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【中医協薬価専門部会 10月4日 議事要旨 高額医薬品への対応 レケンビの薬価収載に向けた論点等】

公開日時 2023/10/05 04:51
中医協薬価専門部会は10月4日、高額医薬品(認知症薬)に対する対応について議論した。当日は厚労省保険局から「レケンビの薬価収載に向けた論点等」が示され、診療・支払各側が意見した。本誌は各側委員の質疑について議事要旨として公開する。



◎中医協「薬―1」資料38ページ(レケンビの薬価収載に向けた論点等)の事務局説明のみ抜粋

薬剤管理官:資料38ページに現状と論点をまとめております。現状はこれまで説明した内容の概要です。論点は4つあります。

1つ目は、「本剤の薬価算定方法についてどのように考えるか。本剤に関して通常の算定ルールとは別の取扱いを検討した方がよいか」。

2つ目は、「投与対象患者数について、現時点における投与患者予測は限定的になる見込みであるものの、今後の増加の可能性を踏まえ、収載後の価格調整ルールも含め、本剤に関して別の取扱いを検討した方がよいか」。

3つ目は、「薬価収載までの期間(90日)は限られている中で、製造販売業者が提出している資料のうち介護費用に基づく内容の評価に関しては、費用対効果評価の枠組みにおける検討事項とされていることも踏まえると、それについてどのように考えるか」。

4つ目は、「これらの議論を進めるにあたり、本専門部会と費用対効果評価専門部会における相互の検討状況を踏まえた上で、効率的に議論するため、合同部会として開催して検討することとしてはどうか」というものです。

補足させていただきます。以前、この高額医薬品として感染症治療薬ゾコーバの議論を行ったときと同様に、今回も薬価収載時の算定方法、収載後の価格調整ルールなどに関して、本剤に限った特例的な対応が必要かどうかについてご議論いただきたいと考えており、今回は考えられる課題を中心に資料をまとめ、論点を全般的に記載しているものでございます。

参考資料として感染症治療薬のときの特例的な対応に関して、中医協で了承いただいた資料を添付しております。

このとき特例措置を設けた事項は複数あります。まず薬価算定に当たっての比較薬の選定に関して、比較薬があるものの、どれを選定するかによって薬価算定が大きく異なるので、複数の比較薬をもとに算定することにしました。

次に、収載後の対応として、急激に感染者が増大し、投与対象患者が急増するということも想定されるため、迅速に市場規模の把握ができるよう、通常の四半期再算定に用いるNDBとは異なるデータを用いて判断することにしております。

また短期間で市場規模が急激に拡大した場合を想定して、年間販売額が3000億円を超えた場合のルールを設けている。このようにゾコーバの場合は、感染症の特性も踏まえて想定される課題に対してゾコーバに限った特例的な措置をまとめたものでございます。

この取りまとめの最初の前文に記載しております通り、薬価制度は国民皆保険持続可能性と、イノベーションの推進を両立させることが重要であり、既存のルールを基本としつつ、本剤の特性から特に対応が必要な事項に限って特例的な対応を行うという前提で取りまとめております。

今回の品目は認知症薬でございまして、感染症治療薬のような急激な投与患者数の拡大といった状況は想定されにくいですが、推定有病者数が多い中で、収載時にどこまで患者推計が可能かという点など、対象疾患である認知症の状況も踏まえ本剤に限った措置が必要かご議論いただきたいと考えております。

本剤の議論の進め方で前回と異なるのは、薬価に関するルールは薬価専門部会で議論することになりますが、総会にお諮りした通り、今回は費用対効果評価の観点の議論も必要なので、費用対効果評価専門部会との合同部会の開催も提案しているものでございます。事務局からの説明は以上でございます。

安川部会長:それでは質疑に入ります。では、長島委員お願いします。

長島委員:はい、ありがとうございます。最初に資料についてコメントと質問をします。まず安全性についてです。資料9ページ(国際共同第Ⅲ相試験成績 安全性①:有害事象の発現状況)、資料10ページ(国際共同第Ⅲ相試験成績 安全性②:A R I Aの発現状況)について、全有害事象で見るとプラセボ群とレカネマブ群で大きな差がないように感じてしまうかもしれません。

しかし、発現数自体は少ないと企業は主張されるかもしれませんが、有害事象のアミロイド関連事象は、資料10ページにあるように、MRI画像で判断する場合で、重度のものがプラセボ群3例に対して、レカネマブ群が9例+32例の41例。また、重篤な事象の症例がプラセボ群の1例に対して、レカネマブ群が7例+5例の12例で、明らかにレカネマブ群での発現が多く、注目すべき重大な事象であると考えられます。

したがって、安全性確保のためには、迅速かつ的確な対策が必須であります。加えて、死亡例については、資料10ページの注釈にあるように、「国際共同第III相試験のデータカットオフ日以降の本剤投与中に認められた死亡例は3例であった」との記載があります。

そこで質問です。この死亡例について可能でしたら、その概要を教えてください。また、データカットオフ日について、死亡症例にとって治験の観察期間満了なのか、治験期間が終了して観察が打ち切りになったのか、それによって見方が変わってきますので、これを踏まえた回答をお願いいたします。

その他、日本では、(アルツハイマー型認知症について)アリセプト等の薬物療法が広く普及しています。こうした既存薬を対照群に設定しなかった理由があれば教えてください。また、資料13ページ(レケンビに関する情報提供 患者向医薬品ガイド②)にある定期的なMRI検査の頻度について、目安があれば教えてください。

その上で、資料38ページの各論点について申し上げます。1つ目の論点です。資料38ページ(レケンビの薬価収載に向けた論点等)上段の現状の1つ目のポツに整理されている本剤に関する算定方法の考えを読みますと、通常のルールで十分対応可能と考えられます。したがって、別の取り扱いを検討する必要はないと考えます。

2つ目の論点は、現時点の見込みで考えるしかないと思います。限定的な予測患者数ながら、大きく増えてしまう可能性があることや、患者さんへの投与期間がどれぐらいになるかによっても、市場規模が増大する可能性があるという状況は、今までにも経験してきた適応拡大による市場拡大の事例を踏まえ、収載後に対応するルールを作るべきであると考えます。

ここで、薬剤における有効性と市場規模の拡大に関して、事務局に質問いたします。臨床試験の投与期間は18か月ですが、本剤はどれぐらいの期間投与し続けることになるのか、想定しているものがあるでしょうか? また、どのタイミングで投与中止するという目安はあるでしょうか? 本剤は軽度が対象ですので、中等度という診断、スコアにより判断できるのでしょうか?

次に3つ目の論点です。薬価収載までの期間は90日と、議論の時間が非常に限られています。そのような前提の中で、これまでの薬価の議論において取り扱ったことのない介護費用の軽減を収載時の薬価に反映させるかどうかについて十分な議論もできないまま、介護負担軽減分を医療保険で評価することには限界があると考えられます。

一方で、介護費用に係るデータの評価の取り扱いについては、費用対効果評価の枠組みにおける検討事項とされていることを踏まえますと、引き続き費用対効果評価専門部会で議論することは適切であると考えられます。ただし、費用対効果評価専門部会における議論でも課題があり、改めてその部会で指摘したいと思います。

論点の4つ目は、3つ目の話を議論するためということで理解できます。私からは以上です。

安川部会長:はい。ありがとうございます。では質問に対して事務局の方から回答お願いいたします。

薬剤管理官:いただいた質問に関して順にご説明いたします。最初の資料10ページ目でございます。10ページに記載した死亡例に関するものでございますが、死亡例の解析は既に公表している本剤の審査報告書に記載されているものでございます。なお、合わせてご指摘のカットオフ日というのは薬事承認申請用の成績をまとめるために、ある時点のデータを集計した時点のことでありまして、その日以降であっても被験者の観察を打ち切るものではございません。

データのカットオフ日以降に死亡した3例は、いずれも二重盲検の期間はプラセボが投与されていた患者で、その後の継続投与期間に移行した後、本剤が投与されておりますので、その投与された患者に生じたものでございます。

3例とも本剤投与中に抗血栓薬が投与されており、脳出血または重度のARIAを発現し、その後の死亡に至ったものというものでございまして、このうち2例は報告医により本剤との因果関係がありと判断されているものでございます。審査ではこれら症例も踏まえまして添付文書において死亡例が生じている旨の注意喚起も添付文書に行っているものでございます。

いずれにしても本剤によりARIAの発現が起こりやすく、死亡例を含め重篤な症例でも出ているというような状況ですので、本剤の適正使用の観点から、必要な検査やその後の迅速な対応が確実にできる施設において使用していたことが前提になるというふうに考えているものでございます。

次に臨床試験の設定の中で既存薬を対照群に設定しなかった理由ですが、既存の認知症薬と本剤では、本日の資料にも入れておりますが作用機序が異なります。また、病態の進行を抑制するのか、症状のみ抑制するかというところで治療のコンセプトも違いますし、MCIという軽度認知障害を対象にするというのは効能効果の範囲も異なるというものでございます。

また本来は既存の認知薬と併用も想定されるというものなので、そういった意味で臨床試験ではプラセボ対象とするということが選択されたというものでございます。臨床試験の中では、既存の認知症薬を併用する患者も含めており、期間中は併用薬の投与量を維持するなど要件を設定して組み入れているものでございます。

次にMRI検査の目安ですが、資料25ページ(最適使用推進ガイドラインについて)に関連することが書かれていますが、臨床試験で本剤の投与開始から14週間以内にARIAの発現が多いという状況ですので、特に投与開始直後は検査の頻度を多く規定することにしているものでございます。具体的には添付文書、最適使用推進ガイドラインで投与開始後2か月まで、3か月まで、6か月まで、それぞれ1回。それ以降は6か月に1回、MRI検査を実施してARIAの有無を確認するとそういったことを規定する予定でございます。

次に臨床試験の投与期間に関するものです。ご指摘の通り臨床試験中に検証されたのは18か月ですので、最適使用推進ガイドラインの中で、18か月以上継続する場合は、18か月時点で臨床的進行や病期に関する診断、あるいは投薬の効果、認知症スコアなどを踏まえて、継続の可否を判断するよう求めるというものを規定する予定です。

実際の投与期間がどれくらいになるかですが、個々の患者の症状等を踏まえて医師が判断することになるので、現時点でどれくらい使用されるかわかりませんが、実臨床においてどの程度、投与し続けるかについては、市販後に実施される全例調査の中で確認していく予定としています。

また、どのタイミングで投与中止するかの目安や、中等度の判断ですが、最適使用推進ガイドラインに規定しようとしているのは、例えば安全性の観点で資料25ページにあるように、定期的に有効性・安全性を確認することを求める中で、その都度、投与継続の可否を判断することになります。また症状の進行という観点であれば、スコア評価に基づき中等度と考えられるスコアは把握可能です。スコア評価以外に、個々の患者の臨床的進行に応じて処方医が投与継続の可否を判断するということになると考えているところでございます。説明は以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございました。長島委員よろしいでしょうか? はい、ありがとうございます。森委員、お願いします。

森委員:資料38ページの論点(レケンビの薬価収載に向けた論点等)に沿って発言させていただきます。ポツの1つ目です。先ほど長島委員からもありましたように、同じページの上の方にある「現状」のポツの一つ目で示されている内容で対応できると考えます。通常の算定ルールで対応することが良いというふうに考えております。

ポツの2つ目ですが、アルツハイマー病による軽度認知障害と軽度認知症の患者数を合わせると500万人を超える推計が出ており、医師要件、施設要件を設けるにしても、体制整備が進むことなどで、予想よりも大幅に患者が増加する可能性もあります。

実際に本剤がどの程度の期間投与されるかなど、現状のデータで市場規模予測や使用実態などを正確に見込むことは難しく、予想以上の患者数が出た際に、適切な対応ができるよう収載後の価格調整ルールを含めてこれまでとは別の取り扱いを検討すべきと考えます。

また本剤は全例調査により使用実態等が把握可能になるので、その使用実態が明らかになった段階で、改めて検討することもあり得るのではないかというふうに考えます。

ポツの3つ目ですが、介護費用に基づく評価に関しては、現在、費用対効果評価の中での検討事項とされていること。それから薬価収載までの期間が90日と限られていることから、介護費用の取り扱いについては別途、費用対効果評価専門部会で検討することが妥当だと考えます。

最後のポツについては効率的な議論を行うため、合同部会として開催することに異論ありません。私は以上です。

安川部会長:ありがとうございました。他にいかがでしょうか? 佐保委員お願いいたします。

佐保委員:はい、ありがとうございます。資料38ページの論点(レケンビの薬価収載に向けた論点等)の3つ目に「製造販売業者が提出している資料のうち介護費用に基づく内容の評価に関しては、費用対効果評価の枠組みにおける検討事項」と記載されていますが、今後、この分析・検証には相当の期間を要するのではないかというふうに考えております。

私自身、以前、地域包括支援センターの主任介護支援専門員や介護認定調査の仕事をしていた時期があります。その経験からも、アルツハイマー型認知症の進行に個人差があることや、介護保険サービスの利用開始時期、利用内容にも個人差があると考えています。私からは以上です。

安川部会長:ありがとうございました。松本委員お願いいたします。

松本委員:ありがとうございます。前回も申し上げましたが、保険財政の持続可能性に極めて大きな影響を与えますので、その単価、対象患者、投与期間について適切な判断をする必要があると考えております。

本剤の有効性については資料8ページ(国際共同第Ⅲ相試験成績 有効性②)に投与18か月時点で約5.3か月の進行抑制という試験結果、並びに7.5ヶ月遅延させるとの推定が示されております。さらに長期的なスパンの効能についてはまだわかっておりません。一方で安全性については重篤な副作用も報告されており、承認条件としてメーカーに全例調査が義務付けられ、3年間の追跡調査が推奨されております。患者ごとに安全性と有効性をポイントごとに判断すべきということです。

それでは資料38ページ(レケンビの薬価収載に向けた論点等)の論点に沿ってコメントさせていただきます。まず薬価算定の方法ですが、原則通り類似薬があるのであれば類似薬効比較方式で算定すべきだと考えます。例えば資料24ページ(抗体医薬品及び既存の認知症薬の薬価)に示されている薬剤のどれを選定するのか、またゾコーバの時のように複数の比較薬を組み合わせるのか、さらに類似薬効比較方式に馴染まないということであれば、原価計算方式というのもあり得ると考えますが、いずれの場合も合理的な説明が不可欠と考えます。

事務局におかれましては、この判断に資する資料を次回以降に示していただきたいと考えます。

続きまして2つ目の投与患者数です。安全性と有効性の観点からも、最適使用推進ガイドラインや留意事項通知で適切に管理すべきと考えます。ただ、潜在患者数も含めると市場規模はかなり大きく、患者の期待も高いことを踏まえると、患者数が上振れする可能性も否定はできないと考えております。

資料34ページ(薬価収載後の価格調整 市場拡大再算定)にございますが、上振れした際の価格調整も必要だと考えます。

続きまして介護費用に基づく評価に関しましては、前回の費用対効果評価専門部会でも申し上げましたけども、介護費用の軽減を医療保険の財源を使って評価することが果たして妥当なのかという制度自体の趣旨、目的との関係の問題も含めて、今の時点では慎重に判断すべきであるという考え方は変わっておりません。

この重要な問題について、薬価収載の期限である90日間で結論を出すことは非常に難しいのではないかと感じております。その一方で、議論に時間をかけることで、この薬を待ち望む患者の期待に沿えなくなりますし、最長90日以内に薬価収載するという予見性も損なわれてしまいます。

従いまして薬価収載時には既存の評価軸で有用性等を判断した上で、費用対効果評価の中で介護費用について引き続き研究を続けていただきたいと考えます。

最後に、薬価専門部会と費用対効果評価専門部会の合同部会での検討については異論ございません。以上でございます。

安川部会長:はい、ありがとうございました。他にご意見等ございますか。鳥潟委員お願いします。

鳥潟委員:ありがとうございます。先週の総会でも(前任の)安藤の方から申し上げているかと思いますが、医療費の観点でいうと、薬価そのものよりもその前の検査費用に着目をさせていただきたいというふうに思っております。

(レカネマブを)使える病院が最初は限定的と言いながらも、(患者)ニーズは非常に高い薬剤だと認識しておりますので、その辺りの将来推計も見たいと思っております。あと、薬価収載後の状況で患者数もいままだ曖昧なところで動いていると思う。ゾコーバと同様に収載後のルールを明確にして進めていただけると先が見通しやすいと思います。

介護費用の取り扱いに関しては皆様が発言しているように、全然わからないっていうのが現実ではないかなと思います。会社が言っている計算方法をいきなりあてがうのはちょっと難しいかなと思う。費用対効果評価専門部会との合同開催に関して、難しさはありますが、やはり目を逸らす訳にはいかない。そちらを着実に見ていく必要があると思います。合同部会できちんと議論していくことを望みたいというふうに思っております。以上です。

安川部会長:はい、ありがとうございました。他にはよろしいでしょうか? 他にご意見がございませんようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりといたします。論点にありました通り今後の検討においては費用対効果評価専門部会と相互の検討状況を共有しながら議論するため、次回は合同部会として開催することにしたいと思いますが、よろしいでしょうか?

(各側とも同意)

はい、ありがとうございます。では、次回は合同部会として開催します。事務局におかれましてはご対応をお願いいたします。本日の議題は以上です。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。それでは本日の薬価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。
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