日本化薬 中期事業計画「KAYAKU Vision 2025 (KV25)」発表 25年度末の医薬事業 580億円目指す
公開日時 2022/05/16 04:50
日本化薬の涌元厚宏社長は5月13日の記者会見で、中期事業計画「KAYAKU Vision 2025 (KV25)」(2022~2025年度)を発表した。25年度の売上高2300億円、営業利益265億円、ROE8%以上、ROIC10%以上を目指す。このうち医薬事業は、22年3月期に達成した過去最高の売上高521億円を、26年3月期に580億円まで伸ばす計画。涌元社長は会見で、「医薬事業の“ありたい姿”は2030年度の売上高800億円」と述べながら、KV25は、「それを達成するために必要な新製品の開発、製品の導入など十分な仕込みを行う期間と位置づけている」と強調した。
同社は医薬事業、機能化学品事業、セイフティシステムズ事業、アグロ・その他事業-の4事業を手掛けている。KV25の基本戦略では、①サステナブル経営の推進、②事業ポートフォリオに基づく経営資源の重点配分、③全社横断的チームによる重要課題の取り組み、④経営基盤の強化-を掲げた。
◎涌元社長 KV25は2030年の“ありたい姿”を実現するための「仕込み期間」
涌元社長は医薬事業について、「存在感をもって長く社会に貢献していくためにはバイオシミラーやGEの安定供給もさることながら、日本化薬にしかない独自製品の開発上市がMUSTであると考えている」と強調。「そのためには継続的に開発パイプラインを置ける体制を構築する必要があり、自社それに外部機関との協業による新薬開発を積極的に進めていく必要がある」と述べた。その上で、KV25の期間については、新薬、バイオシミラー、ジェネリック抗がん剤の重点施策に取り組む姿勢を表明。ただ一方で、「毎年薬価改定の実施などがあり、売上、利益は残念ながらこの期間の大きな伸びは期待できないと考えている」と述べ、2030年の“ありたい姿”を実現するための「仕込み期間」に充てる考えを強調した。
KV25における医薬事業の売上目標は、23年3月期519億円、26年3月期580億円を見込む。営業利益については、23年3月期76億円、26年3月期85億円。一方で涌元社長は指摘する2031年3月期の“ありたい姿”の売上高は800億円、営業利益は140億円とした。
◎22年3月期決算 医薬事業は3.3%増収、16.2%増益
日本化薬は同日の記者会見で22年3月期決算を発表した。医薬事業については、売上高521億円(前期比3.3%増)、部門営業利益86億円(16.2%増)だった。なお、営業本部の売上高は402億円(0.6%減)、うちジェネリック抗がん剤は198億円(2.1%減)、バイオシミラーは103億円(1.2%減)、原薬国際診断薬73億円(32.8%増)。営業本部は、薬価中間年改定の影響を受けたものの、GE品の工夫製剤とバイオシミラーの成長によってカカバーした。原薬国際診断薬は、輸出が新型コロナウイルス感染症拡大の影響から回復、製造受託品の伸長により増収となった。