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GE薬協・高田会長 ポスト80%で「10年先を見据えた取り組みが求められている」 今は歴史的分岐点

公開日時 2023/04/20 04:52
日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)の高田浩樹会長(高田製薬代表取締役社長)は4月19日に開かれたCPHI Japan(国際医薬品開発展)で講演し、「まさに歴史的分岐点に立っている今、10年先を見据えた取り組みが求められている」との認識を示した。後発品80%目標が示されるなかで、多くのジェネリックメーカーが似通ったビジネスモデルだったと振り返ったうえで、ジェネリック産業として価値を医療従事者、患者に認めてもらうためにも、安定供給に加え、企業独自の取り組みの必要性を強調。高田製薬として、高薬理活性注射剤の製造に取り組むなどチャレンジしている姿勢も強調した。

「医療上不可欠な医薬品の持続的安定確保の実現に向けて企業として取り組むべき課題は多く、後発品80%に達し、新たなステージに入った」-。高田会長は、ジェネリック産業が置かれている現状についてこう説明した。なお続く、後発品の供給不安は、まさに後発品80%目標達成のタイミングで起きた。現在も、約4割の後発品が出荷停止、限定出荷となっている(22年8月末時点)。

高田会長は、供給不安に加え、品質管理の不備や後発品の低い採算性などの課題が顕在化していると説明。「(後発品の使用促進策が示され)拡大期の数量増加の局面では、企業に内包され、また成長を急ぐあまり、コンプライアンスと品質確保の文化醸成が疎かになり、問題の拡大につながったのではないか。80%達成後の今、何かのきっかけによって様々な蓄積された課題が顕在化していると思っている」と述べた。

こうした課題の背景として、中医協や医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の場で、企業数の多さや、ジェネリック特有の「多品目少量生産」のビジネスモデルの非効率性などが指摘されている。

◎後発品80%は参入企業が多く達成できたものの「同じビジネスモデルを進めていた」

高田会長は、「(後発品80%目標が示された)2015年前後の成長期から急拡大期にかけて多くの企業が参入したからこそ、80%が達成できた。一方で、参入した多くの企業が同様のビジネスモデルを進めたこともあり、80%達成後に至ってみれば、企業数や製品数の多さが非効率であり、ビジネスモデルの問題として指摘されているものと理解している」と述べた。

現在も企業数の多さが指摘されるが、「長年にわたってジェネリック薬品の開発や販売を主に取り組んでいる企業数はそれほど多くないというのが実情」と説明。収載品目数が50品目未満の企業が多いとして、「例えば新薬メーカーでラインナップの補完という観点で、ジェネリック医薬品を主としない企業が含まれている。新規参入でまだ品目数の少ない企業も含まれていると思う。また、特殊な剤形や受託製造などに特化した企業で、自らの技術を生かして競争の少ない品目を取得する例もあり、それぞれ企業独自の存在感と価値を持ってジェネリック医薬品の供給に貢献されていると思っている」と述べた。

◎多品目少量生産の意義 「患者数の少ない医薬品や注射剤に着目することも必要では」

「多品目少量生産」のビジネスモデルについては、「必ずしも大量生産できるものばかりではない」と指摘。「患者数が少ない医薬品や、錠剤以外の剤形、注射剤などは市場規模全体でも数量が少なく、医療上不可欠な医薬品で少量かつ、長年の改定で薬価が低下した医薬品を持続的に安定供給することが困難とならないよう、このような製品もあることに着目する必要もある」との考えを示した。

◎「産業としての価値を認めていただくためにも、様々なことに挑戦すべき」

ポスト80%時代のジェネリックメーカーの姿として、GE薬協として次世代産業ビジョンを公表。医薬品供給の社会的なインフラとなるだけでなく、製剤技術や領域など強みを発揮するほか、グローバル展開や健康・医療・介護で存在感を発揮するなど、各社が強みを発揮して発展する姿を描いている。ただ、このビジョンは、ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメントが大前提とされている。

高田会長は、「残念ながら、このビジョン表明後、この土台の部分(ガバナンス、コンプライアンス、リスクマネジメント)が崩れてしまい、現在その再構築となる信頼確保に1から取り組まなくてはならない状況だ。しかし、改めて産業としての価値を認めていただくためにも、様々なことに挑戦するべきだと感じている」と述べた。

◎高田製薬 高薬理活性注射剤の新工場「品質要求に応え、国際競争力を持つ国内拠点に」

高田製薬としてのチャレンジも紹介した。同社は多品目少量生産としたうえで、安定供給を目指し、市場規模の大きい製品については年間を通じて製造日を確保し、集中的に生産するなどして、製造の効率化と増産を図っていると説明した。「効率化を図るためには、今後、品目や生産の集約化は有効な手段であると思われる。さらに供給不安を起こさないためにも、急激な増産対応や設備トラブル、新製品のバリデーションなどの日程の確保を考慮した計画立案が必要だ」と述べた。

同社では、高薬理活性注射剤を製造する新工場(北埼玉工場2号棟)を2024年度の稼働に向けて建設中であることも紹介。凍結乾燥機をパラレルに2基設置することにより、生産計画の短縮を実現できるよう設計することで、生産効率を高め、供給量を増加する工夫を凝らしているという。「最新の品質要求に応え、国際競争力を持つ国内製造拠点として品質加工と安定供給に貢献できる工場にしたいと考えている」と意欲を示した。

高田会長は、ジェネリック産業の抱える課題に加え、制度、周辺環境にも様々な課題があるとの認識を示したうえで、「日本ジェネリック製薬協会としては、各企業とともにこれからも信頼回復に取り組む。一企業としては、安定供給に対する責任を誠心誠意果たして参ると同時に、患者さんの服用性や医療関係者の利便性向上にこだわった付加価値製剤の開発を続け、ジェネリック医薬品の価値を少しでも高めたい。こうした取り組みによって、皆様に信頼いただける企業、産業を目指す」と語った。
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