持田製薬は11月5日、2021年度第２四半期の連結業績について、4.6％の増収だったと発表した。抗うつ剤レクサプロ、潰瘍性大腸炎治療剤リアルダ、慢性便秘症治療剤モビコールなど新薬を中心に想定以上に販売が伸びた。同日、「上期までの医薬品関連事業の業績が計画を上回って推移している」として、通期業績予想の上方修正を発表した。

◎通期の売上予測　50億円増の1065億円に修正　

通期の売上高予想については、期初予想から50億円引き上げ、1065億円（前期比3.4％増）とした。主要製品の通期売上予想を見ると、レクサプロを12億円、リアルダを9億円、ディナゲストを6億円、モビコールを5億円それぞれ期初予想から引き上げた。ディナゲストの上方修正は、08年から販売している子宮内膜症・子宮腺筋症治療剤の同錠1㎎に続き、20年5月に月経困難症治療剤として発売した同錠0.5㎎が伸長したことが要因という。

20年5月に発売した痛風、高尿酸血症治療剤ユリスについては、21年5月の処方日数制限解除後も急激な伸長は見られず、上期の売上は3億円にとどまったが、通期売上予想の22億円を据え置いた。「コロナ禍での訪問制限等の影響がちょっと強めに出ていると思うが、デジタルマーケティングなどを含めて積極的にプロモーション活動を行っているところであり、本剤の認知度はかなり上がってきている。今後伸長させていくという意気込みでやっている」（広報室）と話している。

◎後発品事業　期初から14億円引上げ　

後発品事業の通期売上予想については、期初から14億円引き上げており、特に17年6月に発売したディナゲストのAGであるジエノゲスト錠1mg「モチダ」や、19年11月に発売した骨粗鬆症治療剤フォルテオのバイオシミラー（BS）であるテリパラチドBS皮下注キット「モチダ」などに引き続き注力して伸ばしていきたい考え。

第2四半期決算の連結売上高は前年同期比4.6％増の540億900万円。事業別内訳は、医薬品関連事業が4.8%増の511億7000万円、ヘルスケア事業が2.3％増の28億3900万円。連結営業利益は15.2％減の61億3100万円と増収・減益だった。研究開発費を40.0%増の65億800万円へ大幅に増やした。上方修正したものの、通期も増収・減益予想であり、通期の研究開発費は24.4%増の135億円を計画。決算会見で橋本好晴取締役執行役員は「研究開発費の増加の結果、減益となっているが、将来の成長に向けた先行投資という位置づけで捉えている」と述べた。

新薬の開発パイプラインには、臨床第2/3相～申請中に8製品が並ぶ。また、医療機器としてアルギン酸シートの海綿体神経損傷治療材「dMD-002」の探索的治験を開始したことを明らかにした。先行するアルギン酸ゲルの関節軟骨損傷治療材「dMD-001」は検証的治験段階にある。橋本取締役執行役員は「アルギン酸ビジネス（バイオマテリアル事業）を将来、当社事業の柱の一つとすべく開発を進めている」と述べた。

【連結実績 （前年同期比）　21年度通期予想（前期比）】
売上高　540億900万円（4.6％増）　1065億円（3.4％増）←修正前1015億円
営業利益　61億3100万円（15.2％減）　100億円（16.7％減）←修正前80億円
親会社帰属純利益　49億1600万円（9.1％減）　74億円（13.8％減）←修正前60億円

【国内主要製品売上（前年同期実績）、通期予想、億円】
レクサプロ　85 （80）159←修正前147
リアルダ　62（52）121←修正前112
エパデール　45（53）83
グーフィス　29 （23）66
モビコール　23（15）43←修正前38
トラムセット　18（22）31
ドキシル　15（14）28←修正前26
アテレック　17（20）27
ディナゲスト　16（9）26←修正前20
ユリス　3（２）22
トレプロスト　8（9）17
ヘパリンNa　7（6）13
ベセルナ　5（5）10
フロリード　5（5）10
後発品　125（124）263←修正前249