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21年4~6月の国内医療用薬市場 病院市場はコロナ前水準に回復、開業医市場は依然厳しく

公開日時 2021/08/18 04:52
IQVIAは8月17日、2021年第2四半期(4~6月)の国内医療用医薬品市場が薬価ベースで2兆6449億円だったと発表した。この市場規模は、コロナ前の同時期(19年4~6月)と比較して0.1%減となる。コロナ禍による受診抑制などで縮小していた国内市場は、市場全体ではコロナ前の水準まで回復しつつあるといえる。しかし、病院市場と開業医市場別にみると、病院市場はコロナ前と比較して3.0%増、開業医市場は同6.3%減だった。病院市場の回復が顕著にみられる一方で、開業医市場は依然として厳しい状況にあるといえそうだ。

文末の「関連ファイル」に、国内市場の20年第1四半期以降の四半期ごとの売上推移及び伸び率と、売上上位10製品の売上推移及び伸び率の資料を掲載しました。有料会員のみダウンロードできます。14日間の無料トライアルはこちら

21年第2四半期の国内市場は前年同期比2.5%増だった。内訳は、100床以上の病院市場が1兆2322億円(前年同期比4.7%増)、100床未満の開業医市場は4790億円(同0.6%増)、薬局その他市場は9336億円(同0.7%増)――。市場全体及び3市場とも成長したように見えるが、前年同期は1回目の緊急事態宣言の発令もあって受診抑制が全国的に起こった。21年第2四半期の伸び率には、前年同期の市場縮小の反動が表れたと考えるのが妥当だろう。

◎国内市場 20年第3四半期を底に回復途上

市場全体について、20年第1四半期からこれまでの四半期ベースの伸び率(=前年同期比)の推移を見てみると、20年第1四半期(1~3月)が0.2%増→第2四半期(4~6月)が2.5%減→第3四半期(7~9月)が5.1%減→第4四半期(10~12月)が1.9%減→21年第1四半期が1.0%減――だった。21年第2四半期は19年の同時期と比較すると0.1%減。国内市場は20年第3四半期を底にV字回復の途上にあるといえそうだ。

同様に病院市場を見ると、20年第1四半期から4.3%増→1.7%減→4.8%減→0.3%減→1.6%増――と推移し、21年第2四半期は19年の同時期と比較すると3.0%増だった。病院市場はコロナ前の水準に戻ったと分析できそうだ。

開業医市場は20年第1四半期から5.1%減→6.9%減→6.0%減→5.1%減→4.8%減――と推移。21年第2四半期は19年の同時期と比較すると6.3%減で、厳しい市場環境が続いていることがわかる。薬局その他市場は1.7%減→1.3%減→5.0%減→2.1%減→2.1%減――と推移し、21年第2四半期は19年の同時期と比較すると0.6%減だった。

◎上位10薬効 コロナ検査含む「診断用検査試薬」が9位 不眠症薬などの「向精神薬」が10位

21年第2四半期の上位10薬効をみると、9位に新型コロナ関係の検査試薬を含む「診断用検査試薬」が、10位に不眠症薬や抗不安薬などで構成する「向精神薬」がランクインした。

診断用検査試薬の売上は682億円、前年同期比58.9%増と大きく伸びた。IQVIAによると、診断用検査試薬市場がトップ10入りしたのは、同社が売上データを発表して以来、初めてという。

向精神薬の売上は666億円、前年同期比3.3%増だった。薬効内トップの不眠症薬ベルソムラが4.5%増となったほか、統合失調症薬のレキサルティが5.9%増、同ゼプリオンが10.6%増となるなどし、市場成長をけん引した。コロナ禍で不眠や不安を感じる人が増えたとされる。統合失調症は疾患コントロールへの影響から処方切替に慎重になる市場特性もあり、向精神薬市場が伸びたと考えられる。

一方で、「脂質調整剤及び動脈硬化用剤」と「喘息及びCOPD治療薬」の両市場が今回10位圏外となった。受診抑制による市場縮小の影響もあったとみられる。

なお、薬効ランキングの1位は抗腫瘍薬(4180億円、前年同期比11.3%増)、2位は糖尿病治療薬(1624億円、4.1%増)、3位は免疫抑制薬(1293億円、10.6%増)、4位は抗血栓症薬(1109億円、2.8%増)――で、これら上位4薬効は前年同期と順位に変動はなかった。

5位は前年同期6位の眼科用剤(883億円、4.7%増)、6位は前年同期5位の制酸剤、鼓腸及び潰瘍治療薬(879億円、1.9%増)、7位は前年同期と同じく認知症薬などで構成する「その他の中枢神経系用剤」(741億円、6.8%減)、8位も同じくレニン‐アンジオテンシン系作用薬(739億円、3.0%減)――だった。

◎売上上位10製品 1位はキイトルーダ 2位はオプジーボ

21年第2四半期の売上上位10製品をみると、1位は引き続きがん免疫療法薬キイトルーダ(売上315億円、前年同期比13.1%増)、2位はがん免疫療法薬オプジーボ(306億円、13.3%増)となった。3位は前年同期5位の抗潰瘍薬タケキャブ(274億円、13.0%増)だった。タケキャブは21年4月の中間年改定で4.1%の薬価引下げを受けたが、それでも2ケタ成長したことになる。

4位は抗がん剤タグリッソ(262億円、8.4%増、前年同期順位6位)、5位は抗凝固薬リクシアナ(257億円、18.7%増、8位)、6位は抗がん剤アバスチン(252億円、1.3%減、3位)、7位は抗潰瘍薬ネキシウム(232億円、1.9%増、7位)、8位は水利尿薬サムスカ(228億円、12.2%増、10位圏外)、9位は降圧剤アジルバ(222億円、8.6%増、10位)、10位は抗凝固薬イグザレルト(214億円、3.5%増、9位)――だった。前年同期4位の疼痛薬リリカは、20年12月に後発品が参入したこともあり、今回10位圏外となった。

◎21年上期売上 4製品が500億円超

ミクス編集部は、IQVIAがこれまでに発表した21年第1四半期売上などを用いて、21年上期(1~6月)の売上と伸び率を計算した。結果、上期売上1位はキイトルーダの620億円(前年同期比3.1%増)、2位はオプジーボの594億円(17.5%増)、3位はタケキャブの523億円(13.3%増)、4位はアバスチンの501億円(5.2%減)――となった。これら4製品が上期売上500億円超の製品となる。上期売上5位はタグリッソの487億円(10.2%増)、6位は抗凝固薬リクシアナの470億円(5.1%増)だった。
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