事が起きた。自主回収も相次ぐなかで、「薬局での採用医薬品の見直し等、医薬品の安定供給に努めているが、それでも国民の後発医薬品への信頼を失うほどの影響があった」と指摘した。

NPhAの会員各社に対するアンケート調査でも、後発品の使用割合を維持するための負担として、「供給停止への対応」(67.4%)がトップ。調査は不祥事が明るみになる前の20年7月に実施しているが、「販売中止、自主回収により後発品が手に入らない」、「出荷調整のため、他の後発品に変更したくても購入できない」などのコメントも寄せられたという。現時点ではさらに負担感が増していることが想定されるとしている。このほか、在庫医薬品の数が増えるための管理や、「変更不可」と記載された処方箋への対応などが負担となっていると指摘した。

一方で、後発品の使用促進による医療費抑制への財政効果の大きさも強調。置き換え率の低いバイオシミラーの浸透や、地域差の是正を通じた医療費適正化の余地があることも指摘。「さらなる使用促進をしていく必要があり、薬局における啓発活動や、医薬品管理等の負担を踏まえた上で、今後の目標に合わせた評価を要望する」としている。

このほか、かかりつけ薬剤師・薬局制度については、「薬剤師の勤務実態と、患者の来局タイミングのミスマッチにより、かかりつけ薬剤師がその患者の服薬指導を担当できない場合もある」として、実状を踏まえた見直しを求めた。また、20年度改定で新設された調剤後薬剤管理指導加算は、取得できるのが地域支援体制加算を届け出ている薬局のみで、対象薬剤も限定的と指摘。「個々の患者に最適な薬剤使用期間中のフォローアップを行うことは、患者の薬物治療に幅広く貢献していくものであるため、対象薬局や薬剤を限定することなく、その成果が適切に評価されるよう要望する」としている。

要望の重点事項は、①患者にとってわかりやすく、薬局が果たしている機能を公正に評価、②医薬品の安定供給と、後発医薬品のさらなる使用促進、③患者や地域医療のニーズを踏まえた、かかりつけ薬剤師・薬局制度の見直し―が柱となっている。

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