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【中医協総会 11月24日 議事要旨 長期収載品の保険給付の在り方についての論点】

公開日時 2023/11/27 07:01
中医協総会は11月24日、長期収載品の保険給付の在り方についての論点について事務局から説明を受け、議論を行った。本誌は各側委員による質疑について議事要旨として公開する。



会長:はい、ありがとうございました。それではただいまの説明につきましてご質問等お願いいたします。長島委員お願いします。

長島委員:ありがとうございます。資料「総―3」30ページの「長期収載品の保険給付の在り方についての論点」についてコメントします。この議論を進めるに当たっても、処方権は医師にあることを原則にすべきであります。この原則を踏まえれば、医師が医学的な判断により長期収載品を選択した場合は、患者さんの選択によるものではありませんので、選定療養の対象にすべきではないと考えます。

この点を考慮せず、後発医薬品の薬価を超える部分は一律に自己負担を求める参照価格制度については医療上の必要性を考慮しておらず、導入すべきではありません。

また、長期収載品の薬価については、安定供給上の懸念や長期収載品の保険給付のあり方について方向性が定まった時点で議論すべきだと考えます。私からは以上です。

会長:はい、ありがとうございました。それでは森委員をお願いいたします。

森委員:はい、ありがとうございます。資料30ページ目「長期収載品の保険給付の在り方についての論点」に沿って発言させていただきます。1つ目の医療上の必要についてですが、医療上の観点から先発品を使用している場合や、患者さんの状態によって薬剤変更することで治療に影響する場合、後発品と適応が異なる場合等もあります。その医薬品を使用することに医療上の必要性が合理的に存在する場合には、これまで通り保険給付の対象とするなど十分に配慮した制度設計も必要と考えます。

あわせて、この必要性を判断する要素や、その判断方法についても、医療現場、特に処方箋に基づき調剤を行う薬局において困ったり負担とならないよう、簡素かつ明確な仕組みとする必要があると考えます。

次に2つ目と3つ目の保険給付と選定療養の負担に係る範囲といわゆる参照価格制度についてです。患者の自己負担額をもし選定療養として位置付けるにしても、いわゆる参照価格制度の考え方のような差分の丸ごとではなく、患者負担が過度にならないことが必要であり、個別の医薬品の薬価や処方日数等により、実際の自己負担額には大きな差が生じるため、そのあたりの配慮も必要と考えます。

そのためには負担に関して一定の水準を設けること等も含め、一定の率を定めることを検討すべきと考えます。

次に4つ目の薬価上の措置との関係についてですが、今回の保険給付のあり方の見直しは、これまでにない新たな対応であり、患者、現場への影響が非常に大きく、実際にどのような影響が現れるのか想定しづらい部分もあることを考えると、後発品の置き換えを進める方策として、今回提案された方法を行うのであれば、長期収載品に係る薬価上の措置の見直しを行うことはすべきものではないと考えます。

次に5つ目の後発品の安定供給との関係についてですが、現状医薬品の供給状況は極めて不安定であり、患者さんへ交付可能な薬剤が限定されているため、患者さんをお待たせしたり処方変更などをやむを得ず行っており、今回さらに、調剤時に後発品がないからといって、金銭的な負担を患者に求めることは到底できません。出荷調整となっていない医薬品でも入手が困難な状況であり、少なくとも出荷調整となっている成分を対象にすべきではないと思いますが、日々その品目も変化している現状でどのように制度が適切に運用できるのか、急に現場が混乱しないよう施行の時期なども含め慎重な検討が必要と考えます。

最後に、これらの対応については、システム上の対応が必要となります。また、平成9年の薬剤一部負担金導入のときには、患者への説明を含めて現場が大きく混乱しました。現場に事務負担がかからないよう、システム上の対応も含め、なるべく簡素な形で実施するものと考えますし、関係者による国民への十分な周知や、そのための準備期間等も必要と考えます。私からは以上です。

会長:はい、ありがとうございました。それでは松本委員お願いいたします。

松本委員:はいありがとうございます。まず総論といたしまして、後発品の使用割合が資料10ページ(後発医薬品への置換え状況・後発医薬品の使用割合)に示されている通り79%まで上昇しているとはいえ、資料12ページ(長期収載品のシェア(数量・金額)国際比較)を見ますと、世界的に比較すると日本では長期収載のシェアがまだ高い状態にあります。

また、資料21ページ(先発医薬品を指定する場合の理由、診療所・病院・医師調査)を見ますと、医師が先発医薬品を指定する理由として、患者の希望が最も多い状況ですので、いわゆるブランド選択というようなものについては、選定療養と位置付けることで後発品の使用を促進することは十分に考えられると思います。

それでは資料30ページ「長期収載品の保険給付の在り方についての論点」に沿ってコメントいたします。まず医療上の必要については当然一定の配慮が必要であり、資料20ページ
(後発品への置換えが進まない長期収載品について・JGA)にありますように、後発品が存在しないものや精神系の薬剤など後発品からの切り替えが困難な場合は選定療養から除外することが想定されます。

また最終的に医師の判断に委ねる部分があると思いますが、資料21ページ(先発医薬品を指定する場合の理由、診療所・病院・医師調査)を見ますと、先発品を指定した理由の約3割が後発品の品質や効果や副作用に疑問があるとなっていますが、これらを全て選定療養から除外することについては少し疑問がございます。適正な運用という観点から医師による妥当な判断が行われることを担保する必要があると考えております。

続きまして保険給付と自己負担の範囲については、患者が後発品へ切り替えようと考える程度の負担はあってしかるべきですが、先ほど森委員会もありましたけども、過度な負担増も難しいだろうと考えております。

したがいまして資料28ページ(長期収載品の保険給付の在り方の見直しに係る具体的な論点)に示されております参照価格制を導入する必要性は乏しいと考えます。

一方で長期収載品の薬価上の措置については、薬価専門部会で申し上げた通り不可欠でございます。限定出荷や欠品が生じている成分を選定療養から除外しつつ、安定供給が可能な後発品の使用がさらに増加することにより、後発品企業にとっては経営上のメリットもあると言えます。患者の負担増によって生じた財源はイノベーションと持続可能性の両立に繋がるよう還元すべきだというふうに考えます。私からは以上でございます。

会長:はい、ありがとうございます。佐保委員から手があがっています。オンラインからお願いします。

佐保委員:はい、ありがとうございます。長期収載品の保険給付のあり方の見直しについては、経済力による医薬品へのアクセスの課題があることや、本来必要な医薬品の一部を保険外の自己負担とすることについて、2002年改正の健康保険法改正法附則との関係もあると考えます。

患者の要望だけでなく、医師が先発品を指定する場合や、後発品の普及率が低い地域もある実態を踏まえた検討が必要と考えます。私からは以上です。

会長:はい、ありがとうございます。他はいかがでしょうかはい、高町委員お願いいたします。

高町委員:はい、ありがとうございます。後発品の使用は今後も進めていくべきだと思います。ただ、選定療養は保険適用外の治療と保険適用の治療をあわせて受けられるようにするものということですので、長期収載品に何か安全性の問題が生じていない中で、保険適用外にすることによってこれからの医療保険制度に国民が不安を持つようなことがあるのではないかという懸念を持ちます。ですので、丁寧に議論をしていただくことを要望したいと思います。

会長:ありがとうございます。続きまして眞田委員お願いいたします。

眞田委員:ありがとうございます。長期収載品の保険給付のあり方について、選定療養を活用していくという方針について異論はございません。また医療上の必要性の配慮が必要であるということについても理解するところでありますけれども、後発品への置き換えを進めて、長期収載品の依存からの脱却を促すという大目的については常に踏まえておく必要があるのではないかというふうに思います。私から以上でございます。

会長:はい、ありがとうございます。他はいかがでしょうか。池端委員お願いいたします。

池端委員:はい、ありがとうございます。まず医療保険部会での議論の中で、資料25ページ(薬剤自己負担の見直しに関する主な項目)にありますように「①」から「④」を議論したことになっていますが、実際はどれかを選択するっていう形で最終的に「④」が俎上に上がって、いま議論進んでいるのだろうと思います。

これに関して医療保険部会での議論でも、医師がジェネリックに対して不安があるからしているのではないかというような意見も出ました。ただ現状は、ここに資料もありますように患者さんの希望が非常に多いです。処方せんには、レ点をつけると医師の判断で変更不可ということができるようになっているが、逆に薬局の方から患者さんが不安だから(ジェネリックに)変えたくないということを言ってきて、どうしましょうかっていう問い合わせがある。

では、医師として絶対に大丈夫だと100%言えるかっていうと、やっぱり医薬品はものすごくセンシティブなものだ。効いているか効いてないか、特に向精神薬等は1年、2年服用した医薬品を変えることに不安があって、「1回変えてみたけどやっぱり調子悪いから元に戻してくれ」という患者の要望は、科学的に根拠がありませんと言い切ることは非常に現場で難しいということを理解いただけると良いかなと思います。

だから一旦(医薬品を)変更したものを患者の希望があって元に戻したときに、それは選定療養ですというのは、医師にそこを任せるときのハードルが高いということもある。仮に選定療養に持っていくということであれば、先ほど皆さんおっしゃったように参照価格みたいに全額というのは到底不可能だと思うし、選定療養になれば全額自費扱いになるわけですから、せめて保険給付額の3割とか4割に少し足したくらいの形で激変緩和しないと患者が非常に困ってしまうことがあるんではないか。そんな気がしています。

いずれにしても慎重に検討していただくことと同時に、前提は後発医薬品の安定供給ですので、先ほど森委員もおっしゃったように、そこに移してもその中から効く先発に戻さなきゃいけないってことを日常経験しておりますので、そこが大前提であるということを踏まえた上で慎重に検討いただければと思います。以上です。

会長:はい、ありがとうございました。他いかがでしょうか?はい、飯塚委員お願いします。

飯塚委員:ありがとうございます。まず選定療養の導入に関しては賛成をいたします。その中で医療上への配慮ですけれども、まず後発品は先発品と同等であるというのが基本的な考え方だと思います。もし特定の医薬品について、同等性が確保されていないというふうなことであるとすると、それ自身が問題ですので、そういった同等性が確保されるように制度等の見直しが必要ではないかと思います。

事務局に質問ですけれども、欧州の各国では長く参照価格制度が採用されていますけれども、本日議論にありました医療上の配慮といったものはなされているのかどうか、もしされている場合はどのようなルールで対処しているのか調べいただきたいと思います。

後発品の供給不安がある現状をどう考えるかという論点ですが、私もその点は非常に重要だと思います。一つの考え方としては新たな制度の導入ということであるとすれば、全ての医薬品に対して一律に導入するということは、規模的にも難しい可能性もありますので部分的に試行的に導入するということも考えてはどうかというふうに考えます。以上です。

会長:はい、ありがとうございます。飯塚委員から諸外国の例について事務局で情報を持ちかというふうなご質問ありましたけどいかがでしょうか?

事務局:飯塚委員からご指摘いただきました他国の制度ということで、主に参照価格制度をとっている国といえばドイツやフランスが代表的なケースかというふうに思います。基本的にはそれぞれの国の中で制度は様々かと思います。例えばドイツで言いますと先発品の場合であっても参照価格の中にグルーピングされて、その結果として償還価格以上の部分については患者負担にする仕組みになっています。基本的にはそういった範囲での処方権はある程度コントロールされているという仕組みではないかというふうに考えてございます。

ただ、各国制度がルールの見直しがされておると思いますので、少し新しい情報を含めて提出できないかちょっと考えさせていただきたいと思います。

会長:はい、ありがとうございます。飯塚委員いかがでしょうか?

飯塚委員:どのように医療上の配慮をするのかというのが重要な論点だと思います。私が見聞きするところではそういった配慮というのは、必ずしも諸外国で明示的なものはないのかなと思いますけれども、そういったものを諸外国でどうルール化しているのかなど参考に教えていただけると今後の議論が進むのではないかと思います。以上です。

会長:はい、ありがとうございます。他はいかがでしょうか。池端委員お願いいたします。

池端委員:いま飯塚委員から置き換えが難しいものを選別してやったらというご意見だったかと思うのですけど、一つの医薬品でも(患者)Aさんには特に問題ないけど(患者)Bさんに投与すると、いろいろ問題と訴えてくるっていうことはありうるので、これはやっぱり現場の医師の判断に任せるしかないのではないかという感じがいたします。以上です。

会長:はい、ありがとうございます。他はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは他にはご質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。今後事務局におかれましては、本日いただいたご意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。

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