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諮問会議 鈴木財務相「薬剤自己負担見直しは早急に取り組むべき」 創薬力強化へ新たな薬価特例も

公開日時 2023/05/29 04:52
鈴木俊一財務相は5月26日の経済財政諮問会議で、「薬剤の自己負担見直しについては早急に取り組む必要がある」との考えを示した。少子化対策の重要性が増すなかで、“徹底した歳出改革”が求められ、薬剤の自己負担見直しもこうした項目の一つに浮上している。この日の諮問会議で民間議員も「長期収載品の負担や、その他薬剤自己負担」のあり方について見直しを求めた。同時に、「創薬力強化」に向けた環境整備の重要性を強調。「新薬の薬価改定の改善や特許期間中のさらなる薬価特例」を例にあげ、革新的新薬創出を強力に後押しする施策の実現も提案した。政府は、6月にも骨太方針を閣議決定する方針。

◎民間議員 創薬力強化へ「薬価改定の改善や特許期間中のさらなる薬価特例」検討を 

岸田政権が“成長と分配の好循環実現”を掲げるなかで、民間議員はこの日の諮問会議で、社会保障を「重要な基盤」に位置付け、具体的な機能発揮に向けた方策の一つとして、「イノベーションが絶えず生まれるような規制・制度整備」が必要と指摘した。

国際競争力のある新薬開発に向けて、“創薬力強化”の重要性を強調。「創薬力強化に向けては、有効な新薬の創出企業が収益を上げ、その資金で次の新薬開発が進むという好循環が必要。薬価改定では、新薬の薬価算定の改善や特許期間中の更なる薬価特例等、新薬創出を強力に後押しすべき」とした。一方で、「同時に、長期収載品の負担や、その他薬剤自己負担のあり方等、保険制度の持続性確保に向けた見直しを進めるべき」と盛り込んだ。

◎一体改革推進委員 「定額自己負担や給付率の柔軟化を進めるべき」 選定療養も視野

民間議員の一人である柳川範之氏は、経済・財政一体改革推進委員会・ワーキンググループで有識者から出た主な意見を提出した。医薬品のあり方として、「イノベーションの推進と国民皆保険の堅持を両立させるには、薬剤費の無駄を省く必要がある。定額自己負担や給付率の柔軟化を進めるべき。給付範囲の見直しも重要であり、その際、患者の負担増を緩和するため、保険外併用の選定療養を活用してはどうか」と提案した。

◎少子化対策強化へ 徹底した歳出改革と保険料負担抑制「今まで以上に求められている」

「少子化対策への対応を求める中で、徹底した歳出改革と、保険料負担の上昇抑制が今まで以上に求められている。本日、ご提案があった地域医療構想に関する法制化、介護や薬剤の自己負担の見直しについては、早急に取り組む必要があると考えている」-。鈴木財務相はこの日の諮問会議で、こう強調した。近く取りまとめる財政制度等審議会の建議の方向性も紹介し、少子化対策について、「恒久的な施策には恒久的・安定的な財源の確保が必要」と指摘。「医療・介護など社会保障分野の歳出改革を断行」する必要性を強調した。

同日の諮問会議では、骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2023)骨子案を取りまとめた。骨子案には、「少子化対策・こども政策の抜本強化」や、「労働市場改革による構造的賃上げ」を明記。財源確保が焦点となるなかで、医療・介護を含む歳出改革が議論となっている。この日の諮問会議で民間議員は、「徹底した歳出改革と保険料負担の上昇抑制」少子化対策を含めた全世代型社会保障構築の「前提」に位置付けており、改革の必要性が高まっている。

◎24年度改定 加藤厚労相「物価や人件費増の影響も」 鈴木財務相「直近の病院の経常利益率は改善」

2024年度には診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬のトリプル改定が予定される。加藤勝信厚労相は、「社会保障については、支える人材や提供体制を確保し、質の高い医療・介護を効率・効果的に提供できる体制を構築することが重要」と指摘。そのうえで、「特に、医療・介護分野では、足下の物価上昇の中で、経営状況の悪化が生じ、賃上げも他分野に比べて少ない中で、人材確保の観点からも、報酬の大幅な増額が必要とされている。2024年のいわゆるトリプル改定において、医療と介護等の連携によるサービスの質の向上と効率化を図る必要がある」と述べた。

鈴木財務相は、「医療費、介護費については、高齢化の伸びに伴い、報酬改定の影響を除いても、毎年2~3%程度増加している。医療は、さらに5兆円の病床確保料をはじめとするコロナ補助金もあり、直近の病院の経常利益率は改善されており、純資産を増加している」と指摘。「こうした状況も踏まえて、診療報酬、介護報酬改定をはじめとした改革を前に進めていくことが必要だ」と述べた。

岸田文雄首相は加藤厚労相に対し、「地域医療構想の実現を始め、医療・介護一体での強靭で効率的な提供体制の構築、徹底した給付の見直しや労働参加を促す制度整備、改革工程表の推進による持続可能な制度の構築、給付と負担に関する新たな将来見通しの提示、医療・介護・福祉におけるイノベーションの促進、データ利用環境整備、マイナンバー制度を核とする行政DX(デジタル・トランスフォーメーション)の本格化を重点的に進める」よう指示した。

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