遺伝性網膜ジストロフィーの遺伝子治療薬・ルクスターナが承認へ 薬食審・再生医療等製品部会で了承
公開日時 2023/05/29 04:50
厚生労働省の薬食審再生医療等製品・生物由来技術部会は5月26日、ノバルティスファーマが承認申請した遺伝性網膜ジストロフィー(IRD)に対する遺伝子治療薬・ルクスターナ注(一般名:ボレチゲン ネパルボベク)の承認を了承した。遺伝学的検査によりRPE65 遺伝子の両アレル性の変異が確認されたIRD患者が投与対象となる。各眼の網膜下に単回投与する。
6月中にも正式承認される見通し。承認されると、遺伝子治療薬としてはコラテジェン筋注用、ゾルゲンスマ点滴静注、デリタクト注に続き4製品目となり、眼科領域の遺伝子治療薬は初となる。8月ごろにも中医協で保険償還価格が決まる見通し。
【審議品目】(カッコ内は一般的名称、申請企業)
▽ルクスターナ注(ボレチゲン ネパルボベク、ノバルティスファーマ):「両アレル性RPE65 遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィー」を効能・効果または性能とする。希少疾病用再生医療等製品。再審査期間は10年。
遺伝性網膜ジストロフィー(IRD)の原因遺伝子の1つであるヒトRPE65 遺伝子を搭載した非増殖性組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)を成分とする再生医療等製品。網膜下にある網膜色素上皮(RPE) 細胞に感染することにより、搭載された遺伝子発現構成体が細胞の核内にエピソームとして留まり、ヒトRPE65遺伝子は長期間安定して発現する。RPE65遺伝子の機能欠損を補い、発現したRPE65タンパク質により正常な視覚サイクルを回復させることで、視覚機能の改善効果が期待される
用法・用量または使用方法は「通常、1.5×1011 ベクターゲノム(vg)/0.3mLを各眼の網膜下に単回投与する。各眼への網膜下投与は、短い投与間隔で実施するが、6日以上あけること。同一眼への本品の再投与はしないこと」となっている。
海外では、17年に米国で、18年に欧州で承認されており、22年8月時点で40 以上の国または地域で承認されているという。