【有識者検討会 1月26日 議論その1 長期収載品からのビジネスモデル転換を促す取り組みについて】
公開日時 2023/01/27 06:18
厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の8回目の会合が1月26日に開催された。この日は、長期収載品からのビジネスモデル転換を促す取り組みとバイオシミラーの問題についてディスカッションを行った。本誌は「議論その1」において、長期収載品からのビジネスモデル転換を促す取り組みについて有識者検討会の構成員による議論の発言要旨を公開する。
遠藤座長:丁寧な説明ありがとうございます。初めて目にするような資料もありました。それでは早速ご意見ご質問等いただきたいと思いますけれども、お話にありましたように、このバイオシミラーの問題と長期収載品からビジネスモデルを展開する取り組みに関する問題、これはどちらかというとバイオ薬というよりも従来薬をベースの議論のようにも考えられるので、一応分けて議論をしていきたいと思う。
それでは一つ目の論点ということで、長期収載品からのビジネスモデル転換を促す取り組みについて、ということで事務局からも一応案が出されております。これらも踏まえて、ご意見等いただければと思いますが、ご質問でも結構でございますので。時間結構たっぷりありますのでじっくり議論していきたいと思います。いかがでございましょうか。成川構成員、お願いいたします。
成川構成員:はい、ありがとうございます。成川です。長期収載品の関連で種々の資料を準備いただいてありがとうございます。質問なのですが、資料13ページで長期収載品のシェアの国際比較を出していただきました。これは以前、私からもリクエストさせていただいたことでありまして、ご対応ありがとうございました。
ここでいう長期収載品というのは、一応その各国で比較可能な感じで定義が一致をしているという理解をしてよろしいかと思っているが、このときの%と8ページの日本での薬価調査の%はだいぶ違うので、おそらく13ページのものというのは分母が何というか、長期収載品が出ている薬剤市場か何かが分母になっているという理解でよろしいのかどうか。また、アメリカでは、数量シェアはすごく低いが、金額シェアはそれなりにあってこの辺をどう考えたらいいのなというのがちょっとわからなくて質問をさせていただく。
坂巻構成員:遠藤座長、よろしいでしょうか。いまの質問に関してだが、資料の出典がロードマップとなっており、私はこちらの構成員でした。最初にジェネリック医薬品の目標値設定は当初60%だったわけだが、そのときに私中医協の参考人として、目標値設定のときに少し発言した経緯がございますけれども、いずれにしてもこれ当時IMS(現・IQVIA)のデータを使っている。IQVIAの医薬品の範囲、特許切れ市場の定義というものが日本のその定義と違っている。ですから、ジェネリックに関しては日本の薬価調査のデータで見ると、大体80%、80%若干切るくらいだが、今日いただいた資料のなかで見ていただいてわかるようにIQVIAのデータではまだ6割程度で、乖離がある。
細かいところの定義をちゃんと記憶していないが、定義が違うということでこの数字を数字の違いについては理解していただければというふうに思う。あわせて米国において数量が伸びているのに金額シェア伸びているところがあるが、ご案内の通り米国ではその価格を自由に変えることができる。例えばある製品のなかで特許が切れてジェネリックが出ると。そこでは競争が激しく起きる。その結果として、ジェネリック医薬品が撤退してしまうことがある。撤退した結果どうなるかというと、残った先発品、長期収載品の価格が大きく伸びる。数年前に業界紙で出た極端な例では、ある抗生剤の値段が400倍になったということだ。自由価格で値段が決まるということで、価格、金額シェアに関してデコボコすることがある。すみません、事務局に代わって私が回答させていただいた。
遠藤座長:ありがとうございました。ロードマップの作成に関与された坂巻構成員からコメントいただいた。そういう理解でよろしいわけですね?はい、ありがとうございます。事務局、何かありますか。大体いまので十分ですか。はい、お願いします。
事務局・安藤課長:一点いま、坂巻委員からご説明あった通りだと思っているが、お話にあったIQVIAと薬価調査で、具体的にどう定義が違うのか、いま持ち合わせがないが、確認して別途ご報告させていだく。
遠藤座長:よろしゅうございますね。はい。他にいかがでございましょう。はい、三村構成員、お願いします。
三村構成員:バイオの従来型の医薬品における後発薬問題ということで、まず私が以前に長期収載品のなかにも非常に貴重な薬があるのではないか、あるいは必然的に残っている薬があるのではないかということを質問した。それについて非常に丁寧な分析をしていただきまして本当にありがとうございます。
一つ印象としてわかったのは、国際比較上どうかということはあるが、非常に難病性の薬であるとか、非常に市場規模が小さいところであるとか、あるいはその特殊な例えば製造工程とか設備が必要であるとか、あるいは先ほど血漿分画製剤のお話をいただいたが、原材料においても特別な規制が必要であるとか、あるいは治療の安全性とか信頼性の観点から使われている薬がある、おそらくそれがかなり残っているのではないか、と思う。
そう考えると、基本的には後発薬へと転換させるというのは大きな政策の柱としてこれからも続けられるだろうと思うが、特別な意味を持った薬に関しては、一般的な長期収載品におけるある意味でG1・G2モデルを含めてそういったものに乗せていくことが適当なのかどうか。もう少し慎重に区分して扱っていく必要があるだろうと思う。それが基本的に供給安定という今回の検討会の大きなテーマにも関連するという感じがする。
それから今回のところ、実はこれからあと後発薬の問題が出てくるが、一つの見方としてはいままでの薬価の対応は基本的には診療報酬体系、薬価の設定の両方からせめていっていただいているわけだが、ある意味下がり過ぎているという見方も一理あるかもしれない。そうするとそれをどう考えるか。おそらくこれが次回のテーマに関係すると思いますけれども、不採算品目が大量に出ている状況をどう考えるかということが非常に大きなテーマとなる。そうしますと、先ほどの中医協の資料にもあったが、ここまで後発薬を推進する、転換させるという政策をしていただいて数量シェアとしてほぼ80%まで来たというこの段階においては、やはり政策の効果と、それから生まれた歪みとそれについてやはり一度検証していく必要があるのではないかと思う。それが有識者検討会の開かれた大きな理由であると思うけれども、ちょうどその時に来ているような感じがする。
それからこれは本当に重要な話でございまして、国際比較というのがいままで日本の医療政策とか薬剤政策で常に一つの指標として使われてきたということだ。ただ、ある関係者の方からうかがった話では、非常にヨーロッパにおいても後発薬の供給不安問題が深刻である、あるいは日本以上に深刻であるというお話もうかがっている。そうなると、やはりいまの数値の整合性とともに、それぞれの国における状況、EUではそれぞれの国の事情が違うとともに一つの巨大な統一市場を作り上げているので、それと日本との違いということを踏まえたうえでの慎重な検討が必要ではないかと思う。
ただ今回の長期収載品、一般の長期収載品に関して、これだけ非常にきめ細かい整理をしていただいたということに対しては、私としてはお礼を申し上げたいと思う。ありがとうございました。
遠藤座長:はい。大変貴重なご意見ありがとうございました。その他、どんな意見でも結構でございますが。それでは坂巻構成員。ちょっとだけ早かったので。
坂巻構成員:すみません。大変よく整理された資料をありがとうございました。長くならないようにしたいと思うが、前半の論点に関しましてはもうビジネスビジネスモデルの転換ということだが、内容をよく読むと長期収載品の薬価をどうするかという議論、いまの三村委員からも申し上げました。それから2つ目は、ジェネリックの使用促進で産業構造の転換というところでは、具体的に何があるのかなというのがちょっとよくわからないが、私が8月31日、前の会議体の最初の会議の時に指摘させていただいたが、いわゆるAGの問題、これは形を変えた先発企業の長期収載品依存体質ではないか、ということをご指摘申し上げた。その点では、今日の資料にAGの問題が入ってなかったということについてやや残念なところがある。AGに関して今後、どのようなことを議論する予定かということについて、まず質問としておうかがいしたい。
安藤課長:AGについて従前から、坂巻委員からご指摘いただいているということについては我々も問題意識持っている。今回は長期収載品ということで資料に載せていないが、次回以降、後発医薬品の安定供給について議論するので、そのなかでAGについて、そもそもとしてAGの定義がいまない状況なので、どういう状況にあるかという現状を含めて、そこから資料を用意させていただいてご議論いただきたいと考えている。
坂巻構成員:わかりました、ありがとうございます。
遠藤座長:坂巻構成員、よろしいですか。
坂巻構成員:では、次回ぜひお願いいたします。2番目にジェネリックの使用促進に関してだが、診療報酬改定の検証結果に関する特別調査の資料をだいぶ引用されている。実はこちらも委員をしており、それも踏まえて私なりの解釈をすると、おそらくジェネリックの普及に関してかなりバラツキがあるということがある。そのバラツキの要因に関しては、おそらく大きく4つの要因というか、ポイントがあるのだろうと思う。
一つが資料35ページだが、施設の要因。例えばクリニック、診療所では比較的使用が進まない。これは、おそらくジェネリックと先発品、両方を在庫に持ちたくないということがあるのだろうと思う。これはおそらくあまり大きな問題じゃないというか、診療所の報酬をどうカバーするかということだと思う。
2番目は患者要因だ。この資料のなかでも、先発がいいとか、患者さんが先発(後発?)に対する不信感があるということあるわけだが、現実問題として大きいのが、やはり自己負担の問題だ。特にお年寄りでその負担割合が低い、あるいは子供さんで、都道府県、地域で医療費が免除されているところにおいては、やはりジェネリックの普及が遅れている、置き換わりは低いというようなことがある。少し中身は見る必要はあると思うが、論点としてはこういった患者さんによってジェネリックがあまり使われない集団に対して自己負担のあり方について議論すべきではないか。
それから45ページございますけども、薬剤要因これは向精神薬であったり、いわゆる悪性腫瘍薬であったり、それから貼付薬に関して使用が進まない。こういったものについて、もう少しきめ細かい診療報酬上の措置をすべきではないかということが言えるのではないかと思う。
それから4番目に、これは資料にないが一番大きな問題というのは地域差だ。特に大都市のある東京と大阪、神奈川といったところでジェネリックが普及しない。こういったところの原因をどう分析し、解決に結びつけるか。こういったことをもう少し分析しながら最終的にはロードマップ、あるいは今日の参考資料に入っているが、次期医療費適正化計画に具体的に折り込んでいくのか、そういったことが論点になると思う。
遠藤座長:ありがとうございます。これまでもずいぶん議論されていたけれども解決されていないような課題も含めてご指摘をいただいたと思う。患者の自己負担の問題などは医療保険部会でも毎回議論をされている一つのテーマであり、地域差の問題も指摘はされてきたが、薬価基準制度であるとか診療報酬、調剤報酬は全国一律というのが前提になっているのでなかなか地域差の調整というのが難しいという政策上の問題点もあってなかなかあれなんですけど、そういうことも含めて我々は議論していきたいと思う。ありがとうございました。それではお待たせしました香取構成員、どうぞ。
香取構成員:はい。先ほど三村先生がおっしゃったことがおそらく一番重要なことなのではないかという気がしている。今日の資料でもそうだが、後発品がだいたい80になっているというのをどういうふうに理解するかっていうことだ。
100%っていうのがあるのかどうかわからないが、現実に20%で、何が残っているんだという話をすると、そもそも様々な理由で後発品が参入してこない、あるいは非常に困難だという現実がある。あるいは患者の選択ということが起こっている。
このようなことが起こっているとすると、そもそも何のために後発品の割合を上げる議論をしてきたのかということを考えれば、いわばそこで必要以上に無理をして後発品の比率を上げていく必要があるのか、ということなんだろうと思う。80といういまの数字をどう評価するかと。そういう意味で言えば、代替可能な部分があるし進めるべきだと考えるのか、
この状況をある程度、当初考えてきた医療費の適正化なりなんなりという観点からすれば、一定のゴールに到達していると考えるのか、ただそこの判断だと思う。
もし到達していると考えるのであれば、次は何を考えるのかということになるのだろうという気がする。そうすると、先ほどのオーソライズジェネリックの問題であるとかいうことになってくるし、あるいはその全く問題状況が違うもの、バイオシミラーはそもそも製造工程が全く違うので、既存の後発品メーカーにははっきり言って対応できないわけだ。実際いまおそらくバイオシミラーは日本に輸入で入っているので、逆に言えばそれでいいのかという問題に今度はなってくるので、どちらかといえば産業政策の問題がある。そう考えると、やはりいま後発品も医薬分業も進めてきたが、このままこの政策を続けるのかということをやっぱりちょっと考えるべき段階にあるような気が私はする。ちょっとそういう視点で議論した方がいいのではないかという気がする。
それと、ちょっとこの場で議論するかどうかはわからないが、診療報酬上、後発品の代替について調剤の段階で様々な点数がついている。後発品をたくさん出すと体制加算がつくとか、あるいは「後発品があるけれど、どうしますか」と患者に聞くことで点数が付くとか、それはそれで、いままで効果を持ってきたものだと思うが、言ってみれば、ある意味それはそのやり方で達成できる目標はほぼ達成しつつあるわけだ。だとすると、僕はそれでいくら診療報酬がついているかわからないが、引き続きそういうものもつけ続けるのだろうかと。
それはさっきの80%に達成したというところから、次の目標を考えるときでは、その次の目標を考えたときにいまの診療報酬上、役割が終わったものはあるのではないか、と。あるいは別の新しい課題があるのではないかと考えてくると、調剤報酬の色々な形で現場の選択ってことでつけてきましたが、患者の選択という形がこういう形で残っているんだとすると、そこに例えば指導の点数をつけてもおそらく効果はないので、空振りになるだけだと思う。私自身の薬局での経験からしてもそうなので。考えてくるとやっぱりそういうところも視野に入れて見直す、そこが僕はある意味、診療報酬の適正化、一つのアイテムになるんではないかという気がするので、そこはちょっとこれからも議論していきたいと思う。以上です。
遠藤座長:はい、重要ですね。診療報酬、調剤報酬も色々な角度からどんどんつけていったわけだ。まさにものすごいアクセルを踏んだということで、逆に言うとそんなにつけたのでジェネリックはトータルで見るとそんなに自己負担は安くないのではないかという議論が出てきたぐらいなわけですよね。加算がついているわけですから。
ということで、ジェネリックそのものの値段を引き下げるべきだという議論になっていくわけなので、実際それで行ったわけだが、そういうやり方でいいのかどうかということで、ただもう行くとこまでいっているので最終的には患者さんの意向、これは自由に選択できるということを言っているわけですから、そこはもう自由にしているわけなんですが。
そこをどうするかということで、自己負担を考えるという議論が出てきているわけだ。医療保険部会でその種の議論が出てくるときに、要するに長期収載品とかあるいは特定の薬剤について自己負担を引き上げるという仕掛け、これは給付率を変えなくても場合によっては、選定療養の対象にするとか、考え方はいくらでもできる。そこでよく言われた議論は、例えば長期収載品に高い自己負担をつけると患者さんは特許中の薬、新薬を処方してくれと医師に頼み、医師も同じような効能があれば新薬を処方するという形になって、実際新薬の方が自己負担が安くなるということになる。結局、ジェネリックへの転換ではなく、新薬への転換が起きるということが起きて、それは新薬のマーケットを大きくし、新薬の研究開発を促進するという目的からは、合目的なのかもしれないが、薬剤費を抑えるという点からしてみると、むしろ逆なんですね。そこら辺はどうするべきかという議論でいつも議論なっている。そのあたりも含めてどう考えるかということだと思う。重要なご指摘だと思います。何か事務局、香取構成員がおっしゃったことにコメントありますか。特段なければ結構です。よろしいですか。はい、今後の議論ということにさせていただきます。他にいかがでございましょう。三浦構成員、どうぞ。
三浦構成員:三浦でございます。資料をいつもありがとうございます。いま香取先生がおっしゃったみたいに、もう80%がどういう目標かというのはやはり大きなテーマであるんで、それは考える必要あると思うが、坂巻先生がおっしゃったみたいに、その患者問題というのがやっぱりすごい大きなポイントやっぱり自己負担というのを私もすごくあるかと思ったんですけれども。やはりたぶん啓発普及をすごくされていると思うが、そのなかでやっぱり最近流行りの言葉で言うとやっぱりエビデンスですけれども、エビデンスベースがやっぱりすごく必要な感じがありまして、本当に普通考えますとやっぱりどちらがいいかっていう話になりますとやっぱり安いわけですよね。
そうすると普通に合理的に判断すると、一般的には高いものはやっぱり良い商品じゃないか、安いものは悪い商品じゃないか、と価格は品質の指標の一つになりますから、多分ジェネリック悪いんじゃないかという話になる。先ほど、メディアの話が色々あったが、本当に色々なところで副作用が起こったとか、やっぱりこっちの方がいいとかコーティング剤が違うとか山ほど情報がある。そういった意味ではたぶんジェネリックが悪いんじゃないかと、普通の消費者は合理的に判断しますし、その一方でジェネリックの方がいいっていう情報はゼロだ。そういう話もあるし、やはり素材に関して考えますと、実際中国など国内の材料なんか使っていまして、これはもう食品なんかも全部同じだが、やっぱり国産はいい。一方で、やっぱり海外の物は信用できないというのは一般の消費者の話だ。
そういったところでは、どう考えてもジェネリックが悪いと合理的に判断しそうな感じがあって、その一方で安いからどうするかというコストパフォーマンスの話だが、80%ぐらいで収まってきてなかなか上がらないみたいな状況を考えると、たぶん私の周りとか知り合いでもそうなんですけれども、やっぱりお金がある人というか、お金を払ってもいいという人とか、病気が重いという人というのは、なんかやっぱり少しでもいいものっていう話になってやっぱりジェネリックが普及しない、感覚的で恐縮だが。2割というのはそういう人たちではないかという感じがすごくする。そういった人たちに対してやっぱりエビデンスがすごい必要でなぜ安いかということに関しましては、普通一般的に考えるとそういった国外の素材を使ってるんで安いとかという話もあるわけだが、やっぱり一般的な競争戦略の話で恐縮ですけれども、世界のメーカーなもんですから研究開発が全然ないわけですよね、少ないわけでして。
したがって、安くなるということをやっぱりちゃんと伝える必要がある。素材が安いというだけではなくて、研究開発費が低いので安いっていう話とか、あとPMDAとかがやられているわけですよね、生物学的同等性実験(注:生物学的同等性試験)とかっていうんでしたっけ。
そういったものでもう本当に変わらないと。したがって素材が違うかもしれないし研究開発投資も違うかもしれないけれども、本当に統計学的に全然同じだということをやっぱり伝えていただく必要があるような感じがしまして、そういった意味では本当になぜ安いかということを明確に言って、ただ効能が同じだということを、単に成分が同じというだけではなくて、本当にそういった統計的な実験をちゃんとしていって調査しているということを何かやっぱりしっかり伝えていただく必要があるんではないかなという感じがしまして。
そういう意味では本当に最近の消費者って全部そうですけれども、すごいやっぱり細かく見ていましてそういった意味では、そういった事実をやっぱり提示していただくというのがすごい重要で、そういったところからやっていただく必要があるかなと思いまして。あと、坂巻先生もおっしゃったように、ターゲットによってだいぶ違う感じがありまして、そういったジェネリックに行く人と行かない人はその辺を何か分類して何か調査するなどしながら特にアプローチしていくかいいか、全般的な話ではなくてそういった何か分けていくことも何か必要かなという感じがしました。
遠藤座長:はい、どうもありがとうございました。小黒先生があのオンラインで手を挙げておられるが、私一言申し上げる。大変ジェネリックの話が出ている。色々ただジェネリック今後また使用促進していくということについては、もう少しきめ細かく議論をしたらどうかというようなご意見が多かったように思う。本日は、実はジェネリックの使用促進を議題にしているわけではない、と私は理解している。
今回は長期収載品に頼っている先発品メーカーが新薬開発にシフトするようにするにはどうすればいいか、という議論なので、そのなかの一つに、もちろんジェネリックをいままで以上にもっとシェアを増やすべきだという考え方もあるが、それ以外にもあるわけだ。つまり、長期収載品をあまり売れなくする、あるいは利益を出なくする、というそういうことですから、一つは自己負担の問題が先ほど出てきたわけだ。
もう一つは長期収載品の価格の特例引き下げをずっとZ2以降やってきているので、置き換えが進まないから価格を下げるというのもある意味ちょっと妙かなという感じもしないではないが、ただそうすることによって長期収載品の利益率を下げるということをやるわけだ。このZ2などの特例引き下げをどう考えていくかということも、一つ重要な課題だ。多面的にご意見をいただければと思う。ジェネリックの問題だけではないということだと思う。それではお待たせしました。小黒構成員、お願いいたします。
小黒構成員:ありがとうございます。長期収載品を後発品に移行させるっていうような話との関係で資料51ページ目の患者調査の結果が気になっている。確か菅原構成員が別の実証分析で研究されているやつで、年齢など属性別にみると、年配の方々がジェネリックを回避している話もあったと思う。どういう要因で患者側が選択しているのか。この有識者研究会はどちらかというと財政的側面や供給者側の側面に偏っていると思うので、患者側のもっと細かい話や、先発品の新薬開発も含めて聞くような“場”を作っていただくってことは可能か? その方が良いと思うのだが。いかがでしょう?
もしくは、その細かいデータを通じて患者側がどういうニーズを持っているかって見ていくことも一つあると思う。いまのジェネリックの話もそうですし、長期収載品の話もそうです、イノベーティブな医薬品の開発のところも関係してくると思う。事務局の方で今後のスケジュールについてお考えいただき、お聞かせいただければと思う。
遠藤座長:何かございますか。
事務局:はいありがとうございます。患者側の状況が非常に重要だという問題認識は我々も同じく持っている。具体的にどういう方法でその患者側のデータをとるか。本日提出した資料はかなり限定的なので、先ほど菅原先生が行った調査があるということでしたが、そういった調査の中で患者側の状況が把握できるものがないかどうかを事務局の方で探してみて、その結果について報告させていただくという形をとらせていただきたいと思う。
率直に申し上げるとスケジュール的に、物理的な問題だが、ヒアリングを入れていくということは時間的に難しい。まずは、いま申し上げたような既存の調査の中で小黒構成員が言ったことについて答えられるものがないかどうか事務局で探させていただきたい。
小黒構成員:可能であれば一時間くらいでも(ヒアリング)できないか。なぜかというと繰り返しになるが、財政の論理であるとか供給者側に偏っているという感じがして、例えば長期収載品をジェネリックに移行するとしても、実際に患者がどう考えているのかなど、団体を2つ3つぐらいで1時間の枠内で何か我々が聞ける場って設けることは難しいのか?
遠藤座長:特に患者固有の問題なりますので、年齢によっても使い慣れている薬を持っている人と持っていない人、あるいは高齢者は自己負担が少ない、あるいは購入する地域によって差があるなど様々な問題があるので、おそらく相当数のデータを入れて調整しないとその議論はできないという感じがする。誰を呼んだかによって非常に大きなインパクトがついてしまう。おそらくは時間的制約の問題も含めて既存の調査結果の中である程度類推するような結果が読めるものをいろいろ調べて出してもらうというのが現実的なのではないかと思う。いかがですか。
小黒構成員:前回のイノベーティブ医薬品の時もそうだが、GISTの問題とかで開発されてない医薬品とかありますよね。そういったところで患者がどう考えているのかとか、何かやはり公的医療保険制度の中で医薬品が取り込まれて薬価収載されており、最終的には国民のための制度だと思う。特に医薬品を使う場合は、その人たち(患者)がどう考えているのかを全くヒアリングせず進めていくことが本当に適しているのか疑問に思う。可能であればですが…。
遠藤座長:大事なご指摘だと思います。ただ、どこにフォーカスを絞ってヒアリングをするか。まさにジェネリックの選択の話なのか、企業にどういう薬を作って欲しいのか、それは患者さんから言わせればできるだけ自分たちの関係する薬を開発してほしいという要望が強いわけだ。どういうテーマで誰をお呼びするのかっていうようなことが重要なので、どこまでできるかっていうことも含めてちょっと事務局と相談をさせていただきたい。それが難しければ何か代替的な方法をとるかどうかも考えてやらせていただきたいと思う。よろしゅうございますか。ありがとうございます。はい川原委員どうぞ。
川原構成員:わかりやすい資料の提示ありがとうございました。いま話を聞いてステークホルダーが4つあるのかなと思った。まず1点目は先発企業、2点目が後発企業、3点目は医療提供者、最後の4点目は患者-。4つのステークホルダーがあるのかと。
まず1点目の先発企業だが、徐々に後発薬並みの価格に持っていくということで撤退を促して、それによってなるべく経営資源を先発品の開発に特化していただくというふうな形で考えられていると。
2つ目の医療提供者については各種加算によって後発薬になるべくシフトするようにという政策がとられていると解釈した。
3番目の患者ですけれども、これも皆さまから「自己負担はどうなんだ」という話がありました。これも健保法の附則をどういうふうにクリアするかという問題もある。あと、どちらかというと通常の低分子薬よりも、バイオシミラーの方が1品あたりの単価が高いと思うので、自己負担をどうするんだっていうふうなところを考えていかなければならないのかなというふうに思った。坂巻構成員の言うように高額療養費もおそらく絡んでくるのかなと思った次第。
あと一番最後が後発薬、後発企業ですが、実際に後発品への置き換えが進んでいない品目、どのような品目が本当に進んでいないのか。製造ラインの特殊性という要因のあるものが進まないというのは分かるが、そうではない部分で、長期収載品の品目に後発企業が参入しないという品目等があれば、そういうところに対して何らかのインセンティブを設ける必要があるのかなと思う。そういうインセンティブを与えることで後発企業も長期収載品に入っていくことによって、きちんとG1、G2を適用していくというあたりも考えていかなければならないのかなというふうに思った。
それと長期収載品のみの企業について、今後どうしていくかという部分で、それこそ後発品を扱う企業になって頂くとか、もしくはバイオシミラーだけではなくて、CMOというふうな形でこの長期収載品をこれまで扱っていた企業が撤退後に、こんな活躍の道があるんだといったところを示していく。そのためのインセンティブを促すといったあたりも考えていく必要があるのかなというふうに思った。以上です。
遠藤座長:整理していただきありがとうございました。健保法の付則にある自己負担3割を超えないということについては「選定療養」とすることによって自主的に超えてしまっているというような動きもあるわけですけど、そういうような仕掛けが必要かどうかということですね。はい、他にございますでしょうか?はいそれでは芦田構成員お願いいたします。
芦田構成員:事務局の皆さん膨大な詳細資料いつもながら作成して頂き、ありがとうございます。いまの話と関係するが、資料にあるように後発品の促進ということが、始まってから20年以上経つ。その間、新薬を開発製造していた製薬企業も、既にビジネスモデルの転換が行われてきている。企業によっては本当に新薬開発に特化して、合併があったり、それから欧米のスタートアップを買収したりして新薬開発力を強化するという会社もある。
すでに長期収載品を事業売却している製薬企業もある。また、先ほどありましたけれども、元々バイオ医薬品を扱っていなかった先発メーカーで、バイオシミラーの事業に参入した。これは海外企業との提携をベースに参入したものだ。
逆に言うとこの20年間、何もしてこなかった会社も多数ある。その会社についてどうするかっていうのを議論する必要がある。私の率直な意見だ。
もちろんいろいろなその事例が出てきている。先ほどの発言にあったように後発品を扱う企業であるとか、それからバイオシミラーを扱う企業、それからCMO,CDMOへの業態転換。これはある種兼業のような形で進めるというやり方だ。そういう方向性はあると思う。
いずれもそういう事例が出てきている。国内外の事例が出ている。あとはそれぞれの企業の経営者がどういうふうに判断するかっていうのが最も重要なことだと私は思う。以上です。
遠藤座長:ありがとうございました。それでは先ほどお名前も出ましたので調査をされたということもありますので菅原構成員お願い致します。
菅原構成員:やはり長期収載品が他国に比べて多いという現状を、どのように考えるのかということを私も考えていた。資料9枚目で長期収載品を扱う全企業のうち、長期収載品の売上比率が50%を超えているものがやはり20%ぐらいあるという現状。10枚目のスライドで新薬創出等加算を持って画期的な新薬を開発しているけど売上は50%が長期収載品だという企業も10社ある。ある意味でおそらく長期収載品を売り続けてある程度売上を立てないといけないような、おそらく投資回収ができないような現状が我が国の製薬企業の実態なのかなというふうに思った。
これは令和3年度の調査で特に12枚目のスライドは、新薬を取り扱わず長期収載品を取り扱う企業が19社ある。これは一体どういう状況なのか。ワンショットの一時点での調査なので、おそらくそれまでは新薬だったんだけれど、たまたま特許が切れて新薬がなくなり長期収載品だけになっているっていう状況だと思う。要はこの長期収載品だけに頼る状況っていうのがどの程度継続しているのか。あるいはピーク時売上の早期化が最近言われているが、どれだけ今の日本の多くの新薬メーカーと言われるところが、そのピーク時売上げでどの程度自分たちの投資を回収できているのか。これが少しわかると解決の糸口がわかるような気がする。
おそらく資料が示しているところは一言で言えば、“ゾロ新”と言ったらちょっと問題があるかもしれないが、画期的な新薬の開発ではなかなか難しいのがまだ半数ぐらいあって、そこのメーカーは一応特許期間中は一定の利益を上げつつも十分な回収ができず、長期収載品をある程度売り続けているというのが我が国の状況なのかなというふうに見ていて感じた。
ですので、この長期収載品からのなるべく画期的な新薬への開発メーカーへの移行というのを流すっていう観点からすると、この長期収載品がどのぐらいの期間、収益が上がっているのか、あるいは早期のピーク時売上高っていうのがどのぐらいのところに各メーカーが来ているのか、そこら辺を合わせて見せていただけると良いのかなというふうに感じた。以上でございます。
遠藤座長:ありがとうございます。今のことについて事務局いかがですか。
安藤課長:大変重要なご指摘だと認識しました。本日は、そういう意味で表層的なデータになってしまっているので、もう一歩突っ込んで、今まさに菅原構成員の指摘のように長期収載品の扱っている期間ですとか、もう少し深堀した形でデータがどこまで取れるかということについて我々の方で整理させていただきたいと思う。ありがとうございました。
遠藤座長:ありがとうございます。非常に大切なご指摘をいただきました。お待たせしました堀構成員どうぞ。
堀構成員:はい非常に詳細なデータをいただきまして本当にありがとうございます。大変勉強になりました。先発企業のあるべきビジネスモデルに関する資料7ページ。これは多分、ここにいらっしゃる皆さんはこれが将来的にもこういうビジネスモデルがあったらいいなって思っているっていることを前提にお話する。
長期収載品に依存せず、高い創薬力を持ち、かつ特許期間中はある程度価格が維持されているが、それが終わったら後発品にうまく置き換えて、先発メーカーは新薬創出に行くことがモデルである。現実にそれを行うために先ほど川原構成員がステークホルダーごとに取り組みまとめてくださいました。薬価をどういうふうにしてきたか、あるいは診療報酬としてインセンティブをどうしてきたか、あるいは患者の視点でどういうふうになってきたか―。整理をしていただいてその通りだと思います。薬価についてはZルールのこの“Z”っていう意味は何ですか?と聞いたときに、「これが最後のZだっていう意味だった」と聞いたことがある。
それがZで終わらずZ2になって、それが次はG1、G2っていうふうになってきている。おそらく今の新しいモダリティを考えると、今までのやり方っていうのはちょっと限界にきているのではないか。ただ一方で、今日示された細かいデータを見ると一律にジェネリックと言っても後発品と言ってもそれぞれ代替品がないものもあれば、医療上必要なものもある、あるいはアメニティに近いようなものがあるのではないかなというふうに感じた。
そのアメニティと言わないですけど使用感あるいはその企業側の付加価値をつけるための努力は非常に前向きなものだと思う。そこについて本当に保険で見るものなのかなとか、先ほど保険外併用療養費の話であるとか自己負担の話あるいはその自己負担の上限の話とかもあったが、例えば湿布の話とかも出てきたが、本当にそれをどこまで(保険で)見るのかっていうのはちょっと検討する余地はあるのではないかなと思う。
一方で代替が不可能な特殊性の高い輸液のようなものに関してはどういうふうにするのかとか、やはりそのカテゴリーごとに同じ後発品といっても考えなければいけないっていうふうに思った。
ちょっと質問もある。G1とG2でこれを切り替えのところで見させていただきますと、資料20ページの現状の制度ところで薬価が下がっていくのは特に問題はないのかもしれないが、実際G1とG2の品目と、それから成分的にどれくらい置き換えの割合がどうなっているのか資料がありましたら教えていただきたい。それからちょっと気になったんですけど資料35ページの診療所も後発医薬品に関しては薬によっては後発品を積極的に採用となっているが、無回答が42.5%もあるので、使用している場所もかなり特殊性というか、無回答42.5%って結構大きいかなと個人的には思った。
それから、後発品の数量目的の80%も達成していて金額の部分に課題があるにしてもこの先どうしていくのかっていうところで先ほど坂巻構成員が言ったような患者の負担のところはちょっと検討をしていく必要があるのではないかなと思った。とりあえず今のところは以上です。
遠藤座長:質問についてわかる範囲で応えられることについてお願いします。
事務局:はい。堀構成員からご質問いただきました。G1ルールが適用される品目は267品目、G2ルールが適用されている品目は192品目になっている。以上でございます。
堀構成員:ありがとうございます。これはどちらでも基本的いいということなのか。なるべくG1を増やしていくとか、どうしてもG1にならないものとかもあると思うが、何かそれについてご意見があればいただければ。現状としてこうなっているっていうのであれば、それでも大丈夫です。
事務局:はい。ありがとうございます。こちらの資料では細かくてわかりづらいのですが、G1、G2のそれぞれの分類につきましては、後発品置き換え率が高いものはG1 ルールが適用され、一定程度まで進んでいない置き換え率が低い品目はG2ルールが適用されるという形になりますので、基本的には長期収載品から後発品への置き換えを進めていくという考え方に立てばできるだけG1ルールが適用される品目を増やしていくということを目指していくということになるかと思います。
堀構成員:そうですよね。なので、それでもG2がそれなりにまだ残っているっていうのは先ほど資料で示されたような構造的な要因があるのかなというふうに思った次第です。以上です。
遠藤座長:他にございますか? それでは三村構成員から成川構成員の順でお願いします。
三村構成員:本日のテーマが長期収載品を扱っているメーカーのビジネスモデルをどう考えるかという話だった。一言コメントしたい。先ほど芦田構成員発言されたことに賛成する。ただ、一つ言えるのは国内市場だけを考えてビジネスモデルを考えると、基本的にはベンチャービジネスとか、全く違うバイオ、バイオシミラーがでてくるが、基本的な国際競争力という議論が非常に大きく出てくる。
そうすると簡単に新薬創出企業に移行できるわけではないかもしれない。そのバリアが非常に高いということも、前回の話からも承っている。まさに後発品の促進策についてはいろんなご意見がありますから、これについては粛々と進めていただきたいと思う。いま展開している長期収載品がある程度残ってメーカーにとってどうするかっていうのは、ある意味これ経営者の判断であるし、逆には制度が変わることによって経営判断も変わるだろう。それともう一つ言いますと、やはり企業は売上だけでなくて収益基盤がないと投資できませんので、そのため基本的にはオーソライズドジェネリック(AG)もそうだと思うのですが、そういうことを含めてもう少しメーカーに関しては国際的な市場、国際競争力という点もあるんだということを含めた上で、やはり検討を入れておいた方がいいというふうに思う。以上です。
遠藤座長:ありがとうございます。実態はまさにそういうことだというふうにも思います。ありがとうございました。それでは成川構成員お願いします
成川構成員:ありがとうございます。コメントと質問です。まず一つはコメントだが、ジェネリックについてネガティブな印象を持つようなアンケート結果が出ていると思う。これはジェネリックを採用しない方に聞いたから、こういう答え来ているわけで、国とジェネリックの中にも例えば味とか使用感をすごく工夫していて、逆に好まれているものもあるということだけコメントさせていただきたい。
質問というか、今日の議題の長期収載品に依存している企業をどうするかっていう話なんですけど、そういう企業もおそらくは革新的医薬品を開発したいと思っていろいろ努力されていると思う。しかし、結果的にそういう薬が長く出来ないというのが事実かなと思う。そこは結果で判断せざるを得ないというふうに私自身も思う。
それで今のルールのG1、G2ルールというのは2018年に導入された。要するに後発品が出てから10年後ぐらいを見て、そこから下がってないものを強制的に下げるもので、このままほっておいても、もっと影響は大きく出て、要するに長期収載品に移動している企業にそこから撤退するようなことを期待していいのか? 効果はほぼMAXに出ていてもう何か新しい制度なりを作らないと、これ以上長期収載品が減っていかないという理解でいいのかその辺がちょっと分からなかったので、もし分かれば教えていただきたいと思う。
遠藤座長:ありがとうございます。わかる範囲で結構ですので。事務局どうぞ。
事務局:既にご指摘いただきましたようにG1、G2ルールが導入されてからまだ年数がたっていないという状況でございまして、資料20ページの図で申し上げますと、例えばG1品目で申し上げればルールが適用されてから6年を経過しますと長期収載品が同じ価格まで下がるという形になっている。しかし、ここまで到達した品目は現状ではまだない状況。このルールが完全には適用されきっているという状況ではないということを考えますと、これからももう少しこの制度の効果というのは高まってくるということが想定されるかと思います。
遠藤座長:ありがとうございます。それではオンラインで参加している井上構成員お願いします。
井上構成員:はい、井上でございます。発言の機会を頂きありがとうございます。ちょっと門外漢のところがあって発言を控えた部分がある。なぜかというと、今日の資料7ページにあるべきビジネスモデルというのが出まして、正直言って違和感があると感じた。これに沿ってビジネスをしなさいっていうのが、この業界の一つの象徴的なことなのかもしれませんけれども、これは企業が独自に考えるべきものなので、これに沿って政策を考えるというのはちょっとやや驚きを持ったところであります。
後発薬の置き換えはむしろ財政的なところもあり、また、できるだけ多くの患者、使用者にとってメリットがあるということで進めてきたもので、そのこと自体はむしろ所与のものとして企業はそうした中で長期的にどういうふうに持続的成長を図るかというところは企業の独自の工夫のところで、あまりここを政策的に言う必要はないのではないか。その意味では芦田構成員その他の先生方もおっしゃられていましたけれども、ここで新薬の開発に行けないということは、その企業の実力でもあり、逆に言えば、新規のベンチャー企業が参入する余地が大きく広がっているということだと思う。
ですから長期収載品に依存している企業をどうするかはその企業自身が考えることで、何か政策的に企業が不当に競争状態で歪められているということでなければ、ここを考えるというよりはむしろ、そうした新薬をしっかり開発できるベンチャーをいかに出していくか。そういうベンチャーが出てくれば、より長期収載品に依存するというビジネスモデルそのものが持続可能でないということがわかってくる。むしろそれによって新陳代謝もしくは長期収載品に依存している企業そのものが特許期間中の開発により注力するという正の循環が生まれてくると思う。やはりそういうことをしっかりと環境整備する方が競争状態をより高く保つという意味で望ましいのではないか。そのように考えている。暴論かもしれませんがそのように感じた次第です。
もう一つ私はちょっと門外漢なので、ネットでいわゆる後発薬と長期収載品のリストをみたが、これは全く素人が見たら見てわからない。その意味では消費者側から見てどの信頼性があるかというこの膨大なリストを見て判断することは非常に難しい。ここに何か独占市場みたいなものができていて、一度、その医薬品を使い始めると患者側はそこから離れられない。やはり情報の非対称性であるとか不確実性の回避というのが消費者側にある。情報の提供の仕方そのものに問題があるのではないかという感じがした。以上です。
遠藤座長:ありがとうございます。重要なご指摘だと思います。何か事務局コメントありますか。それでは菅原構成員、お待たせいたしました。
菅原構成員:発言の機会をいただきましてありがとうございます。本源的な問題だと思わないが、おそらく大事なんじゃないかなと思って一言申し上げたい。やっぱり根本的に薬っていうのはモノと同時に情報が適切に使い伝えられてきちっとした仕様ができるというものですので、やはり医療従事者とか患者さんに対する情報提供がきちっとなされるということが基本だというふうに思う。そういった意味で今日のテーマである長期収載品から後発品へなるべく早期に移行してほしい、あるいは長期収載品に依存しているメーカーはなるべく新薬の開発に専心してほしいということは、大方針としそうだが、でも実態として長期収載品メーカーすなわち新薬を開発したメーカーが、その薬剤に関する情報提供に非常に大きな役割を果たしてきたということは事実でありまして、この長期収載品から後発品への移行の中で、その情報の受け渡し、その利用のされているような様々な安全情報は当然ですが、そういうものがきちっと後発品メーカー引き継いですね、提供されていくような話が一方でないと国民目線から言うと若干この議論は不安だなというふうに考えた。
この話は昔から後発医薬品の利用促進のところで、実は新薬メーカー、開発メーカーからそれはいいけど、実際にその情報の提供は大丈夫なのか、自分たちが結構なコストを払ってやっているんだっていうことを、ずいぶん前から耳にしていたものですから、今現状はちょっとどうなっているか少し話が違ってきているかもしれませんけれども、そこも一方でちょっと考えておかなければいけないかなというふうに思いましたので、発言をさせていただきました。以上でございます。
遠藤座長:ありがとうございます。ご指摘もいろいろとされておりますけど、重要ですね。そのあたりは何かわかるのですか? 特許情報だけ使われても、その他もろもろの販売をするときに使った様々なデータみたいなものはジェネリックメーカーにいっていないわけですよね。
事務局:はい。ご指摘いただきましてありがとうございます。いま菅原構成員からご指摘いただきましたように、当然ながら先発企業の方には後発企業が持っていない開発時のデータから市販直後、市販後の副作用情報等の安全性データを含めまして有効性、安全性等の様々なデータを持っているというのはおっしゃる通りでございます。また仮に後発品に置き換わったときに、それらの引き継ぎが行われない懸念があるんじゃないか、という指摘も業界内でもいただいているということはご指摘の通りかと思います。
状況がどう変わっているのか、何か改善ができるか等につきまして、いま情報を持ち合わせておりませんので、ご意見を踏まえて確認等をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
遠藤座長:ありがとうございます。関連で坂巻構成員が手を挙げておられます。お願いします。
坂巻構成員:はい、ありがとうございます。いまの件に関しましては資料20ページでしょうか。現在の制度の中でG1,G2ルールの中で最終的には長期収載品と後発品が同一価格になるところあるわけですけども、そのときに先発品が撤退した場合、その情報を引き継ぐチェック費用に関して薬価調査の優遇措置を与える仕組みがあります。確かにそれがうまくいくのかということに対する批判、懸念はこの制度が導入されたときからあった。その当時からも議論があるわけですけども、そういったことを上手くいくための仕組みとして、例えば医薬品安全性情報に関しては、パブリックドメインにするんだと、そういった議論もありました。その部分については確かに進んでない部分がありますが、一応の仕組みとしては、ちゃんとそのジェネリック企業が情報を受け継ぐ仕組みがあるということは理解しておくべきだろうというふうに思う。
長期収載品のビジネスモデルに関する議論に戻りたいと思う。先ほどちょっと申し上げましたけど私は平成26年に中医協の参考人としてジェネリック薬品の使用促進に絡む議論に参加したことがございます。その当時もジェネリック薬に対する拒否感があったわけですけども、財政の観点から言えば、もういっそのこと長期収載品とジェネリック医薬品の価格を一緒にしたらいいじゃないかとこういう話があった。これに対する反論が3つあるいは4つあった。
4つ目から言いますと、ジェネリック医薬品側からすると長期収載品と価格を一緒にしたら後発品はなくなっちゃうと、この反対ですね。残りの3つが先発側の話だ。まず一番大きな理由は、要するに新薬開発が非常にリスクが高いですから、その新薬開発のリスクを長期収載品から得られる利益で賄っているというのは、これがその先発医薬品の当時のビジネスモデルだったわけです。
だけどもそれだと長期収載品に依存するから新薬が出ないでしょということで、ずっとその新薬長期収載品依存から脱却しましょうということで、様々な集約産業の産業ビジョンであったり、あるいは医薬品産業強化総合戦略であったり、いろんな厚労省を中心としたビジョンの中で、長期収載品依存から脱却しましょうということで、この長期収載品の価格を下げるということが政策的に導入されてきたわけだ。
こうした長期収載品に依存した開発ビジネスモデルにまた戻るんですかっていう議論に私は今日聞こえてしまっている。私はまず、そもそも長期収載品に依存せずに常に新薬を出してきて、それで新薬から利益を得てまた次の新薬の開発に投資していく、こういうビジネスモデルに転換できない会社はいずれ撤退してもらうのもしょうがない。あるいはその別の業態、例えばジェネリック企業に変わるというような議論がこれまでなされてきたというふうに考えている。
残りの2つ目ですけど、例えばドラッグリポジショニングも一つの先発メーカーだって話があります。確かにドラッグリポジショニングのための開発コストがかかりますよね。でもそれは長期収載品から利益を得るのではなくて、ドラッグリポジショニングによって開発された新しい適応症に対して適切な薬価をつけることが大切なんだという議論ではないでしょうか?ちょっとそこもやっぱり長期収載品依存の議論として価格を高めに設定するっていうことについて違和感を感じる。
三つ目は、これは先ほど三浦構成員から話ありましたけども、そもそも長期収載品の方が製造コストがかかるんだと。原薬原料の値段が高い、あるいはそこでの人件費がかかるという発言がありました。これは事務局に資料提出をお願いしたいのですけども、それは事実でしょうか?
私が知る限りにおいては、先発企業、長期収載品の原材料価格が高いなんてことはありえないと思う。世界中で特許が切れた市場においては先発企業においても長期収載品においても、価格引き下げるために海外からの原料調達を行っている。そして製造においてもよりその製造コストの安い海外に製造拠点を移している。長期収載品がいったい今どこで作られているのか。ということについて事務局から資料の提出を求めたいと思う。少なくともロードマップの調査においては原材料については、ジェネリックと同じように海外依存は結構ある。
そもそもわざわざ安い値段をつけて、安い原材料を買って、その結果ジェネリック薬品が安かろう悪かろうって言うことについて、どういうエビデンスがあるのか。実は医療関係者の中にいまだに安かろう悪かろうとおっしゃる方がいますけども、そういった人たちは実際に長期収載品がどのような形で作られているかについてほとんど知識がなく、マスコミの受け売りであったり、あるいは思い込みだけだったり、そういったことを言っている。そういったことがひいては患者の不信感を抱いてもらえているっていう現状にあるというふうに私は思っています。
すいません。最後はジェネリック医薬品のコストの問題になってしまいましたけども、少なくとも長期収載品が原材料価格、コストに対してジェネリック薬品が高い、だから高い値段の長期収載品のデータを高く設定するという議論について私は誤りであるということは指摘しておきたいと思います。発言の機会をありがとうございました
遠藤座長:ありがとうございます。三浦構成員、手短にお願いします。
三浦構成員:一点だけです。原材料価格が高いわけではなく開発費ですよね。やっぱりトップメーカーは開発費にものすごいお金かかるんで、それで高くなって原材料は坂巻構成員の指摘通り、もちろんいろんな安いところから取ってきてますので、原材料費に関しましては、長期収載品も中にこそ変わらない可能性が高く、開発費が高いので、それがオンされるので、価格が高いというふうに申し上げたつもりです。
(その2に続く)