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小野薬品 23年度のオプジーボ、成長緩やかに NSCLC適応の競合激化とJCOG試験中止が影響

公開日時 2023/05/11 04:50
小野薬品は5月10日、抗PD-1抗体・オプジーボについて、2024年3月期(23年度)に売上1550億円、前年度比8.9%増を計画していると発表した。特例拡大再算定など薬価の大幅引き下げがない年は2ケタ成長を続けていたため、23年度の成長率は緩やかとなる。この点について同社は非小細胞肺がん(NSCLC)市場での減収を見込んだと説明。減収理由として、競合激化のほか、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)による未治療進行・再発NSCLCを対象としたオプジーボ+抗CTLA-4抗体・ヤーボイ+化学療法の併用に係る第3相試験(特定臨床研究)で、治療との因果関係が否定できない死亡が想定を超えて認められ、同試験を中止したことを挙げた。

国立がん研究センターとJCOG(以下、JCOG)は4月28日、同試験において治療との因果関係が否定できない死亡が約7.4%(148人のうち11人)に認められたと発表した。当初想定の5%を超えたため試験を中止。死亡患者には副作用として肺臓炎、サイトカイン放出症候群、敗血症、心筋炎、血球貧食症候群がみられ、今後、副作用の傾向や対応方法、注意点を報告するとした(発表資料はこちら)

◎NSCLC対象のオプジーボ/ヤーボイ併用療法 死亡93例、死亡率2.3%

JCOGによる発表を受けて小野薬品の高萩聰営業本部長は5月10日の決算会見で、切除不能な進行・再発NSCLCに対するオプジーボ+ヤーボイ+化学療法による併用療法(以下、オプジーボ/ヤーボイ併用療法)の承認取得の根拠となった第3相CheckMate-9LA試験において、治療との因果関係が否定できない死亡の発現率は2%だったことを明らかにした。

さらに、オプジーボ/ヤーボイ併用療法は20年11月の承認取得から23年3月末までに約4000例に投与され、因果関係が否定できない死亡は93例あったことも明らかにし、死亡の発現率は2.3%だったと説明した。高萩氏は、「市販後に得られた死亡の発現率の情報は、開発治験と同程度のものと考えている」との認識を示した。

企業側が持つデータと、JCOGの試験による死亡の発現率には5ポイントほどの乖離がある。この点について高萩氏は、「JCOGの試験は医師主導臨床試験であり、当社が関与していないため、コメントは控えたい。JCOGの注意喚起の発表は、当社として真摯に受け止める」と述べるにとどめた。ただ、JCOGの協力を得て、JCOGの試験における死亡例に関する詳細調査を実施したいとしたほか、「安全性情報に関して定期的に更新しながら、医療機関や医療従事者にしっかり情報提供していく」と強調。特にirAE(免疫関連副作用)の情報提供活動を強化する構えを見せた。

◎オプジーボの国内特許は31年に満了 米国展開で減収影響最小化へ

同社の相良暁社長は決算会見で、オプジーボの国内特許は31年に満了することを明らかにした。がん種によって特許期間は異なり、多くの適応症は同年5月に満了するという。同社にとってオプジーボクリフへの備えは最重要の経営課題のひとつで、相良社長は改めて米国での自社販売を実現して減収影響の最小化を図る考えを示した。

米国での自社販売の1番手は、中枢神経系原発リンパ腫を対象疾患とするBTK阻害薬・チラブルチニブ(一般名、国内製品名:ベレキシブル)となる見通し。現地スタッフは既に100人超を採用しており、「発売時には150人以上の体制を予定している」と述べた。2番手は米国Equillium社から導入した治療困難な免疫・炎症性疾患治療薬として開発中の抗CD6抗体・itolizumabとなる見通しで、「米国展開を推進する重要な化合物」との位置付けだ。

3番手以降には、PD-1×CD3二重特異性抗体「ONO-4685」(対象疾患:T細胞リンパ腫)やMALT1阻害薬「ONO-7018」(非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病)が控える。出光清昭開発本部長は、「PoCの確立はこれから」とした上で、「オプジーボクリフの前に米国承認を取得できる可能性がある」と述べ、期待の高さをうかがわせた。

◎22年度業績 売上、各利益とも過去最高を更新 オプジーボやフォシーガがけん引

同社の22年度連結業績は売上4471億円(前年度比23.8%増)、営業利益1419億円(37.6%増)、親会社帰属純利益1127億円(40.0%増)――と絶好調で、売上、各利益とも過去最高を更新した。特に主力のオプジーボは売上1423億円(26.6%増)、フォシーガは565億円(54.3%増)と成長。金額ベースではそれぞれ299億円、199億円増加し、好業績に貢献した。円安効果もあった「ロイヤルティ・その他収入」は、前年度比367億円増加の1521億円を計上したことも大きかった。

同社によると、オプジーボは特に消化器系のがんで処方が伸びており、具体的には胃がん1次治療や、食道がん1次治療や術後補助療法での使用が進んだ。フォシーガは糖尿病、心不全、慢性腎臓病(CKD)のそれぞれの適応で処方を伸ばした。適応別の売上は非開示。

22年度の製品商品売上は2950億円で、オプジーボとフォシーガの2剤で67%を占めた。

◎23年度計画 研究開発費1000億円突破へ

23年度連結業績予想は売上4750億円(6.2%増)、営業利益1530億円(7.8%増)、親会社帰属純利益1150億円(2.0%増)――と増収増益を計画。研究開発費は1090億円(14.3%増)の予定で、初めて1000億円の大台を超える見込み。オプジーボクリフを乗り越えての持続成長の実現に向けて、積極的な投資を行う。

製品別では、オプジーボは1550億円(8.9%増)と予想。NSCLCや腎細胞がんは競合激化などで減収を見込むが、胃がん、食道がん、尿路上皮がん術後補助療法での使用拡大により計127億円の増収を目指す。

なお、23年度にオプジーボに2度目の特例拡大再算定は適用されない見通し。ただ、市場拡大再算定の共連れルールがオプジーボに適用される可能性があり、相良社長は「再算定のラインは当局のみが持っており、軽々に申し上げることは難しいが、共連れルールのリスクは常にある」と警戒感を示した。

フォシーガは650億円(15.0%増)と予想。ロイヤルティ収入も引き続き伸長する見込みで、23年度の「ロイヤルティ・その他収入」は129億円増加の1650億円と予想した。

◎相良社長 コンプライアンス体制を常に改善 「二度と三重大学病院のような一件を起こさない」

同社は4月14日に「コンプライアンス体制強化のための取り組み」を自社ホームページで公開した。これは三重大学病院をめぐる贈収賄事件で同社社員2人が有罪判決を受けた問題を含め、コンプライアンス強化策の進捗状況や詳細を開示したもの。強化策の一環としてコンプライアンス違反を未然に防止すべく報告・相談の一次窓口として85人のコンプライアンス・マネジャーを職場ごとに任命するなどし、23年3月までの約1年半に相談事項は605件あり、うち48件は通常のレポートラインでは上げらない相談だったことを明らかにした(記事はこちら

相良社長は、「二度と三重大学病院のような一件を起こさないため、新たなコンプライアンス体制を構築して運用している」と語った。そして、「問題にならないように、事が大きくならないうちに、未然に案件があがっていることが現実に起こっている」と述べ、新体制によって一定の効果が得られているとの認識を示した。ただ、「これで良いかといえばダメなわけで、常に改善を心掛けて進めている」と強調し、引き続き対応に力を入れていく考えを示した。

【22年度連結業績 (前年同期比) 23年度予想(前年同期比)】
売上高4471億8700万円(23.8%増) 4750億円(6.2%増)
営業利益1419億6300万円(37.6%増) 1530億円(7.8%増)
親会社帰属純利益1127億2300万円(40.0%増) 1150億円(2.0%増)

【22年度の国内主要製品売上高(前年同期実績) 23年度予想、億円】
オプジーボ 1423(1124) 1550
フォシーガ 565(367) 650
オレンシア 248(229) 255
グラクティブ 225(245) 210
カイプロリス 87(84) 85
パーサヒブ 84(89) 80
ベレキシブル 85(63) 95
オンジェンティス 50(29) 65
オノアクト 45(49) 45
オパルモン 44(47) 35
ビラフトビ 32(27) 40
メクトビ 25(22) 30
オノンカプセル 25(36) -
*仕切価ベース

ロイヤルティ・その他 1521(1154) 1650
*BMSからオプジーボに係るロイヤルティ収入が21年度699億円、22年度896億円――、メルクからキイトルーダに係るロイヤルティ収入が同308億円、452億円――がそれぞれ含まれる。
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