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ジェンマブ 日本でMR採用、自販体制構築へ 子宮頸がんに対するADCなどで第3相試験実施中

公開日時 2022/12/02 04:53
ジェンマブ日本法人の高木実加社長は12月1日、日本法人設立以来初となる記者会見にのぞみ、日本でMRを採用し、自社販売体制を構築すると表明した。具体的な募集人数や時期は「検討中」。日本で現在、▽子宮頸がんを対象疾患とする抗体薬物複合体(ADC)・チソツマブ ベドチン、▽再発性・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を対象疾患とする抗CD3/CD20二重特異性抗体・エプコリタマブ――の2つの開発品が第3相臨床試験を実施しており、どちらかが自販第一号製品となる可能性が高い。

高木社長は、「チソツマブ ベドチンとエプコリタマブは日本で第3相にある。できるだけ速やかに日本人での臨床試験を終えて、申請に結び付けたい」と述べた。国内MR体制の規模感については、「営業組織の大きさは、2つの開発品のどちらが先に承認を取得できるかで違ってくる」とし、募集人数などは検討中だとした。ただ、今後の展望としては、「当社はがんが中心で、目標施設数は1000施設プラスαと考えている。相応の十分カバーできるMR数は揃えたい」と語った。

チソツマブ ベドチンは単独販売、エプコリタマブはアッヴィと共同販売の予定

チソツマブ ベドチンは米バイオテック企業のSeagen社と共同開発しているが、Seagen社に日本法人がないため、日本で承認取得・販売となった場合は「100%自社で販売する予定」(高木社長)だという。エプコリタマブはアッヴィと共同開発しており、日本での承認取得後は両社で共同販売する予定。エプコリタマブは日本でB細胞非ホジキンリンパ腫を対象疾患とする第2相臨床試験なども実施している。

このほか日本では、抗PD‐L1/4-1BB二重特異性抗体「GEN1046」(開発コード)について、固形がんを対象に第1/2相臨床試験を行っている。ジェンマブ日本法人のエドワード ラミレス ガノザー研究開発本部長兼医学本部長は、チソツマブ ベドチン、エプコリタマブ、GEN1046――の3つの国内開発品を含む9つがグローバルで開発中だと紹介した上で、「将来的には(グローバル開発品の中の)ある開発品は、日本のがん患者のアンメットメディカルニーズによっては開発する可能性もある」と述べ、市場ニーズを踏まえてグローバル開発品を国内導入していく構えをみせた。高木社長も、日本の開発プロジェクトが今後増加していくことに併せて開発部門や薬事・品質・安全性部門などの人員数を増やす考えを示した。

◎「財務状況が非常に安定」 研究開発から自社販売まで行う“End-to-End”の企業目指す

ジェンマブ(本社:デンマーク コペンハーゲン)は1999年に創設された、がん治療のための抗体医薬品の研究・開発を専門とするグローバルバイオテクノロジー企業。二重特異性抗体を生成する技術プラットフォーム「DuoBody」をはじめとする4つの独自の抗体技術プラットフォームを持ち、99年以来累計40の治験許可申請を行い、うち20以上が第2相以降の臨床開発に至った。

同社はこれまで創薬研究から開発初期までの臨床開発を手掛け、その後はパートナー企業に導出する戦略をとっていた。自社創製品が導出先で製品化された事例は5つあり、具体的には▽多発性骨髄腫治療薬・ダラツムマブ(導出先:ヤンセン)、▽局所・進行性非小細胞肺がん治療薬・アミバンタマブ(ヤンセン)、▽再発・難治性多発性骨髄腫治療薬・テクリスタマブ(ヤンセン)、▽慢性リンパ性白血病/再発性多発性硬化症の治療薬オファツムマブ(ノバルティス)、▽甲状腺眼症治療薬・テプロツムマブ(ホライズン)――となる。このうちダラツムマブとオファツムマブは日本でも承認されている。

これまでの導出戦略が成功し、ロイヤルティやマイルストンによる収益で「財務状況が非常に安定している」(高木社長)こともあり、ジェンマブはこのほどグローバルに戦略を転換。研究開発から自社販売までを行う“End-to-End”の製薬企業を目指すことになった。

◎パートナーシップは引き続き重視

ただし、「パートナーシップはジェンマブのDNAの一部」だとして、「様々なパートナーシップはジェンマブのビジョンを支え、差別化された抗体医薬品の創出と開発の幅を広げる」ことから、引き続き他の製薬企業との協業は重視する考え。

◎米国と日本がジェンマブの重要拠点

ジェンマブは現在、デンマーク、オランダ、米国、日本の世界4拠点体制を敷く。このうち米国と日本が「重要拠点」と位置付けられ、両市場で自販体制を構築することになった。高木社長は、日本が重要拠点となっている理由について、「高齢化が進み、がん患者さんが非常に多いことから、私どもの医薬品で日本のがん患者さんに貢献できるのではないかということ」と説明した。さらに、「日本市場での成功が、ジェンマブが他の地域に拡大する試金石になる。日本は非常に重要なポジショニングになっている」とも話した。

◎高木社長「闘病というきつい毎日に少しでも寄り添える会社」に

日本法人のミッションは、▽血液がん及び固形腫瘍領域におけるリーディングカンパニーになる、▽科学に基づく専門性の高いチームを作る、▽医療従事者の良きパートナーとして、患者さんに寄り添う組織になる、▽世界同時開発、同時販売を目指す――の4点。高木社長は、「がん患者さんの闘病というきつい毎日に少しでも寄り添える会社を作っていきたい」と抱負を語った。
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