武見厚労相 米・バイオ創薬集積地のボストン訪問へ 「日本の創薬基盤強化に役立たせることが目的」
公開日時 2023/09/19 04:51
武見敬三厚労相は9月15日の閣議後会見で、米国のバイオ創薬の集積地であるボストンを訪問する考えを明らかにした。医療関係者等との面会や視察を行う予定。武見厚労相は、「創薬にかかるシーズの研究開発から、実際にファンドの投入、そしてそれがエコシステムの中で、FDAの認可などとも関連したかたちで、しっかりと薬事承認のプロセスとも連携しながら研究開発が進められている」と述べ、今後の各種政策立案に資する知見を深めたいと強調した。
米国・東海岸のボストン・ケンブリッジエリアは、マサチューセッツ工科大学(MIT)、ハーバード大学、タフツ大学など世界トップクラスの高度人材を集積し、バイオ創薬技術や多数のバイオベンチャーが輩出されている。ベンチャーキャピタル(VC)による投資も年々拡大しており、武田薬品をはじめファイザー、サノフィ―、ノバルティスなど大手グローバルメガファーマがこの地をバイオ創薬獲得の主戦場と定め、日々革新的創薬につながる創薬標的や創薬技術、デジタル技術への投資活動を活発化させている。
最近では、中外製薬が「Chugai Venture Fund, LLC」(CVC)をボストンに2023年中に設立する方針を発表したほか、アステラス製薬がボストン周辺のケンブリッジ・クロッシング近隣地区に新たなライフサイエンス拠点を2024年中に開設する方針を明らかにしている。いずれの企業ともバイオ創薬に関わるシーズや探索技術、さらにはデジタルテクノロジーに関するベンチャー企業やアカデミアとのパートナリングを目的としたもので、欧米系メガファーマを筆頭に、最近は中国、韓国、台湾など東アジア諸国の研究者や製薬企業関係者の情報収集の場にもなっている。
◎「最も優れたエコシステムができているのがボストン」武見厚労相
武見厚労相は9月18日から23日の日程で第78回国連総会ハイレベル会合に出席することが決まっており、合わせて医療関係者との面会などでニューヨーク、ワシントンDC、ボストンを訪問する。閣議後会見で武見厚労相は、「世界中でも、最も優れたエコシステムができているのがボストンだ。日本としても、創薬の基盤造りということは極めて重要な課題だと思っており、その参考とするため、実際の当事者の人々ともしっかりと意見交換して、中身を我が国の創薬基盤強化に役立たせることが目的」と述べ、ボストン訪問に期待を寄せた。