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厚労省・林経済課長 卸は川上・川下双方に「流通コスト」の理解求めよ 調整幅は地域卸の評価も

公開日時 2021/07/26 04:53
厚生労働省医政局経済課の林俊宏課長は本誌取材に応じ、医薬品の流通適正化に向け、「“医薬品の価値”には流通コストが当然、含まれている。医薬品卸自らが、流通コスト実態と必要性について、最低限、取引相手である医療機関や薬局にしっかり説明してほしい」と述べた。流通適正化に向けて川上・川下双方に対して医薬品卸が説明し、理解してもらうことが何より重要との考えを示した。厚労省が今秋にも改訂する「流通改善ガイドライン」を通じて取り組みを後押ししたい考えだ。医薬品卸の経営が厳しさを増すなかで、山間へき地や離島など条件不利地域への配送を担う地域卸を含め、医薬品卸は、「国民皆保険、フリーアクセスを成り立たせている必要な存在」との考えを表明。2022年度診療報酬改定に向け、焦点となっている調整幅についても、条件不利地域への配送など取引条件の差異を含めた卸の流通コストの調整が含まれ得るとの考えも示した。

インタビュー全文は、Monthlyミクス8月号(8月1日号)に掲載します。ミクスOnlineではこちらから
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川下取引をめぐる課題について林課長は、「薬価をベースに、一律の値引き率や値引き額を提示するような全体額での交渉を行い、それを単品ごとに落とし込むような納入価交渉が、実態としては多いのではないか。医薬品卸自らが、流通コストや管理コストを算出し、それを医療機関や薬局に提示しながら交渉するようなことは十分に行われているとは言い難い」と指摘。「実際の流通コストを算出し、個別の品目にどう割り振るか、厳密な意味で、1剤当たりの流通コストを考えるのは難しいと思うが、こうした取組みを進めていく必要がある」との考えを示した。

流通改善ガイドラインの見直し案では、「一次売差マイナスの解消に向け、卸売業者は仕切価に医薬品の価値と安定供給に必要なコストを踏まえた価格設定を行い、保険医療機関・保険薬局にその必要性と根拠を説明するなどにより、価格交渉を進める」としている。林課長は、「“医薬品の価値”には流通コストが当然、含まれている。ただ、医療機関や薬局は、こうした流通コストについて知らされていないケースが多いのではないか。毎年薬価改定の導入などで医薬品卸の経営は厳しさを増しているが、自らが実態、実状を説明しなければ物事は変わらない。医薬品卸自らが、流通コストの実態と必要性について、最低限、取引相手である医療機関や薬局にしっかり説明してほしいということだ」と述べた。

◎川上取引 リベート頼みでは「真に迫った交渉はできない」

一方、川上取引については、「川上取引も、製薬企業側が卸に対して仕切価とリベートをいわば一方的に提示しているのが実態との声もよく聞く。本来は、医薬品卸・製薬企業間で仕切価交渉があってもよさそうなものだが、実態は、リベート・アローアンスありきの川上取引での価格”提示”となっている」との見方を示した。

リベートについては、「評価項目を統合するなど整理は進んでいるが、総額としてみた場合、リベート割合は大きく変わってはいない。医薬品卸も、歴史的な系列卸の名残もあり、リベート頼みの経営になっているのではないか」と指摘。「鶏卵の議論ではあるが、リベートを頼っているうちは、真に迫った交渉はできないのではないか」と述べた。流通改善ガイドラインには、「製薬企業側が仕切価・割戻し(リベート)の設定根拠や考え方について、十分な説明と協議を行ったうえで、設定する」ことを明記する方針も示した。また、こうした実態を背景として、「仕切価が高止まりになっているとの指摘もある」と言及。「私見だが、割戻しはもともと、なくしていくべきものだ」とも述べた。

また、現状では製薬企業が医薬品卸を選定していることにも触れ、「本来は対等の関係であり、医薬品卸が利幅をとれないのであれば、医薬品卸が製薬企業を選んでもいいはずだ。医療機関や薬局との関係もあるのだろうが、今後は選択肢にあってもよいのではないか」との見解を示した。

◎回収問題「企業から現場への説明は十分ではないとの声が多い」

このほか、後発品の自主回収をはじめ、返品・回収をめぐる問題が深刻化していることも指摘。「医薬品卸が回収への対応だけでなく、代替品の調整や確保、医療機関・薬局への説明と調整などを担っている」と説明。「製薬企業が医薬品卸業者任せにするのでなく、調整にも主体的に取り組んでほしいが、企業からの現場への説明は十分ではないとの声が多い」と指摘した。ガイドラインの改訂案では、製薬企業に必要な情報提供に加え、「必要な経費負担については、事業者間で十分に協議する」ことを明記する方針。

◎卸は「国民皆保険、フリーアクセスを成り立たせる存在」 調整幅に役割も

2022年度改定で焦点となることが想定される調整幅についても言及した。「医薬品卸は、国民皆保険、フリーアクセスを成り立たせている必要な存在だ。そこを理解していただく必要がある」と強調。山間部や離島など条件不利地域の医薬品流通を担う地域卸の担う役割の重要性についても触れた。そのうえで、「調整幅は、流通の安定化のためのものと定義されているが、このなかにはフリーアクセス維持のための医薬品卸の機能も含まれているものと理解している。地域や取引条件の違いによらず、薬価は全国で一律であるが、市場実勢価格を加重平均したうえで、調整幅の2%を戻しているのは、こうした条件の格差調整の役割もあると考えている」と述べた。



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