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薬食審・第二部会 5月30日開催 1回接種型新型コロナワクチン、円形脱毛症治療薬など審議予定

公開日時 2022/05/16 19:40
厚生労働省は5月30日に薬食審医薬品第二部会を開催する。6製品を審議する予定で、この中にはヤンセンファーマが承認申請した1回接種型新型コロナウイルス感染症予防ワクチン・ジェコビデン筋注や、日本イーライリリーのJAK阻害薬・オルミエント錠に円形脱毛症の効能を追加することが含まれる。

また、HIV‐1感染症に対して、ヴィーブヘルスケアが申請したボカブリア水懸筋注(一般名:カボテグラビル)と同錠(同カボテグラビルナトリウム)、及びヤンセンファーマのリカムビス水懸筋注(同リルピビリン)による併用療法も審議する。承認されれば、HIVに対する国内初の注射剤レジメンとなる。

【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
キュビシン静注用350mg(ダプトマイシン、MSD):「敗血症、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染」を対象疾患に小児の用量を追加する新用量医薬品。

環状リポペプチド系抗生物質。グラム陽性球菌の細胞膜に結合し、細胞機能不全を引き起こして細菌を死滅させる他の抗MRSA薬とは異なる作用機序で、MRSAに対して有効性を示す。治療薬物モニタリング(TDM)を行なう必要がなく、1日1回の点滴静注で利便性が高い。日本では現在、ダプトマイシンに感性のMRSAを適応菌種として、成人の敗血症や感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症などの適応で使用されている。小児用量の追加申請は、1歳以上17歳以下の小児患者を対象とした臨床試験データをもとに行われた。

ボカブリア水懸筋注400mg、同600mg(カボテグラビル、ヴィーブヘルスケア)
ボカブリア錠30mg(カボテグラビルナトリウム、ヴィーブヘルスケア)
リカムビス水懸筋注600mg、同900mg(リルピビリン、ヤンセンファーマ)
:「HIV-1感染症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。

カボテグラビルはインテグラーゼ阻害薬(INSTI)。リルピビリンは非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)。1カ月間のカボテグラビル経口剤での治療後、カボテグラビル注射剤とリルピビリンを併用して用いる。注射剤の用法・用量は今後の審査次第だが、既承認の米欧では、1カ月に1回または2カ月に1回の筋肉内注射で使用されている。日本で承認されれば、HIVに対する国内初の注射剤レジメンとなる。

ヴィーブは、「ウイルス学的抑制が得られており、カボテグラビルまたはリルピビリンに対する耐性関連変異を持たない成人のHIV-1感染症」の適応取得を目指す方針。

オルミエント錠2mg、同4mg(バリシチニブ、日本イーライリリー):「円形脱毛症」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

選択的JAK1及びJAK2阻害薬。JAK依存性サイトカインは多くの炎症性及び自己免疫疾患の病因と関連していることが示唆されており、JAK阻害の作用により効果を発揮すると考えられている。円形脱毛症は毛包を標的とする自己免疫疾患で、ストレスがきっかけとなることがある。なお、同剤は米国FDAから円形脱毛症に対するブレークスルーセラピーとして指定を受けている。

ジェセリ錠40mg(ピミテスピブ、大鵬薬品):「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

経口HSP(Heat Shock Protein)90阻害薬。がん細胞や腫瘍組織に多く発現するタンパク質・HSP90を阻害することで、がんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA、HER2やEGFRなどのタンパクを不安定化し、減少させることで抗腫瘍効果を示すとされる。

消化管間質腫瘍(GIST)は胃や小腸などの消化管の壁にでき、転移、再発を起こす悪性腫瘍の一種で、国内の年間罹患数は約1500~2500人と推定される希少がんの一つとなっている。多くががんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA遺伝子に変異を有しているとされる。

ジェコビデン筋注(コロナウイルス(SARSCoV-2)ワクチン(遺伝子組換えアデノウイルスベクター)、ヤンセンファーマ):「ARS-CoV-2 による感染症の予防」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。優先審査品目。

ウイルスベクターワクチン。18 歳以上を対象に開発された1回接種型の新型コロナウイルス感染症予防ワクチン。21年5月に国内申請。優先審査品目に指定されていたが、薬食審医薬品部会での審議まで1年かかった。

ヘムライブラ皮下注30mg、同60mg、同90mg、同105mg、同150mg(エミシズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「後天性血友病A 患者における出血傾向の抑制」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。

中外独自の抗体エンジニアリング技術を用いて創製されたバイスペシフィック抗体で、インヒビターの影響を受けずに出血抑制効果を発揮するよう設計されている。後天性血友病Aは国の指定難病で、後天的に血液凝固第VIII因子に対する阻害物質(インヒビター)が出現し、その結果、第VIII因子活性が著しく低下して突発的な皮下出血や筋肉内出血などの出血症状を呈する疾患。重篤な出血も稀ではない。

【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

マヴィレット配合錠、同配合顆粒小児用(グレカプレビル水和物/ピブレンタスビル、アッヴィ):「C型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を対象疾患に小児適応を追加する新用量・剤形追加に係る医薬品。

3歳以上12歳未満の小児C型慢性肝炎を対象疾患に開発したもの。承認されれば、3歳以上12歳未満の小児C型慢性肝炎に適応を有する、国内初の直接作用型抗ウイルス剤(DAA)となる。同剤は17年に成人、19年に12歳以上の小児のC型慢性肝炎治療薬として承認済み。

ジクトルテープ75mg(ジクロフェナクナトリウム、久光製薬):「腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群及び腱鞘炎における鎮痛・消炎」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

フェニル酢酸系の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)。久光のTDDS(経皮薬物送達システム)技術を用いて経皮吸収性を向上させ、3枚貼付時のジクロフェナクの全身曝露量が既承認の徐放性カプセル剤(ナボールSRカプセル)と同程度になるよう製剤設計された全身投与型経皮吸収製剤。現在は、「各種がんにおける鎮痛」を効能・効果としている。

ジクアスLX点眼液3%(ジクアホソルナトリウム、参天製薬):「ドライアイ」を対象疾患とする新剤形医薬品。

同じ成分で既承認のジクアス点眼液3%はドライアイ治療の選択肢として推奨されている。ただ、1回1滴、1日6回点眼と、点眼回数が多い。そこでジクアスを製剤改良し、効果と安全性はそのままに、点眼回数を1回1滴、1日3回点眼に低減させたものがジクアスLX点眼液となる。

アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL(ベバシズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「卵巣がん」を対象疾患とする新用量医薬品。事前評価済公知申請。

卵巣がんに対して、「他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはベバシズマブ(遺伝子組換え)として1回10mg/kg(体重)を2週間間隔又は1回15mg/kg(体重)を3週間間隔で点滴静脈内注射する。なお、患者の状態により投与間隔は適宜延長すること」との新用量を追加する。

ノイトロジン注50μg、同100μg、同250μg(レノグラスチム(遺伝子組換え)、中外製薬):「再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。
グラン注射液75、同シリンジ75、同注射液150、同シリンジ150、同注射液M300、同シリンジM300(フィルグラスチム(遺伝子組換え)、協和キリン):「再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。
フルダラ静注用50mg(フルダラビンリン酸エステル、サノフィ):「再発又は難治性の急性骨髄性白血病」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。

再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対し、ノイトロジンとフルダラ、グランとフルダラをそれぞれ併用して使えることを追加する。
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