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日医・松本会長 物価高騰は「診療報酬で恒常的な対応を」 国民の医療を守るために財源確保を

公開日時 2023/06/26 04:51
日本医師会の松本吉郎会長は6月25日の日本医師会定例代議員会で挨拶し、トリプル改定を控えるなかで、「昨今の物価高騰や賃上げについては、一時的なものではなく、恒常的に対応する必要があることから、診療報酬で対応をすべき」と改めて主張した。医療を守るためにも、「社会保障財源はしっかり確保することが不可欠」と強調した。代議員の質問に答える形で、「税収や賃金増に伴う保険料の伸びをしっかり私どもの技術料に回していただくということを念頭」に置く考えを示し、「国民の医療をしっかり守っていくことに回していただきたいということを強く要望していきたい」と述べた。医薬品の安定供給についても言及し、「国の強いリーダーシップ」を求めた。

◎年末の予算編成「前向きな議論となると受け止めている」

政府が16日に閣議決定された骨太方針には、「物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う」とされた。松本会長は原案段階から、「抑制の必要性」が「影響」に修正されたほか、「患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう」という文言が新たに追加された。年末に向けてトリプル改定の議論が本格化するのを見据え、「物価高騰・賃金上昇に対応した社会保障関係費について、年末の予算編成過程での前向きな議論となるものと受け止めている」と述べた。

社会保障財源については、「病や障害に苦しむ方々のための財源を切り崩してはならない」として、「しっかりと確保することが不可欠」と強調した。少子化対策・子ども政策の重要性に触れたうえで、「少子化対策・こども政策の財源は社会保障財源とは別に確保することが必要だと考えている。財源には限りがあるため難しい問題ではございますけれども、政府には、社会保障と少子化対策・こども政策の両方の視点をもって取り組んで頂くよう、引き続き求めていく」と述べた。

税収の伸びや賃金増に伴う保険料の上昇も見込まれる。松本会長は代議員の質疑に答える形で、「国庫負担や保険料の上昇とのバランスを見ながら自己負担の額もまた議論になるかもしれないが、税収や保険料の伸びをしっかりと私どもの技術料に回していただく、ということを念頭に置いて、今後とも私どもの国民に対する医療をしっかりと守っていくことに回していただきたいということを強く要望していきたい」と述べた。

◎日医・長島常任理事 トリプル改定は「十分な財源確保が大前提」

日本医師会の長島公之常任理事は、トリプル改定を控えるなかで、医療経済実態調査や介護事業経営実態調査を踏まえて、診療報酬・介護報酬の対応を強く求める姿勢を示した。そのためには、「十分な財源を確保することが大前提だ」との考えを示した。

物価高騰や賃金の上昇を踏まえ、基本診療料の引き上げを求める声もある。長島常任理事は、「物価高騰や、医療従事者の処遇改善に対応するには、初・再診料や入院基本料等の基本診療料の引き上げが最も分かりやすい方法だ。しかし現在、1日当たりの患者数は外来が約580万人、入院は約120万人にも上る。従って、基本診療料や入院時食事療養費の引き上げは、非常に大きな財政影響が見込まれる。それだけで2022年度改定のプラス財源の大部分を使い切ってしまうほどの影響も予想され、これまで、なかなか実現できていない」と説明した。一方で、「基本診療料や入院料の加算による評価や、基礎的な技術料の評価等を通じて、医療機関全体としての収支が改善するよう、努力してきた」と説明した。

そのうえで、「この現状は、すでに総額等が決まった財源の中で、配分を決める役割の中医協の場だけでは限界があり、変えられない。医療費全体を引き上げるよう、医師会として、病院団体等と連携し、必要かつ十分な改定財源を確保するよう努力していくことに尽きる」と強調。「医師会、医療界全体が一丸となって、財源確保できるよう取り組んでいく必要がある」と述べた。

◎医薬品の安定供給問題解決へ「国の強いリーダーシップ」求める

松本会長は冒頭の挨拶で、医薬品の安定供給にも言及。「品質確保・安定供給に向けて各企業は努力しておりますが、取り組みの内容や法令遵守意識に差がある。医薬品の安定供給は、製造販売業者の責務だけではない。世界情勢や地政学的見地から、製薬企業のみに委ねることは難しく、国による産業への関与は必要不可」との見方を表明。「安定供給問題は後発品企業だけではなく、先発品企業も含めた、業界全体の問題であり、国の強いリーダーシップによって、医薬品の産業構造をより強固なものにしなければならない」と述べた。

◎新たに4人の常任理事を選定 組織力強化に注力

同日の定例代議員会では、新たな常任理事4人を賛成多数で選定した。新たに常任理事となったのは、坂本泰三氏(兵庫県)、佐原 博之氏(石川県)、濵口欣也氏(福岡県)、笹本洋一氏(北海道)。期の途中ですでに常任理事の担当が決まっていることから、松本会長は、「今後理事会等で役割分担を決める」としたうえで、「得意とするところ複数、副担当に入っていただき、加えて組織力強化の副担当をお願いする」考えを明らかにした。
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