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日医工・岩本社長 再生フェーズ完了で決意「品質確保された医薬品の安定供給をリード」 注射剤で存在感

公開日時 2026/07/08 05:00
日医工の岩本紳吾代表取締役社長は7月7日、富山市内の日医工本社で本誌インタビューに応じ、「2026年度3月期で再生フェーズが完了した」と宣言した。同社は22年12月から事業再生ADRに基づき、経営再建の道のりを歩んできた。岩本社長は事業再生の完了はゴールでなく、「一つの節目」との受け止めを表明。「“品質の確保された医薬品の安定供給をリードする企業”という最終目標に向けた、新たなスタートだ」と力強く語った。特に国内でトップシェアを誇る注射剤で、さらに存在感を発揮する姿勢を鮮明にした。岩本社長は、「今後も社員一丸となって、注射剤の技術を向上し、生産量を増やしていきたい」と意欲を語った。

日医工岩本社長へのインタビュー一問一答は、Monthlyミクス8月号に掲載を予定しています。

◎3期連続で増収、コア営業利益増益を達成 「社員のマインドセットが変わってきた結果」

同社の2026年3月期決算は、売上高が対前年同期比7.0%増の1337億円、コア営業利益は6.2%増の74億円で、3年連続で増収、コア営業利益の増益を達成した。

岩本社長は23年3月に経営再建を託される形で社長に就任。社長就任後は経営再建の期間と重なる。岩本社長は、この期間を振り返り、「就任して一年目は社員のモチベーションを高めることに専念した」という。タウンホールミーティングを数多く開き、不安を抱える社員と向き合い、自らのメッセージを伝え続けた。“再生フェーズの完了”も、財務上のKPIだけでなく、社員のマインドセットの重要性を強調する。「(社員のマインドセットは)会社が立ち直っているという指標。今後も収益拡大は目指すが、業績が向上したのは、社員のマインドが変わってきた結果」と胸を張る。

「“日医工の製品であれば安心”、“日医工は頼りになる”という評価も成長に含まれていると思っている」と岩本社長。この考えは、医療従事者だけでなく社員にも同様だとすて、「社員が安心感を持ち、誇りをもって働ける企業にしていきたい」と語る。

◎「製造会社として立ち直ることが最重要」 生産体制と品質保証体制の強化に注力

再生の道のりを歩む中で最も注力したのが、生産体制と品質保証体制の強化だ。岩本社長は、「製造と品質に強い会社になりたいと考えた。製造会社としてしっかり立ち直ることが、将来的に立ち直るうえで、最も重要な点だと思い、それをやってきた」と強調する。実際、生産体制は強化され、出荷量が通常以上となったのは約97%(26年3月期)、限定出荷の品目数(自社事情)は3年間で88%削減され、自主回収の品目数も減るなど、実績もあげてきた。

◎アンドファーマ内28品目を統合・集約で生産最適化 品質向上で行動検知AI導入でカルチャー醸成

今後もこの方針を貫き、さらなる取組みを進める。

生産体制の最適化に向けては、アンドファーマのグループ内外での品目統合・製造所集約を推進し、生産効率とキャパシティ向上に努める方針。アンドファーマ傘下の共和薬品とは15品目の品目統合、9品目で製造を集約して承認を取得。T’sファーマとは4品目の品目統合を行った。社外との連携としては沢井製薬やニプロとの連携も進める。

品質向上に向けて、製造現場にデジタル技術やAIを導入するなど、新たな取組みも進める。記録の信頼性確保と標準作業の現場での迅速な確認を目的として、タブレットを現場に導入したほか、岐阜工場には、“行動検知AI”を取り入れた。行動検知AIとは、標準動作から外れた動作をAIが感知して通知するというもの。例えば、作業前の手洗いが十分でなければブザーが鳴り、標準動作が身につく仕組みとなっている。こうした取組みを通じて、「社員の品質に対する意識、意欲を高めていくことを目的としている」と話し、品質確保に向けた企業カルチャーの醸成にも注力する考えも示した。

◎注射剤は約1億本を供給「今後も生産数量増やす」 注射用麻酔製剤、抗菌剤市場で2割のシェアも

今後は、同社の強みである注射剤でさらに存在感を発揮していく考えだ。日医工は、先発品を含めた注射剤(輸液を除く)の販売数量シェアはトップシェアを誇る。26年3月期には約1億本の注射剤を供給している。注射用麻酔剤、抗菌剤市場で約2割を占めている。岩本社長は、「日医工の注射剤は会社の財産であり、強み。一方で、高いシェアを有しており、役割は重要になってくる。今後も社員一丸となって、注射剤の技術を向上し、生産量を増やしていきたい」と意欲をみせる。抗菌剤は海外からの輸入も多い中で、内製化による課題解決にも意欲を示す。一方で、注射剤の製造設備には投資が必要であることから、「会社としても投資はするが、日本の医療を守るうえでも、国に支援は考えてほしい」とも話した。

◎病院における注力品の口座獲得軒数が1年間で15%向上 病院DIへの情報提供注力

注射剤の価値最大化に向けて、営業組織の見直しも図った。これまでのエリア制を見直し、26年3月期に「病院部MR」を新設し、病院担当のMR体制を強化している。先発メーカーから転職してきたMRも含めた体制を構築し、日医工の製品が入っていない病院に対して注力品の情報提供を積極的に進めている。

学会スポンサードのセミナーが25年3月期の2回から10回に増加。DPC病院の訪問カバー率は約95%(25年3月期上期)から約99.5%(26年3月期下期)に向上した。この結果、26年3月期の口座獲得軒数は大幅に増加。病院における注力品の口座獲得軒数は1年間で15%アップした。

岩本社長は、「DPC以外の病院では長期収載品から処方が変わらないケースも多かったが、病院市場のシェアは着実に伸びている」と手応えを語る。「病院の薬剤部長に会うのは当然だが、DI担当の病院薬剤師の先生方に納得してもらうことが重要だ」と岩本社長。「供給量や出荷量だけでなく、薬の情報を届ける」必要性を強調する。若手の医師や薬剤師に対して、医療現場で使い慣れた薬剤の情報提供ができるのは我々だ」と語る。このために、MRの研修体制も見直した。「製品情報だけでなく、周辺疾患についての知識を身に付けてもらえるようにしている。注力品については薬剤部や医師話ができるような研修を行ってもらっている」と話し、今後のさらなる市場浸透に自信をみせた。


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