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潰瘍性大腸炎治療薬・オンボーなど11成分 5月24日に薬価収載へ ピーク時100億円超予想は3製品

公開日時 2023/05/18 04:51
中医協総会は5月17日、新薬11成分17品目の薬価収載を了承した。収載日は5月24日。潰瘍性大腸炎治療薬・オンボーの点滴静注製剤及び皮下注製剤(一般名:ミリキズマブ、製造販売元:日本イーライリリー)や、真性多血症治療薬・ベスレミ皮下注(ロペグインターフェロン アルファ-2b、ファーマエッセンシア)などが収載される。

22年12月23日付で承認された製品のうち、3月収載をスキップしていたパーキンソン病の症状の日内変動の改善に用いるヴィアレブ配合持続皮下注(ホスレボドパ/ホスカルビドパ水和物、アッヴィ)と、深達性II度又はIII度熱傷における壊死組織の除去に用いるネキソブリッド外用ゲル(パイナップル茎搾汁精製物、科研製薬)も今回、収載されることになった。

◎オンボー皮下注291億円 エンタイビオ皮下注185億円 ベスレミ163億円

ピーク時売上が100億円以上と予想されたのは、潰瘍性大腸炎の維持療法に用いるオンボー皮下注(ピーク時売上予想291億円)、同じく潰瘍性大腸炎の維持療法に用いるエンタイビオ皮下注(ベドリズマブ、武田薬品、185億円)、ベスレミ(163億円)――の3製品だった。

原価計算方式で算定されたが、開示度50%未満ということで加算をゼロとするルールは今回、再生不良性貧血治療薬・アトガム(抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリン、ファイザー)とネキソブリッドの2製品に適用された。

アトガムは抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン治療後の再発患者に対しても効果が期待されるとして有用性加算(II)(A=5%)と、希少疾病用医薬品に指定されていることから市場性加算(I)(A=10%)と評価されたが、加算係数はゼロとなり、補正加算分が薬価に反映されなかった。ネキソブリッドは、臨床試験で標準治療群と比較して本剤群でより早期に壊死組織が除去されることや、出血量が少ないことが確認されていることなどから有用性加算(II)(A=5%)と市場性加算(I)(A=10%)と評価されたが、加算係数はゼロとなった。

◎肥満症治療薬・ウゴービ 5月収載見送り

一方、3月27日付で承認された製品のうち、肥満症治療薬・ウゴービ皮下注(セマグルチド、ノボ ノルディスク ファーマ)、発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬・エムパベリ皮下注(ペグセタコプラン、Sobi)――は今回の収載が見送られた。巻き爪矯正の補助に用いるリネイルゲル(アセチルシステイン、マルホ)は薬価未収載品で、4月20日に発売された。(関連記事はこちら)

このうちウゴービは週1回皮下投与のGLP-1アナログ。GLP-1受容体を介して、脳における食欲の調節機構に対して作用することなどにより、肥満症患者に対して体重減少効果を発揮することが期待されている。

5月24日付で収載される製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)。投与経路・薬効分類順。

ドプテレット錠20mg(アバトロンボパグマレイン酸塩、Sobi)
薬効分類:339 その他の血液・体液用薬
効能・効果:待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善
薬価:20mg1錠 7106.60円(1日薬価:1万8733円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数723人、販売金額0.7億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当しない

トロンボポエチン(TPO)受容体作動薬。TPO受容体を介して、内因性TPOのシグナル伝達系の一部を活性化することにより、造血幹細胞の増殖並びに巨核球への分化及び成熟を促進し、その結果として血小板産生を促進する。旭化成ファーマと日本国内における独占販売契約を締結している。

オファコルカプセル50mg(コール酸、レクメド)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品
効能・効果:先天性胆汁酸代謝異常症
薬価:50mg1カプセル 1万2596.00円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数7人、販売金額2.3億円

加算:
有用性加算(II)(A=5%):「本剤は当該疾患に対して長年にわたる使用実績が蓄積されており、海外では標準的治療法とされていること等から、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:主な理由:希少疾病用医薬品として指定/厚労省が開発公募)
費用対効果評価:該当しない

先天性胆汁酸代謝異常症は、肝臓において胆汁酸の生合成を担う酵素の遺伝子が生まれた時から欠損している疾患。本剤は、胆汁酸の主成分であるコール酸を有効成分とし、酵素の欠損に起因して合成されないコール酸を外部から補充するもの。

ヴィアレブ配合持続皮下注(ホスレボドパ/ホスカルビドパ水和物、アッヴィ)
薬効分類:116 抗パーキンソン剤(注射薬)
効能・効果:レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)の改善
薬価:10mL1瓶 1万3277円(1日薬価:9570円)
市場予測(ピーク時10年後):2.0千人、96億円

加算:有用性加算(II)(A=10%):「本剤は24時間持続皮下投与が可能であり、既存治療では効果が不十分な症状の改善や安全性の観点で既存治療の適用とならない患者への使用が見込まれること、侵襲性が低く入院期間も短縮する利便性があることから、有用性加算(II)(A=10%)を適用することが適当と判断した」
新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない

レボドパ/カルビドパの分子構造を改良したプロドラック溶液で、レボドパ含有製剤として初の皮下投与製剤。24時間持続皮下注入(CSCI)により投与することで血中濃度を一定に保ち、効果を持続させる特長がある。パーキンソン病では、疾患の進行に伴い脳内のドパミン濃度が不安定になり、経口のレボドパ/カルビドパ薬の頻回な服用が必要となる。一部の患者では1日平均10-11錠の経口投与により、患者や介護者の負担が大きくなっている。

エンタイビオ皮下注108mgペン、同皮下注108mgシリンジ(ベドリズマブ(遺伝子組換え)、武田薬品)
薬効分類:239 その他の消化器官用薬(注射薬)
効能・効果:中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
薬価:108mg0.68mL1キット 6万9888円(1日薬価:4992円)
         108mg0.68mL1筒 6万9888円(1日薬価:4992円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数1.0万人、販売金額185億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当する(主な理由:新薬創出等加算該当品目の剤形追加)
費用対効果評価:該当しない

ヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体製剤。潰瘍性大腸炎に対する用法・用量は、「通常、成人にはベドリズマブ(遺伝子組換え)として1回108mgを2週間隔で皮下注射する」となる。既承認のエンタイビオ点滴静注用の効能・効果は、▽中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)、▽中等症から重症の活動期クローン病の治療及び維持療法(同)――で、今回の皮下注製剤は潰瘍性大腸炎の維持療法のみの適応となる。

オンボー点滴静注300mg(ミリキズマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー)
薬効分類:239 その他の消化器官用薬(注射薬)
効能・効果:中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
薬価:300mg15mL1瓶 19万2332円(1日薬価:6869円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数3.5千人、販売金額24億円

オンボー皮下注100mgオートインジェクター、同皮下注100mg シリンジ(ミリキズマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー)
薬効分類:239 その他の消化器官用薬(注射薬)
効能・効果:中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
薬価:100mg1mL1キット 12万6798円(1日薬価:9057円)
         100mg1mL1筒 12万6798円(1日薬価:9057円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数1.2万人、販売金額291億円

点滴静注製剤、皮下注製剤ともに
加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当しない

大腸粘膜の炎症に関与するサイトカインであるIL-23の p19 サブユニットを標的としたヒト化IgG4モノクローナル抗体。潰瘍性大腸炎の寛解導入療法に用いる点滴静注製剤は、ミリキズマブとして1回300mgを4週間隔で3回(初回、4週、8週)点滴静注して用いるが、12週時に効果不十分な場合はさらに1回300mgを4週間隔で3回(12週、16週、20週)投与することができる。維持療法中に効果が減弱した場合にも1回300mgを4週間隔で3回点滴静注できる。

潰瘍性大腸炎の維持療法に用いる皮下注製剤は、ミリキズマブ点滴静注製剤による導入療法4週後から、通常、成人にはミリキズマブとして1回200mgを4週間隔で皮下投与で用いるもの。

日本イーライリリーが製品供給を担当し、持田製薬が流通・販売および情報提供活動を行う。作用機序が一部同じで、同様の位置付けとなり、競合することが考えられる生物学的製剤にヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体製剤ステラーラ点滴静注、同皮下注がある。

パリンジック皮下注2.5mg、同皮下注10mg、同皮下注20mg(ペグバリアーゼ(遺伝子組換え)、BioMarin Pharmaceutical Japan)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(注射薬)
効能・効果:フェニルケトン尿症
薬価:
2.5mg0.5mL1筒 6万1606円
10mg0.5mL1筒 6万4155円
20mg1mL1筒 6万5468円(1日薬価:19万6404円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数127人、販売金額36億円

加算:
有用性加算(II)(A=5%):「本剤はフェニルアラニンアンモニアリアーゼ酵素作用を有する新規作用機序医薬品であり、臨床上の有用性が一定程度評価されていると考えられることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

フェニルケトン尿症(PKU) は、フェニルアラニン水酸化酵素遺伝子(PAH)の変異により血中のフェニルアラニン(Phe)濃度が高値を示す遺伝性疾患。本剤は、PAH の代替として血中Phe濃度の低下をもたらす。

ベスレミ皮下注250μgシリンジ、同皮下注500μgシリンジ(ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)、ファーマエッセンシアジャパン)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)
薬価:250μg0.5mL1筒 29万7259円
         500μg1mL1筒 56万5154円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数1.7千人、販売金額163億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当する(H1)

長時間作用型モノペグ化プロリンインターフェロン。2週間に1回の皮下投与で用いる。

ファーマエッセンシアのコアテクノロジーである「部位選択的ペグ化技術」は、タンパク質分子内の特定のアミノ酸をポリエチレングリコール(PEG)という高分子化合物によって選択的に修飾できるようにした技術で、化学的に均一な「ペグ化タンパク質」の合成を可能にした。このペグ化によってタンパク質医薬の体内における分解が抑制され、半減期の延長と長時間にわたる効果の持続につながり得る、優れた薬物動態/薬力学的特性を示す。同社は台湾の台北に本社を置く。同剤は、同社として初めて日本で承認申請した品目。

アトガム点滴静注液250mg(抗ヒト胸腺細胞ウマ免疫グロブリン、ファイザー)
薬効分類:639 その他の生物学的製剤(注射薬)
効能・効果:中等症以上の再生不良性貧血
薬価:250mg5mL1管 7万5467円
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数353人、販売金額8.1億円

加算:
有用性加算(II)(A=5%):「抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン治療後の再発患者に対しても効果が期待されることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」
なお、製造原価開示度50%未満のため、加算係数はゼロ。

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

ヒト胸腺細胞で免疫されたウマの血漿から分離精製した免疫グロブリンG( IgG)。強力なT細胞抑制作用により、再生不良性貧血の病態を改善する。

アポハイドローション20%(オキシブチニン塩酸塩、久光製薬)
薬効分類125 発汗剤、止汗剤(外用薬)
効能・効果:原発性手掌多汗症
薬価:20%1g 545.80円(1日薬価:262.00円)
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数2.7万人、販売金額9.4億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当しない

抗コリン作用によりエクリン汗腺からの発汗を抑制するムスカリン受容体拮抗薬。ローション剤(外用療法)であり、用法・用量は「1日1回、就寝前に適量を両手掌全体に塗布する」。

原発性局所多汗症は、日常生活に支障を来すほどの大量の発汗が生じる疾患で、手のひらに生じる場合を原発性手掌多汗症という。同じ作用機序だが、対象疾患の症状発現部位が異なる原発性腋窩(えきか)多汗症の外用療法として、科研製薬のエクロックゲル、マルホのラピフォートワイプがある。

コムレクス耳科用液1.5%(レボフロキサシン水和物、セオリアファーマ)
薬効分類132 耳鼻科用剤(外用薬)
効能・効果:〈適応菌種〉本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、肺炎桿菌、エンテロバクター属、セラチア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属――。〈適応症〉外耳炎、中耳炎
薬価:1.5%5mL1瓶 1584.50円(1日薬価:316.90円)
市場予測(ピーク時3年後):投与患者数17万人、販売金額8.8億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当しない

キノロン系抗菌薬。外耳炎や中耳炎に対し、点耳で用いる。用法・用量は、「通常、1回6~10滴を1日2回点耳する。点耳後は約10分間の耳浴を行う。なお、症状により適宜回数を増減する」。セオリアファーマは耳鼻咽喉科領域のスペシャリティ企業。

ネキソブリッド外用ゲル5g(パイナップル茎搾汁精製物、科研製薬)
薬効分類:269 その他の外皮用薬(外用薬)。
効能・効果:深達性II度又はIII度熱傷における壊死組織の除去
薬価:5g1瓶(混合用ゲル付) 16万2995.90円
市場予測(ピーク時9年後):投与患者数1.6千人、販売金額8.8億円

加算:
有用性加算(II)(A=5%):「臨床試験において、標準治療群と比較して本剤群でより早期に壊死組織が除去されること、出血量が少ないことが確認されていること等から、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」
なお、製造原価開示度50%未満のため、加算係数はゼロ。

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

パイナップル茎由来のタンパク質分解酵素を有効成分とする外用の酵素製剤。入院が必要な重症熱傷を指す深達性II度又はIII度熱傷を対象とした外用薬で、用法・用量は「本剤を熱傷創に適量塗布し、4時間後に除去する」となる。熱傷部位に塗布して4時間後に除去することで、健常な組織を温存したまま、焼痂と呼ばれる壊死組織を選択的に簡便かつ速やかに除去できる。

【おことわり】下線部を追記しました。(5月22日11時50分)
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