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NBIの急性期GPP治療薬候補・抗IL-36Rモノクローナル抗体・スペビゴなど審議へ 7月29日の薬食審・第二部会

公開日時 2022/07/19 04:50
厚生労働省は7月29日、薬食審医薬品第二部会を開き、日本ベーリンガーインゲルハイム(NBI)の「スペビゴ点滴静注」について膿疱性乾癬における急性症状の改善(GPP)の適応など、4製品について審議する。このほか、大正製薬の既存治療で効果不十分な関節リウマチ治療薬候補のナノゾラ皮下注についても審議する。このほか、アストラゼネカの抗がん剤・タグリッソ錠への非小細胞肺がんにおける術後補助療法、MSDのキイトルーダ点滴静注に腎細胞がんにおける術後補助療法の適応追加など、5製品が報告される予定。

【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ナノゾラ皮下注30mgシリンジ(オゾラリズマブ(遺伝子組換え)、大正製薬):「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

2つの抗TNFαナノボディと抗血清アルブミンナノボディが融合した三量体構造のヒト化低分子抗体(抗TNFαナノボディ製剤)。一般的なIgG抗体と比較して約1/4程度の分子量を有している。同剤は、2つの結合部位でTNFαに結合することで、「その作用を強力に阻害する」(大正製薬)。血中滞留性の良い血清アルブミンと相互作用することで血中半減期を延長させた。大正製薬は「月1回の治療を可能にした」としている。

「ナノボディ」は創製元のベルギーのAblynx社(現サノフィ子会社)の登録商標で、ラマや他のラクダ科の動物によって自然に生成される特殊なタイプの抗体に由来する分子のこと。従来の抗体の10分の1のサイズで、従来の抗体ではアクセスできない体内の疾患標的部位にアクセスできる可能性がある。その小さくてシンプルな構造ゆえに、個別のナノボディを連結させることにより同時に複数の標的に作用できる「多価」ナノボディを創出することもできる。大規模生産により迅速に製造することもできるという。

▽スペビゴ点滴静注450mg(スペソリマブ(遺伝子組換え)、日本ベーリンガーインゲルハイム):「膿疱性乾癬における急性症状の改善」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

膿疱性乾癬(汎発型)(以下、GPP)を含む複数の自己炎症性疾患の病因に関連している免疫系のシグナル伝達経路のインターロイキン36受容体の作用を阻害する、ファーストインクラスの抗IL-36Rモノクローナル抗体。

GPPは生命を脅かすおそれのある希少な難治性皮膚疾患で、尋常性乾癬とは臨床的に区別される。GPPは、好中球が皮膚に集積することで引き起こされ、痛みを伴う無菌性膿疱が全身に多発する。臨床経過には幅があり、急性期症状の再発を繰り返す患者もいれば、症状が遷延して断続的に急性期が起こる患者もいる。急性期GPPの重症度は人によって異なるが、治療せずに放置すると、敗血症や多臓器不全などを引き起こし、場合によっては生命にかかわる。

▽フィラジル皮下注30mgシリンジ(イカチバント酢酸塩、武田薬品):「遺伝性血管性浮腫の急性発作」を対象に小児用量を追加する新用量医薬品。希少疾病用医薬品。

選択的ブラジキニンB2受容体ブロッカー。発作の原因であるブラジキニンの作用を直接的に阻害し、1回の注射で速やかにHAEの発作症状を緩和させることが期待される。承認されれば、皮下投与による自己投与可能な唯一のプレフィルドシリンジ製剤となり、学校や仕事場などの外出時や夜間などに急な発作が起こった場合でも、その場で速やかに治療できることも期待される。

HAEは、C1インアクチベーターの量的または質的な欠損により、腹部、顔面、足、性器、手、喉などの身体の様々な部位に繰り返し浮腫発作を起こす希少な遺伝性疾患。喉に発生した場合は気道がふさがり呼吸困難を起こし、窒息死する危険もある。

▽リムパーザ錠100mg、同錠150mg(オラパリブ、アストラゼネカ):「BRCA 遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術後薬物療法」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。

PARP阻害薬。卵巣がん、乳がん、前立腺がん、膵がんに係る適応を持つが、このうち乳がん適応は現在、「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん」となっている。

【報告予定品目】
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

▽タグリッソ錠40mg、同錠80mg(オシメルチニブメシル酸塩、アストラゼネカ):「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法」を対象疾患とする新効能・新用量・その他の医薬品。

チロシンキナーゼ阻害薬。「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がん」の適応を有する。今回、術後補助療法の追加が報告される。

▽キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「腎細胞がんにおける術後補助療法」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体。腎細胞がんに対し、キナーゼ阻害薬・インライタやマルチキナーゼ阻害薬・レンビマとの併用療法が承認されている。今回報告されるのは、術後補助療法の追加。

▽バイクロット配合静注用(乾燥濃縮人血液凝固第X因子加活性化第VII因子、KMバイオロジクス):「血液凝固第VIII因子又は第IX因子に対するインヒビターを保有する患者の出血傾向の抑制」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

血漿分画製剤。現在の効能・効果は「血液凝固第VIII因子又は第IX因子に対するインヒビターを保有する患者の出血抑制」で出血後の出血抑制に使用している。今回報告されるのは、「出血傾向の抑制」で、これにより、定期的な投与が可能になることが期待される。

▽エプクルーサ配合錠(ソホスブビル/ベルパタスビル、ギリアド・サイエンシズ):「C型慢性肝炎、C型代償性肝硬変又はC型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

直接作用型抗ウイルス剤(DAA)。前治療歴のある患者が対象となっており、今回は未治療患者への拡大が報告される。

▽ポライビー点滴静注用30mg、同点滴静注用140mg(ポラツズマブベドチン(遺伝子組換え)、中外製薬):「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。

抗CD79b抗体薬物複合体。再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の適応を取得。今回、未治療のDLBCLに対し、リツキサンと化学療法の併用下での投与が報告される。
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