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住友ファーマが厳しい船出 22年度通期は150億円の赤字予想 キンモビ減損と迫るラツーダの米特許切れ

公開日時 2022/11/01 04:52
住友ファーマは10月31日、22年度第2四半期(4~9月)決算を発表し、最終損益が73億円の赤字だったと発表した。通期も150億円の赤字に転落する見通し。米国で売上計画を下回る状況が続いていたパーキンソン病治療薬・キンモビの約544億円の減損損失が響いた。さらに経営を支えた抗精神病薬・ラツーダの特許切れを控えるなど、来期も「赤字の可能性が非常に高い」(同社・野村博社長)。22年4月の社名変更に続き、8月には東京本社を移転するなど順風満帆に船出したが、荒波を受け、早くも試練の時を迎えている。マイオバント社を完全子会社化し、抗がん剤の大型化を見込むなど、ポストラツーダを見据えて次なる柱の構築を急ぐ。

同社の22年度第2四半期の売上高は前年同期比8.7%増の3192億8900万円で、289億1500万円の営業赤字となった。国内売上高は前年同期比13.1%減の666億円で、薬価改定の影響(▲62億円)が大きな影響となった。北米セグメントでもドルベースでは1億3500万ドル(約200億円)の減収となったが、為替影響などで最終的に売上高はプラスに転じた。

◎キンモビの減損損失約544億円 「将来に向けてやらなければならない決断」

大きく影響したのが、キンモビの減損損失だ。キンモビは、パーキンソン病に伴うオフ症状に対する舌下投与フィルム製剤。2020年9月に発売を開始。大型化を見込み、カナダ・シナプサス社を約659億円で買収したが、22年度第2四半期の売上高は2億円にとどまるなど、売上計画を下回る状況が続いていた。収益予測を見直した結果、減損損失約544億円を計上した。野村社長は、新型コロナの影響で上市の環境が整わなかったことに加え、「オフ症状のレスキュー剤に対するニーズが、我々が想定したほど大きくなかった」と説明。買収当時に想定した副作用のプロファイルと臨床試験の検証段階で得たデータが異なったことや、舌下投与フィルム製剤の投与に受診や医療従事者による指導が必要で煩雑さを伴うなどのハードルがあったことを説明した。

野村社長は、「キンモビの減損は、我々過去に患者様のQOLに貢献するであろうということで取得したが、残念ながらうまくいかなかった。言い方は少し悪いかもしれないが、我々の過去の無形資産として重荷になっているところを処理せざるを得ない。それに対する我々の責任というのは非常に大きいと思うが、将来に向かって進むうえでは、やらなければいけない決断だったと思う」と述べた。

◎まずはオルゴビクス、マイフェンブリー、ジェムテサの3剤を最大化 成長シナリオ「何とか実現したい」

22年度通期予想も、営業利益240億円から▲300億円へと修正。純利益220億円を▲150億円へと修正した。23年2月には屋台骨を支えたラツーダの米国での特許切れを迎える。同社はこうしたなか、連結子会社のマイオバント社を10月に完全子会社化した。期待を寄せるのは、進行性前立腺がん治療薬・オルゴビクス、子宮筋腫治療剤および子宮内膜症治療薬・マイフェンブリーの大型化だ。野村社長は、「(投資により2製品を最大化することで)生まれてきたキャッシュフローをR&Dにつぎ込むことが可能になれば、ラツーダ以降の我々の成長につながる」との考えを示した。過活動膀胱治療薬・ジェムテサをあわせた3製品の最大化を目指す。

さらに、開発を進めるulotarontが24年度中に最初の適応である統合失調症で米国で上市の見通しであると説明。大うつ補助療法や全般性不安障害など適応拡大も計画する。野村社長は、「オルゴビクス、マイフェンブリー、ジェムテサの3剤をしっかりやる。そこから生まれてきたキャッシュフローで、いまはアーリーなフェーズ1、非臨床の中から将来の収益の柱となるものをしっかりと見つけ出して、そこに生まれてきたキャッシュフローを投入し、成長させる。自社の品目で2030年代以降、次の成長につなげていけるようにというシナリオを考えている」と説明した。

自社のパイプランについても、「昔といまの状況はずいぶん違う。いまは、CNSにしてもがんにしても再生細胞にしてもフロンティアにしても非常に活性化している状況にある。非臨床の段階で楽しみなものもある。そういうものが2030年以降の成長をさらに支えていくものになる。そういう可能性が非常に高いと考えている」と強調。成長シナリオを「何とか実現していきたい」と力を込めた。

◎糖尿病などでの提携に意欲 MRのリレーションに自信「我々のMRは優秀」


国内の営業体制については、「現状のセールスフォースを減らすということは考えていない」との考えを示した。CNS領域に強みを有する同社だが、「アメリカではCNSでは非常に大きなマーケットだが、残念ながら日本ではそうではない。CNSだけではなかなか日本での規模感を維持できないところがある」と説明した。今年12月末で、GLP-1受容体作動薬・トルリシティの日本イーライリリーとの販売提携が終了するが、「我々のセールスフォースの優秀さ、非常に勉強熱心でドクターとのリレーションがしっかりしている。そういうセールスフォースがある会社はなかなかないと私は思っている。そういう意味で言うと、まだ色々提携というオポチュニティがたくさんあると思っている」との考えを示した。「仮にそれが糖尿病以外であっても我々のMRの提供能力の高さ、ドクターとのリレーションも含めて、色々やっていける機会がたくさんあると思っている」と自信をみせた。

将来的にはフロンティア事業で新製品上市なども見据え、「いままでの我々がやっている医薬品のプロモーション、情報提供の仕方とは違うかもしれないが、新しい事業領域の中で色々な活躍の場があるのではないかと思っている」とも話した。


【22年度上期の連結業績 (前年同期比) 22年度予想(前年同期比)】
売上高 3192億8900万円(8.7%増) 6040億円(7.9%増)←修正前5500億円
営業利益 ▲289億1500万円(-) ▲300億円(-)←修正前240億円
親会社帰属純利益 ▲72億8300万円(-) ▲150億円(-)←修正前220億円

【22年度上期の国内主要製品売上高(前年同期実績) 22年度予想、億円】
エクア・エクメット 173(193) 349
トルリシティ* 167(172) 238←修正前310
トレリーフ 86(84) 170←修正前173
ラツーダ 46(30) 99
メトグルコ 40(41) 78
ロナセンテープ 14(10) 27
ツイミーグ 5(1) 15
AG品 46(48) 97

仕切価ベース
*は薬価ベースの数値



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