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ラインファーマ・北村社長 経口中絶薬の発売「早ければ5月中旬」 情報提供でMR体制構築せず

公開日時 2023/05/10 04:52
国内初の経口人工妊娠中絶薬・メフィーゴパック(一般名:ミフェプリストン、ミソプロストール)が4月28日付で承認されたことを受けて、製造販売元のラインファーマの北村幹弥社長が本誌取材に応じた。同剤の発売時期は「早ければ5月中旬。遅くとも5月中に上市したい」と話した。医師への情報提供活動は、「本社スタッフがほぼ毎日実施するオンライン説明会で行う」とし、MR体制は構築しなかった。この理由について北村社長は、「同じ切り口で、同じ内容の情報提供をしっかり行うために、まず本社中心で、オンラインで発信することにした」と述べた。

「この薬剤の性質上、皆さんにしっかり正しく理解いただき、規制の下に使っていただく必要がある。間違った使い方や問題が起こると、経口中絶薬というオプションが終わってしまう。中絶時のオプションのひとつとして育て上げるのはこれからだと思う」――。北村社長は、メフィーゴの情報活動と適正使用の徹底に向けた決意をこう語った。

メフィーゴは4月28日付で承認された。効能・効果は「子宮内妊娠が確認された妊娠63日(妊娠9週0日)以下の者に対する人工妊娠中絶」。人工妊娠中絶は母体保護法に基づき行われ、メフィーゴも母体保護法指定医師の確認の下で投与する。人工妊娠中絶は原則、保険適用外で、メフィーゴも薬価未収載で使用する。

◎取引卸はアルフレッサグループ

メフィーゴの承認審査をめぐっては、1月27日の薬食審・医薬品第一部会で承認が了承されたが、厚労省は「社会的関心が高く、より慎重な審議を行う必要がある」と判断し、パブリックコメントの実施後に薬事分科会で再度審議することにした。パブコメは2月に実施。寄せられた約1万2000件のパブコメも参考に、4月21日の薬事分科会で、より厳格な服用管理、流通・使用管理、正しい情報提供を行うことを前提に、承認することが了承された。また、当分の間、入院可能な有床施設(病院又は有床診療所)で使用し、2剤目のミソプロストール投与後は胎嚢が排出されるまで入院または院内待機が「必須」となった記事はこちら

北村社長は、薬食審での審議結果などを踏まえ、「医師向け、患者向けの非常に多くの資材を準備する必要がある」とし、発売時期は早くて5月中旬になるとの見通しを示した。取引卸は「アルフレッサグループ」と説明した。

◎オンライン説明会 マーケティング部門の医薬情報責任者が主導

メフィーゴの処方を希望する医療機関は、同社ホームページから登録申請し、ウェブトレーニングを受ける必要がある。北村社長は、登録申請した医療機関や医師について、▽有床施設かどうか、▽緊急時対応できるか、▽母体保護法指定医師かどうか――などを確認するとし、「申請数によるが、一両日中には確認したい」と述べた。ウェブトレーニング終了後、登録機関として登録する。

製品説明や情報提供活動は、ほぼ毎日1回実施するオンライン説明会で行うことにした。同社は21年12月の承認申請時、「MR数は検討中」としていた(記事はこちら。北村社長は、「MRを抱えて活動することも考えたが、どれくらいの有床施設で使用されるのかが見えないこともあり、まずは本社中心で情報発信することにした」と述べた。また、「この薬剤の性質上、全ての正しい情報を、しっかり正しくお伝えするためには、本社スタッフがオンラインで説明することが一番良いと考えた」とも話した。

オンライン説明会は本社マーケティング部門の医薬情報責任者が主導し、ナレーション付きのスライドを流した後、質疑応答を行う。医師の勤務時間を考慮し、毎日、開催時間帯をずらす方針。

◎安全性情報の収集でアルフレッサグループの8社と契約

MR体制を持たないなか、メフィーゴの安全性情報の収集をどのようにするのかも気になるところ。この点について北村社長は、アルフレッサグループの協力会社である▽モロオ、▽東北アルフレッサ、▽アルフレッサ、▽明祥、▽ティーエスアルフレッサ、▽四国アルフレッサ、▽富田薬品、▽琉薬――の8社と契約し、ラインファーマとともに、メフィーゴの納品先医療機関をカバーした市販直後調査、安全性情報の収集、適正使用のための情報提供の体制を構築すると説明した。

また、「一部の重点医療機関においては、本剤の有効性・安全性を熟知した社員メンバーにて、直接、市販直後調査、安全性情報の収集を担っていく」とも語った。同社ホームページには、同剤を使用する医療関係者からの有害事象報告のためのサイトを立ち上げており、このサイトの利用に関してアルフレッサグループのMSにも周知済みだとしている。

◎「多くの臨床試験や非臨床試験を今のICHガイドラインに沿って要求され、実施した」

日本ではメフィーゴの薬剤費が数万円になるとの見方があり、数千円の海外と比べて桁が一つ違うとの指摘が出ている。1980年代に世界初の承認国となったフランスでは臨床試験が実施されたが、その後の承認国では試験は求められていないとされる。

北村社長はまず、「メフィーゴの医薬品卸への販売価格は開示していない」と述べ、具体的な同剤の薬剤費には触れなかった。その上で、「当社は新薬承認を取得するため、多くの臨床試験や非臨床試験を今のICHガイドラインに沿って要求され、実施した。(多くの試験が求められたのは)日本の規制当局が何か悪いということではなく、国際的な規制に基づくものだ」と強調し、海外とは開発・承認に至る経緯が異なると指摘した。ただ、「これだけの試験をやらないといけないという葛藤もあった」と振り返り、社内では投資額の大きさから開発継続の可否も検討されたという。最終的には日本女性に中絶の新たなオプションを提供できるように取り組むべきとの判断に至り、開発を継続したと述懐した。

メフィーゴは、妊娠の維持を阻害する抗プロゲステロン作用をもつミフェプリストン(1剤目)及び子宮収縮作用をもつミソプロストール(2剤目)を、妊娠成立後一定の時期に適切な間隔で投与することで、妊娠の継続を中断し、人工妊娠中絶に至らせるもの。ミフェプリストンは新有効成分含有医薬品、ミソプロストールは新投与経路医薬品、再審査期間は8年。

用法・用量は「ミフェプリストン錠1錠(ミフェプリストンとして200mg)を経口投与し、その36~48時間後の状態に応じて、ミソプロストールバッカル錠4錠(ミソプロストールとして計800μg)を左右の臼歯の歯茎と頬の間に2錠ずつ30分間静置する。30分間静置した後、口腔内にミソプロストールの錠剤が残った場合には飲み込む」。

国内第3相試験では、妊娠63日以下で人工妊娠中絶の適応となる120例において、主要評価項目とされたミソプロストール投与後24時間までに人工妊娠中絶が成功した割合は93.3%だった。主な副作用は下腹部痛(30.0%)、嘔吐(20.8%)だった。
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