サンドの岩本紳吾代表取締役社長は6月3日、本誌取材に応じ、日本事業の新体制を発表した。9月1日にサンドとアスペンジャパンの統合が完了し、アスペンジャパンはサンドファーマに社名を変更。サンドファーマは長期収載品を中心とした製造販売元を保持しながら、同社製品はサンドの営業部門が情報提供する。なお、両社の営業部門とマーケティング部門は今年4月に統合を終えている。組織は営業部門を全国４つのエリアに分け、新たに営業部長を配置した。サンドは、オーソライズドジェネリック（ＡＧ）など既存品と長期収載品の情報提供活動を展開する。岩本社長は、「今回の統合によって、どれだけ医療に貢献できるかが勝負だ」と語り、さらなるビジネスの成長に取り組む姿勢を明確に示した。

◎実際の処方数をみると、その先に何万人もの患者の存在が見えてくる

「長期収載品は薬価が安くなっているが、実際の処方数をみると、その先に何万人もの患者の存在が見えてくる。患者にどれだけ薬剤を通じ貢献できているかが会社の評価だと私は思っている」－。サンドとアスペンジャパンの統合に向けた決意を岩本社長は語った。

両社の完全統合により、サンドの日本事業は、ＡＧ、オンコロジー、バイオ医薬品、長期収載品という柱が揃う。岩本社長は、「両社が活動する領域がそれぞれ異なっていた。今回の統合でお互いの強みを一本化することで、益々強みを活かせる」と胸を張った。両社の営業部門はこれに先駆け、4月に統合し、さらにＭＲを含む営業部隊を、北海道・東北、首都圏、東海・関西、中四国・九州の4エリアに分けた。各エリアに営業部長も配属したところだ。

◎“役割の終わっていない長期収載品”　患者につなげるというポリシーで

長期収載品ビジネスについて岩本社長は、「約20製品の長期収載品を持っているが、その中にはＧＥ品のない薬剤がいくつもある」と指摘。“役割の終わっていない長期収載品”の代表例に免疫抑制剤・イムランをあげながら、「利益は薄くなるが、利益が出ている限りは患者に供給し続ける。患者につなげるというポリシーで長期収載品ビジネスを今後も引き続きやっていきたい」と強調した。一方、長期収載品の承継事業に意欲を示しながら、「一製品ずつ交渉できるものは扱うが、何十品目をまとめて承継するということは考えていない」と述べた。

◎ＡＧに引き続き注力　インハウス製品の安定供給・品質はグループの強みを発揮

ＡＧについて岩本社長は、「ノバルティスグループの一員であり、両社の合意が得られたものについては、サンドが発売していく考えを持っている」と表明。一方で、「（ＡＧで）他社から申し出があれば積極的にディスカッションしていきたい」と意欲を示した。さらにジェネリック品については、「グローバルでＧＥの開発を行っている。インハウスの製品も年2回の薬価追補収載に充てていきたい」と述べ、安定供給や品質面についてはグループの強みを発揮できると強調した。

◎社員が誇りをもって働ける会社を実現　長期品・ＧＥ品の情報提供は終わっていない

ＭＲの資質向上への取り組みについても聞いた。岩本社長は、「我々はグッドカンパニーを作ろうということで様々な取り組みを進めている。社員が誇りを持って働ける会社にするためには、やはり法規を守って情報提供活動しないといけない」と強調した。さらに岩本社長は、「長期収載品もＧＥ品も情報提供は終わっていると思われがちだが、そんなことはない」と言い切る。その上で、あるＭＲからのレポートを紹介してくれた。「若い医師に長期収載品の情報提供をしたら医師が食いついてきた。初めての経験です」という内容で、結果的に、その薬剤を若い医師は採用してくれたという。

このほかにも薬局の薬剤師を対象にオンコロジーセミナーを開催していることも明かしてくれた。メディカルが主体のセミナーだが、抗がん剤の服用患者に応対する薬剤師を想定し、患者の不安にどう応えるかといった内容を盛り込んでいる。

岩本社長はインタビューの最後に、改めて「長期収載品の利益は薄くなるものの、利益が出ている限りは患者に薬剤を供給し続ける。」と強調、売上や利益だけでは見えない大勢の服用患者の存在を意識した”医療への貢献“を実現できる会社に成長させたいと意気込んだ。