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厚労省・監麻課 後発品製造所等への無通告立入検査の結果公表 薬機法違反1施設、中程度不備が9施設

公開日時 2021/09/01 04:53
厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課は8月31日、後発医薬品製造所などに対する無通告立入検査の結果を公表した。医薬品医療機器等法(薬機法)違反が発覚したのは、一般用医薬品の製造販売を行う松田薬品工業(愛媛県)の1施設。愛媛県は、業務停止処分や業務改善命令などの行政処分を含めて対応の検討を進めている。このほか、GMP省令における中程度の不備が9施設で確認されたとしている。

◎小林化工や日医工問題踏まえて無通告立入検査を実施

無通告立入検査は、小林化工や日医工などジェネリックメーカーの相次ぐ行政処分を踏まえ、都道府県が通常行っている定期的な立入検査に加えて、期間を定めて全国一斉で実施した。医薬品製造所の製造管理、品質管理の実態把握に加え、各都道府県による調査手法の改善を目的としている。小林化工や日医工の問題では自治体ごとの査察の手法などのバラツキなども指摘されていたなかで、今回の立入検査では、厚労省が作成中の「無通告立入検査ガイドライン案」を参考に実施した。実施期間は、7月1~13日。各都道府県(沖縄県を除く)の薬事監視員が後発医薬品製造所を中心に各1か所選定し、立入検査により、GMP省令への適合状況を検査した。

対象の内訳は、全国にある後発医薬品製造所32施設、原薬製造所、一般用医薬品製造所等14施設。なお、同省は、製造品目が多い製造所、リスクの高い製造所棟へ積極的な無通告立入検査を実施する方針を示している。

立入検査では特に、製造販売承認書に従った製造の実施、規格外試験結果(OOS)への措置の妥当性、安定性モニタリングの実施状況、人員不足の懸念を重点的に確認した。

◎松田薬品工業(愛媛県) 承認書と異なる方法で製造 使用期限切れ原料を再試験行わず使用も


その結果、愛媛県の松田薬品工業で、製造販売承認書に記載された製造方法とは異なる方法で製造した品目が2品目あることが発覚した。2製品についてはさらに、使用期限切れ原料を再試験行わずに使用していたこと、製造された製品の一部試験を実施していていなかったことも発覚。7月21日から全ロットの自主回収を開始している。なお、27日には、原料の使用期限が超過していたことが判明したとして新たに医薬品 10 製品及び医薬部外品1製品について、対象ロットの自主回収を行っている。

松田薬品工業は2016年11月に松山地方裁判所に民事再生の申立てを行い、経営陣を刷新。20年7月に民事再生終結の決定通知書を受けたとしている。同社のHPでは、「若い力を集結して、企業向け販売ルートの開拓や、商品ラインナップの絞込みを行う等の経営改善を断行致しました。その結果、10年以上に亘って赤字決算であった会社が、奇跡と言われる3期連続の黒字化を果たすこととなりました」、「弊社は民事再生完了後、創業1年目であることを胸に刻んで、社員一同、皆様にご恩返しをして参る所存です」などのメッセージを発信していた。

◎愛媛県 松田薬品工業への行政処分を含めて厚労省と検討

愛媛県は薬機法違反が発覚した7月以降、継続して調査を実施していると説明。「業務停止処分や業務改善命令などの行政処分を含めて検討をしており、厚労省と相談している」とコメントした。

◎GMP省令で中程度の不備が9施設

このほか、GMP省令で中程度の不備が、9施設で確認された。中等度の不備とは、「品目の品質への影響を否定できず、基準の運用上、改善が必要な場合」としている。不備の内訳としては、品質管理(試験検査、第11条)が7件、変更管理(第14条)と逸脱管理(第15条)がそれぞれ4件確認されている。これらの不備については、通常の査察と同様に、都道府県から必要な改善指導が実施されているという。なお、これまでに品質への影響は確認されていないとしている。

また、ジェネリックメーカーの行政処分をめぐり、製造規模に応じた品質管理体制がなされていないことなども問題視された。このため、立入検査では、①承認書齟齬、②規格外試験結果、③規格外試験結果の取扱い、④人員不足―を重点項目に位置付け、調査を実施した。その結果、「安定性モニタリングの実施状況」10件、「人員不足」8件などが指摘事項としてあがった。

◎厚労省監麻課 今回の立入検査「一定の成果があった」

監視指導・麻薬対策課は、調査後に報告された各都道府県からの意見等を踏まえ、調査対象施設の選定方法や調査時に確認すべき項目等を記載した「無通告立入検査ガイドライン」を作成、共有することで、立入検査の調査手法の高度化に取り組むとしている。また、今回の立入検査について、一定の成果があったとして、「今後も何らかの形で継続していきたい」としている。無通告立入検査を通じて抑止力を高めることで、監視指導の強化を図っていく考えを示している。

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