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NPhA調査 リフィル処方箋の受付実績ある薬局17.6% わずか2か月で着々と普及 薬剤師の意識に変化も

公開日時 2022/06/10 04:52
リフィル処方箋の受付実績がある薬局は17.6%、全処方箋に占める受付回数割合は0.053%-。日本保険薬局協会(NPhA)が実施した調査結果からわかった。決して多いとは言えないものの、2022年4月に導入され、わずか2か月の間に着々と普及していることがわかった。「リフィル2回目以降も、患者さんが同一薬局を希望する」、「薬剤師と患者とのコミュニケーション頻度が増えた」との回答も多くあった。リフィル処方をきっかけに薬剤師の意識に変化も芽生えているとの回答もみられた。立地依存が指摘されてきた保険薬局だが、地域でかかりつけ薬剤師・薬局の機能を発揮する大きなチャンスとなっていることも見て取れた。

調査は、NPhAの医療制度検討委員会が正会員を対象に、5月24日から6月6日までWebで実施した。回答は、1社1回答(グループで一回答も可)とし、103社、1万1881薬局から得た。300薬局以上のチェン薬局が10社、100~299薬局が44社を占めた。

その結果、応需実績があると回答した薬局は17.6%(2087薬局/1万1882薬局)だった。受付回数は9831回で、全体(1870万回)の0.053%だった。リフィル処方箋が受付処方箋の1%以上を占めると回答した薬局は62薬局で、一部の薬局に実績が集中している様子も見て取れた。リフィル処方箋が1%以上の薬局を薬局形態別にみると、ドラッグストア併設型の薬局を主に展開する法人が最多で、29薬局となった。リフィル処方箋を発行する医療機関は、「クリニックが病院より多い」(48社)との回答が大半を占めた。診療科としては、「内科・消化器内科・循環器内科」(37社)が多かった。リフィル 処方の日数分布では 28 日分が最も多く、次いで 90 日分が多かった。

◎リフィル処方箋発行のきっかけ 「患者からの要望が多い」52社

リフィル処方箋を発行したきっかけは、「患者からの要望が多い」が52社で、「医師から患者への提案が多い」(19社)を圧倒的に上回った。「患者希望が少しずつ増えている」、「遠方よりお越しの患者から処方医へ、2 回目以降は近隣の薬局で受け取りたいのでリフィルにして欲しいとの要望があり、リフィル処方箋が発行された」などの回答が寄せられた。このほか、診察の待ち時間短縮などをあげる声もあった。

医薬品の供給不安が続くなかで、「流通制限のある医薬品がメーカーから1か月分以内での処方をお願いされているため、該当の医薬品を継続服用の患者にはリフィル処方箋が発行されている」、「供給が不安定な医薬品に対して、供給が安定するまでリフィル処方にしている」など、供給不安への対応策としてリフィル処方箋が活用されている例もあった。

リフィル処方箋を希望する患者像としては、働いていて通院時間を確保できない患者や、高齢や健康状態などの理由で通院の負担が大きい患者などが浮かび上がった。また、高血圧や脂質異常症、花粉症、整形外科の痛み止め、骨粗鬆症など、慢性疾患で長期Do処方をされている患者で要望する声が多い結果となった。

◎患者側の変化 「リフィル2回目以降も同一薬局を希望」14社

リフィル処方箋を活用するなかで、患者の行動変容も起き始めている。リフィル処方箋のメリットを尋ねたところ、「リフィル2回目以降も同一薬局を希望される」(14社)が最多。「患者とのコミュニケーション頻度が増えた」(10社)、「患者からの相談、問い合わせが増えた」(7社)、「患者満足度向上につながっている」(6社)などの回答もあがった。「受診勧奨の必要有無を判断する上で薬剤師の意識に変化が生じている」、「フォローアップ の重要性とタイミングについて対応する薬剤師が考えるようになった」など、薬剤師の意識変革も起き始めていることがうかがえる回答もあった。早くもリフィル処方箋をきっかけに、かかりつけ薬剤師・薬局としての職能発揮に動く薬剤師の姿が浮かび上がった。「服薬中に連絡を取ることで服薬状況を管理しやすくなり、残薬を減らすことができている」、「リフィル 2回目以降の来局予想が立てやすく、在庫管理がしやすい」との回答もあった。

会社方針としても、「患者に対して同一薬局による調剤が望ましい旨を説明する」(72社)、「次回来局時までの服用期間中フォローアップに努める」(61社)など、対応を打ち出していた。また、「患者に対してオンライン服薬指導の活用について説明する」は、15社にとどまった。

一方で、課題としては、「患者のリフィル処方箋の管理」(25社)などがあがった。このほか、「医療機関が反対していることも多く、患者への啓蒙活動がしにくい状況。行政がメリット・デメリットをしっかりと展開してほしい」など、行政や業界にリフィル処方箋を推進する施策を希望する回答も多く寄せられた。

リフィル処方箋をめぐっては6月7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」に、「2022 年度診療報酬改定により措置された取組の検証を行うとともに、周知・広報の推進とあわせたリフィル処方箋の普及・定着のための仕組みの整備を実現する」ことが盛り込まれた。同日の会見で、NPhAの首藤正一会長(アインホールディングス)は「積極的に推進にかかわっていきたい」と意気込みをみせた。
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