エーザイの内藤晴夫代表執行役CEOは５月12日の決算会見で、アルツハイマー病治療薬の適応取得を目指すアデュカヌマブの審査結果の受領が迫るなかで、「全神経を集中して、PDUFA Date（審査終了目標日）を迎える。いかなる状況になってもベストを尽くせる。その準備に最優先で取り組んでいる」と述べた。６月７日までに米FDAから承認審査結果を受領する予定。同社は、ADDMT（アルツハイマー病疾患修飾剤）の４剤を開発中で、「コンポジットトリートメントで、AD治療を大きく前進していきたい」と述べた。

◎抗がん剤・レンビマ　腎細胞がんのファーストライン適応取得に期待

2020年度の決算は、対前年度比7.1％減の6459億4200万円。営業利益は58.8％減の517億6600万円だった。抗がん剤・レンビマは19.7％増の1339億円を売り上げたが、計画に届かず、マイルストンに応じた受領金が前期比426億円減となったことが影響した。21年度は、28.4％増の1720億円の売上を計画する。

内藤CEOは、「キードライバーとなるのが、キイトルーダとの併用での腎細胞がんのファーストライン適応取得だ」と表明。米国などでエベロリムスの併用下でセカンドラインの適応を取得しているが、「格上げ」することでの最大化を目指す。また、前治療歴のある子宮内膜がんへのファーストライン適応については、条件付き承認（腫瘍縮小効果）から本承認（延命効果）に更新されることに期待を寄せた。米国では50年ぶりの画期的治療選択肢となる。同剤は、すでに５がん種の承認を取得済みだが、14がん種で開発が進む。内藤CEOは開発の進捗で、「2025年度の5000億レベル、これをしっかりと成し遂げていきたい」と意気込んだ。

米国では新型コロナワクチン接種が広まっていることで、「訪問制限も解除の方向が明らかになっている。抗がん剤の情報提供も本格化する時期に差し掛かっている」との見解を表明。腎細胞がんや前治療歴のある子宮内膜がん、肝細胞がん、甲状腺がんの４がん種について、「新たなラインの適応追加も含めてしっかり取り組む。通期、暦年のマイルストンも21年度はしっかりと獲得していきたい」と意気込んだ。

◎国内売上高は6.2％減　リリカの後発品上市響く

国内売上高は、6.2％減の2319億円。不眠症治療薬・ルネスタが10.3％増の139億円、抗てんかん剤・フィコンパが29.4％増の51億円を売り上げるなど、伸長。ただ、後発品が参入したことで、疼痛治療薬・リリカが24.8％減の215億円となったことなどが影響した。

【20年度の連結業績 （前年同期比）　 21年度予想（前年同期比）】
売上高 6459億4200万円（7.1％減）6810億円（5.4％増）
営業利益 517億6600万円（58.8％減） 580億円（12.0％増）
親会社帰属の純利益 421億1900万円（65.4％減） 445億円（5.7％増）

【20年度のグローバル主力製品全世界売上高 （前年同期実績） 21年度予想、億円】

レンビマ 　1339 (1119）1720
ハラヴェン 376　(402)　350
フィコンパ/Fycompa 267 (253 ) 320
メチコバール　342　（380）
アリセプト 263（349）
イノベロン/Banzel　220（254）
リリカ　215（286）
ルネスタ　139 （126）
ゾネグラン　44（45）
トレアキシン/シンベンダ　54（80）

【20年度の国内主要製品売上高 （前年同期実績） 21年度予想、億円】
ヒュミラ 520（519）460
リリカ　215（286）
ルネスタ　139（126）60
メチコバール 124（139）105
レンビマ 122 (131） 125
アリセプト 93 (133）65
ハラヴェン 85 (92）75
パリエット 79 (106）※
ケアラム　78 (64）75
エレンタール 66 (64）65　※
トレアキシン　52 (77）-
フィコンパ　51 (39）65
グーフィス　50 (36）70　※

※EAファーマ取り扱い製品
注） リリカは共同販促収入