EFPIA・ヨルゲンセン会長 日本政府に協力してヘルスエコシステム開発へ ラグ/ロス問題解消へ一役
公開日時 2023/10/06 04:52
欧州製薬団体連合会(EFPIA) のラース フルアーガー ヨルゲンセン会長は10月5日の記者会見で、日本政府との緊密な連携を通じ、イノベーションを推進するヘルスエコシステムを共同開発すると強調した。同会長は、「(EFPIAとの)パートナーシップを組むことで経済成長が推進される。そしてサイエンスも強化され、患者の医療アクセスも推進し、経済が強くなっていく」と指摘。ドラッグ・ラグ/ロス問題の解消につなげたいとした。一方、EFPIA Japanの岩屋孝彦会長は、「これまで患者の声があまり薬事制度や医療政策に反映されてこなかった。これが我々の問題意識だ」と強調。ドラッグ・ラグ/ロス問題の解決に向けて、「どんな風にシステマティックに患者の声を(政策に)反映するか考えたい」との見解を表明した。
◎ヨルゲンセン会長「残念ながら現在の状況を見ると日本が後れを取りつつある」
ノボ ノルディスクのCEOを務めるヨルゲンセン会長は会見で、「デンマークは輸出品の20%がライフサイエンス関連製品になっている」とし、産業と政府がパートナーを組むことで経済成長が推進されたと説明。「これと同じようなことを日本でも是非行っていきたい」と呼び掛けた。ただ、日本の現状に触れ、「残念ながら現在の状況を見ると日本が後れを取りつつある」と指摘。「エコシステムを支えるものがない。より高い次元で戦略的なレベルで進めるべき。そしてドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスをいかに解消するかが課題だ」と言い切った。
そのうえでヨルゲンセン会長は、「イノベーションの推進はエコシステムを刺激する。医療従事者がそれをどんどん使うことになるし、KOLが将来のサイエンティストを教育する機会になる。それが新しいテクノロジーにつながる。さらに、それがベンチャーのプラットフォームとなり、経済的なエコシステムが活性化する」と強調。「多くの場合、合併症や進行を食い止める。それができると医療コストの削減にもなる。日本で(革新的新薬を)製造するチャンスも増え、雇用の創出にもつながる。長期的に日本の経済活動も活性化することになる」とのロジックを披露した。
◎岩屋会長 患者の声が薬事制度や医療政策に反映されてこなかったことが「我々の問題意識」
EFPIA Japanの岩屋会長は、中医協でのドラッグ・ロス/ラグをめぐる業界ヒアリング(9月20日開催)の中で、「“ビジネス上の課題”として受け止められたかもしれないが、そこが本質では全くない」と強調。「あくまで我々の使命の話だ。患者に対して医薬品を提供することが我々のミッション。これが実現できないのが由々しき問題だ」と述べた。また続けて、「実際には患者も困っている。しかしながら、そうした声がいままであまり明確に薬事制度や医療政策に反映されてこなかったのが我々の問題意識だ」と述べた。
岩屋会長は、ドラッグ・ロス/ラグ問題の解決に向け、「どんな風にこれからはシステマティックに患者の声を反映するか。簡単なようで非常に難しい課題だ。ただ、このステージを提供することが必要だ。何ができるかを考えていきたい」と語った。