【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

メーカー公取協 小野薬品の奨学寄附金行為は公競規第3条違反と認定 「警告」を通告 改善策検討を要請

公開日時 2021/12/15 17:20
医療用医薬品製造販売業公正取引協議会(メーカー公取協)は12月15日、三重大学病院をめぐる贈収賄事件で小野薬品の社員2人が有罪判決を受けた問題で、同社の行為は公正競争規約第3条に違反すると認め、同社に「警告」を通告した。具体的には同社の行為が、「奨学寄附金提供に関する基本的姿勢を逸脱するものであり、製造販売業者による医療機関等に対する不当な取引誘引行為防止の考え方が営業の現場で徹底していなかった」と指摘。本社がその監視を徹底していなかったことが認められたと判断した。メーカー公取協は小野薬品に対し、全従業員への周知徹底と奨学寄附金の取り扱いで改善策を求め、検討過程で事前相談した上で最終決定するよう要請した。

医療機関等に対する寄附金の提供に関しては、公競規第3条の運用基準「寄附に関する基準」が定められ、特定の目的を持ち、医療機関等に対する不当な取引誘引とはならないと認められる寄附金提供に関しては規約第3条違反の対象とはならない取り扱いとしている。ただ、同基準の上記項目の中には、「寄附者である製造販売業者側の利益が約束されている場合」の規定が明記され、「これは寄附金が医療機関等に対するある程度高額な金銭提供となることを踏まえて、このような寄附金提供が医療機関等に対する不当な取引誘引とはならないように、製造販売業者が責任を持って寄附金提供について運用することを求めるものである」と解説されている。

今回のメーカー公取協の判断は、「不当な取引誘引行為を防止するための製造販売業者の形式的対応ではなく、自社内での不当な取引誘引行為となる可能性を排除するための実質的対応が求められる」ということを重視した。このため三重大学病院をめぐる小野薬品の一連の行為は、「寄附に関する基準」において求める「寄附の見返りとして、自社の医療用医薬品の購入に関する有利な取り扱いを決して求めない」という会員会社の基本的対応の遵守を怠ったものであり、規約第3条に違反するものであると指摘している。

一方で、小野薬品は、「2018年度以降、Webによる奨学寄附金申請等、奨学寄附金に対する営業部門の関与を排除するための制度改正が行われてきた」としながらも、「それ以前から続いていた本件に係る規約違反状態を排除するまでには至らず、2019年度における同種の奨学寄附金提供に結びついたものと認められる」と指摘し、今回の措置に至ったことを明らかにした。

◎全従業員に周知徹底 改善策の検討は「メーカー公取協に事前相談の上、最終決定を」

今回の措置を踏まえ、メーカー公取協は小野薬品に対し、今回の事案が公競規に違反する行為であることを「取締役会で報告事項として報告するとともに、全従業員に周知徹底させること」を要請した。さらに、奨学寄附金の取り扱いに関する再発防止策を求めると同時に、具体的な方法に関しては社内検討を経てメーカー公取協に事前相談の上、最終決定するよう求めた。

◎会員会社に対して注意喚起も

さらに会員会社に対しても、「仮に小野薬品と同様な景品類提供(奨学寄附金の提供)を行えば、同行為は規約違反になる」と指摘。「奨学寄附金提供において規約に違反することがないように自社の責任により慎重に対応するよう注意を喚起する」とのメッセージを発した。



プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(11)

1 2 3 4 5
悪い   良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

調査によって判明した本件贈賄事実
小野薬品 三重大奨学寄附金問題

MRにとってグレーゾーンの中で起きた事件

2021/09/01
小野薬品は8月6日、三重大学病院をめぐる贈収賄事件で同社社員2人が有罪判決を受けた問題で、外部弁護士による調査委員会報告書と今後の対応を公表した。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー