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厚労省 新薬等30製品を承認、半数が新有効成分 AZとファイザーが各5製品承認取得

公開日時 2024/03/27 04:51
厚生労働省は3月26日、新医薬品など30製品を承認した。ミクスの調べでは15製品が新有効成分含有医薬品で、この中に幅広い乳幼児を対象としたRSウイルス感染症予防薬・ベイフォータス筋注(一般名:ニルセビマブ、アストラゼネカ)や、胃がんに対するファーストインクラスの抗Claudin 18.2抗体・ビロイ点滴静注用(ゾルベツキシマブ、アステラス製薬)、皮下投与の発作性夜間ヘモグロビン尿症治療薬・ピアスカイ注(クロバリマブ、中外製薬)などが含まれる。

承認品目数を製造販売元で見ると、アストラゼネカとファイザーが各5製品、武田薬品とノーベルファーマが各3製品、中外製薬が2製品の承認を取得した。このほかの承認取得企業(1製品)は▽あすか製薬、▽アステラス製薬、▽アルジェニクスジャパン、▽ヴィアトリス製薬、▽協和キリン、▽参天製薬、▽日本新薬、▽日本イーライリリー、▽ノバルティス ファーマ、▽マルホ、▽Meiji Seika ファルマ、▽ユーシービージャパン――となる。

一方、3月4日の薬食審・医薬品第二部会に報告されたがん免疫療法薬・キイトルーダ点滴静注の「治癒切除不能な進行・再発胃がん」の効能追加は26日付では承認されなかった。製造販売元のMSDは本誌取材に、「当社が把握している限り、26日時点で承認されていない。理由は審査中につき、答えられない」とコメントした。

承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。薬効分類順に記載。

フィンテプラ内用液2.2mg/mL(フェンフルラミン塩酸塩、ユーシービージャパン):「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないLennox-Gastaut症候群患者におけるてんかん発作に対する抗てんかん薬との併用」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。承認条件として全例調査がついた。薬効分類1139。

本剤は、セロトニンの放出作用及びセロトニン受容体作動薬として5-HT1D、5-HT2Aおよび5-HT2C受容体に対し特異的にアゴニスト活性を示す。またシグマ‐1受容体のポジティブモジュレーターとして作用し、発作を抑制する二重活性を有する。

今回追加されたLennox-Gastaut(レノックス・ガストー)症候群患者におけるてんかん発作に係る適応の用法・用量は、「通常、成人及び2歳以上の小児には、フェンフルラミンとして1日0.2mg/kgを開始用量として1日2回に分けて経口投与し、患者の状態に応じて、1週間以上の間隔をあけて1日0.7mg/kgまで増量できる。1日用量として26mgを超えないこと」となり、既承認のドラベ症候群患者におけるてんかん発作に係る適応とは異なる。

シスタドロップス点眼液0.38%(システアミン塩酸塩、ヴィアトリス製薬):「シスチン症における角膜シスチン結晶の減少」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用薬品。再審査期間は10年。承認条件として全例調査がついた。薬効分類131。

本剤は点眼投与でライソゾームに蓄積するシスチンと反応し、細胞内シスチン濃度を低下させるもの。用法・用量は「通常、1回1滴、1日4回点眼する。なお、症状により適宜回数を減じる」。

シスチン症は希少な先天代謝異常症。ライソゾーム膜上でシスチン輸送を担うシスチノシンをコードする遺伝子の変異により、腎、眼球、骨髄など全身のライソゾーム内にシスチンが沈着し、結晶となって臓器障害を生じる。国内患者数は10数人とされる。

なお、日本先天代謝異常学会およびシスチノーシス患者と家族の会から厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬の要望募集」に開発要望が出されたが、ヴィアトリス製薬は既に開発に取り掛かっていたため、厚労省から開発要請はされていない。

アレジオン眼瞼クリーム0.5%(エピナスチン塩酸塩、参天製薬):「アレルギー性結膜炎」を効能・効果とする新剤形医薬品。薬効分類1319。

用法・用量は「通常、適量を1日1回上下眼瞼に塗布する」となる。

アセノベル徐放錠500mg(アセノイラミン酸、ノーベルファーマ):「縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーにおける筋力低下の進行抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。承認条件として全例調査がついた。薬効分類190。

本適応を持つ世界初の治療薬。有効成分のアセノイラミン酸はシアル酸の一種。縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー(GNEミオパチー)で足りなくなったシアル酸を補うため経口投与可能な薬剤として開発された。用法・用量は「通常、成人にはアセノイラミン酸として1回2gを1日3回食後に経口投与する。なお、投与間隔は約8時間とすることが望ましい」。

GNEミオパチーは、多くは10代後半から30代にかけて出現し、体幹から離れた部位から筋肉が萎縮、変性し、次第に体の自由が奪われていく希少疾病。国内患者数は、厚労省の難治性疾患克服研究事業の平成21年度の報告書において、167~345人と推定されている。

エンレスト粒状錠小児用12.5mg、同31.25mg(サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物、ノバルティスファーマ):「慢性心不全」を効能・効果とし、小児用量を追加する、新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は30年6月28日まで。薬効分類219。

ネプリライシン阻害薬サクビトリルとARBバルサルタンを含有するアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)。現在、成人の慢性心不全と高血圧症を適応としており、今回、慢性心不全の小児用量の追加及び粒状錠が追加された。

小児の慢性心不全に対する用法・用量は、通常、1歳以上の小児には体重に応じた開始用量を1日2回経口投与し、忍容性が認められる場合は2~4週間の間隔で段階的に目標用量まで増量して用いる。忍容性に応じて適宜減量する。

サルグマリン吸入用250µg(サルグラモスチム(遺伝子組換え)、ノーベルファーマ):「自己免疫性肺胞蛋白症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類229。

対象疾患である自己免疫性肺胞蛋白症は、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子に対する自己抗体の過剰な産生により肺胞内に不溶性の物質が蓄積することで、呼吸不全が引き起こされる指定難病。18年の特定医療費受給者証所持者数は148人となっている。

▽①ファセンラ皮下注30mgシリンジ、②同皮下注10mgシリンジ(ベンラリズマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」を効能・効果とし、小児用量を追加する、①は新用量医薬品。②は新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は4年。薬効分類229。

抗IL-5受容体α抗体。今回追加された小児の用法・用量は、▽12歳以上の小児、▽体重35kg以上の6歳以上12歳未満の小児――は既承認の成人の用法・用量と同じ。体重35kg未満の6歳以上12歳未満の小児に対しては、1回10mgを初回、4週後、8週後に皮下に注射し、以降、8週間隔で皮下に注射して用いる。

日本で重症喘息に対する生物学的製剤には、ファセンラのほか、抗IgE抗体・ゾレアや抗IL-5抗体・ヌーカラ、抗IL-4/13受容体抗体デュピクセントがある。ゾレアは小児も含めた投与量換算表が設定されている。ヌーカラは「①6歳以上12歳未満②12歳以上の小児」、デュピクセントは「12歳以上の小児」の用法・用量が設定されている。

ジンタス錠(ヒスチジン亜鉛水和物、ノーベルファーマ):「低亜鉛血症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類322。

亜鉛を含有する医薬品。 同剤を投与することで血中の亜鉛濃度の上昇を期待する。開発コードはNPC-25。用法・用量は、「通常、成人及び体重30kg以上の小児では、亜鉛として、1回50~100mgを開始用量とし1日1回食後に経口投与する。なお、血清亜鉛濃度や患者の状態により適宜増減するが、1日1回150mgを超えないこと」。

厚労省によると、既承認の低亜鉛血症の適応を持つノベルジンと同様の亜鉛製剤であり、臨床的位置づけは、低亜鉛血症患者の治療選択肢のひとつとなる。 

アジンマ静注用500(アパダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)/シナキサダムダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、武田薬品):「先天性血栓性血小板減少性紫斑病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。承認条件として全例調査がついた。薬効分類339。

遺伝子組換えADAMTS13補充療法薬。欠損または欠乏したADAMTS13酵素を補充することによって、標準治療を改善し、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)患者のアンメットメディカルニーズに応える新しい治療選択肢として期待されている。

同剤は緩徐に静脈内注射で用いるが、定期的に投与する場合は「通常、成人及び12歳以上の小児には、1回40国際単位/kgを隔週投与するが、患者の状態に応じて1回40国際単位/kgを週1回投与することができる」――。急性増悪時に投与する場合は、「通常、成人及び12歳以上の小児には、1日目に1回40国際単位/kg、2日目に1回20国際単位/kg、3日目以降は1日1回15国際単位/kgを投与する」――となる。

TTPは、フォン・ヴィレブランド因子(VWF)による血小板の接着および凝集に関連した、致死的かつ稀な血栓性微小血管症の一種。TTPは先天性TTP(cTTP)と後天性TTP(iTTP)に大別される。

5-FU注250mg、同注1000mg(フルオロウラシル、協和キリン):「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。薬効分類422。

3月26日時点で審査中のMSDのキイトルーダ(胃がん)との併用に関するもの。

レズロック錠200mg(ベルモスジルメシル酸塩、Meiji Seika ファルマ):「造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類399。

選択的ROCK2阻害薬。免疫細胞の分化と組織の線維化に関与するリン酸化酵素であるROCK2を選択的に阻害する。免疫調整作用と抗線維化作用を発揮し、慢性移植片対宿主病(慢性GVHD)に奏効することが期待されている。本剤は慢性GVHDに対する初のROCK2阻害薬。

用法・用量は、「通常、成人及び12歳以上の小児にはベルモスジルとして200mgを1日1回食後に経口投与する。併用薬に応じて、効果不十分な場合に1回200mg1日2回投与に増量できる」。

慢性GVHDは、白血病を含む血液がんの治療として行われる造血幹細胞移植後に発症する合併症で、治療選択肢が限られている。慢性GVHDの標準的な一次治療は副腎皮質ステロイドの全身投与であるものの、約半数の患者がステロイド抵抗性となり、二次治療が必要となっている。

オルミエント錠2mg、同錠4mg、同錠1mg(バリシチニブ、日本イーライリリー):「既存治療で効果不十分な多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎」を効能・効果とする新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は4年。薬効分類3999。

JAK阻害薬。若年性特発性関節炎(JIA)は、16歳未満で発症する6週間以上持続する原因不明の関節炎と定義される自己免疫疾患であり、小児期リウマチ性疾患に分類される。pJIAの適応を持つ生物製剤には、ヒュミラやエンブレル、オレンシア、アクテムラがあり、「基本的にはこれらの生物製剤と同様の臨床的位置付けと考えている」(厚労省医薬局担当者)としている。

JAK阻害薬としてpJIAの適応取得はオリミエントが初めて。用法・用量は「通常、2歳以上の患者には体重に応じバリシチニブとして以下の投与量を1日1回経口投与する。・30kg以上:通常、4mgとし、患者の状態に応じて2mgに減量すること。・30kg未満:通常、2mgとし、患者の状態に応じて1mgに減量すること」となる。なお、新規格の1mg錠には、過去の全ての適応が付く。

オルミエント錠2mg、同錠4mg、同錠1mg(バリシチニブ、日本イーライリリー):「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は4年。薬効分類3999。

20年12月に「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」の効能・効果で承認されており、成人に対する用法・用量が設定されている。今回追加された小児の用法・用量は「通常、2歳以上の患者には体重に応じバリシチニブとして以下の投与量を1日1回経口投与する。・30kg以上:通常、4mgとし、患者の状態に応じて2mgに減量すること。・30kg未満:通常、2mgとし、患者の状態に応じて1mgに減量すること」となり、「2歳以上」での設定となっている。

既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎の効能・効果を持つ経口投与のJAK阻害薬には、リンヴォック錠とサイバインコ錠があり、いずれも小児の用法・用量が設定されているが、リンヴォックは「12歳以上かつ体重30kg以上」、サイバインコは「12歳以上」での設定となっている。

ベスポンサ点滴静注用1mg(イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え)、ファイザー):「再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は6年1日。薬効分類423。

抗腫瘍性抗生物質結合抗CD22抗体。18年1月に「再発又は難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病(ALL)」の効能・効果で承認されており、成人での用法・用量が設定されている。今回追加された小児の用法・用量は、投与量は成人と同じく体表面積と患者の状態により決まるが、サイクルは小児と成人で異なり、「小児には、1サイクル目は21~42日間、2サイクル目以降は28~42日間を1サイクルとし、投与を繰り返す」となる。

トルカプ錠160mg、同錠200mg(カピバセルチブ、アストラゼネカ):「内分泌療法後に増悪したPIK3CA、AKT1又はPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2 陰性の手術不能又は再発乳がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類429。

ファーストインクラスのAKT阻害剤。対象疾患であるHR陽性乳がんは、最も一般的な乳がんのサブタイプであり、乳がんの65%以上がHR陽性かつHER2低発現または陰性と考えられている。また、PIK3CA、AKT1およびPTENの変異は頻繁に起こり、HR陽性進行乳がん患者の最大50%に認められるという。

用法・用量は「フルベストラントとの併用において、通常、成人には1回400mgを1日2回、4日間連続して経口投与し、その後3日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する」。

フェソロデックス筋注250mg(フルベストラント、アストラゼネカ):「乳がん」を効能・効果とする新用量医薬品。薬効分類429。

同日付で承認されたアストラゼネカのトルカプ錠との併用に関するもの。

ビロイ点滴静注用100mg(ゾルベツキシマブ(遺伝子組換え)、アステラス製薬):「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類429。

ファーストインクラスの抗Claudin 18.2抗体。承認申請は、第3相SPOTLIGHT試験(mFOLFOX6療法との併用療法)およびGLOW試験(CAPOX療法との併用療法)の結果に基づき行われた。両試験において、スクリーニングされた患者の約38%が、免疫組織化学染色において腫瘍細胞の75%以上で中等度から強度の染色強度を示し、Claudin 18.2陽性と判定された。

用法・用量は「他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には初回は800mg/m2(体表面積)を、2回目以降は600mg/m2(体表面積)を3週間間隔又は400mg/m2(体表面積)を2週間間隔で2時間以上かけて点滴静注する」。

エルレフィオ皮下注44mg、同皮下注76mg(エルラナタマブ(遺伝子組換え)、ファイザー):「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類429。

抗BCMA/CD3二重特異性抗体製剤。皮下投与であり、静脈内投与よりも高い利便性を有している。承認申請は、国際共同第2相MagnetisMM-3試験の結果等に基づく。同試験には、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬および抗CD38抗体の少なくとも3クラスの治療薬を含む多くの前治療歴がある患者が参加した。

用法・用量は「通常、成人には、1日目に12mg、4日目に32mgを1回皮下投与する。8日目以降は1回76mgを1週間間隔で皮下投与する。なお、24週間以上投与し、奏効が認められている場合は、投与間隔を2週間間隔とすること」。

ビキセオス配合静注用(ダウノルビシン塩酸塩・シタラビン、日本新薬):「高リスク急性骨髄性白血病」を効能・効果とする新医療用配合剤。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類429。

若年者(65歳未満)急性骨髄性白血病(AML)に対する標準的寛解導入療法はアントラサイクリン+標準量シタラビンである。ビキセオス配合静注用は、アントラサイクリン系薬剤のダウノルビシンとピリミジン系代謝拮抗薬シタラビンを5:1のモル比で配合したリポソーム製剤であり、白血病細胞に取り込まれ、細胞内でリポソームが分解されて有効成分を放出し、薬効を発揮する。用法・用量は寛解導入療法と地固め療法で設定されている。

ミチーガ皮下注用30mgバイアル(ネモリズマブ(遺伝子組換え)、マルホ):「既存治療で効果不十分な下記疾患、アトピー性皮膚炎に伴うそう痒、結節性痒疹」を効能・効果とし、小児用量を追加する新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間は、シリンジ製剤の残余(30年3月27日まで)。薬効分類449。

抗IL-31受容体A抗体。22年3月に「アトピー性皮膚炎に伴うそう痒」の効能・効果で承認されており、成人及び13歳以上の小児に対する用法・用量が設定されている。今回追加された小児用量は「通常、6歳以上13歳未満の小児には1回30mgを4週間の間隔で皮下投与する」。

新効能となる結節性痒疹は、慢性痒疹の一病型であり、そう痒を伴う暗褐色で角化性の硬いドーム状又はいぼ状の結節性皮膚病変が四肢を主体に分布する難治性の皮膚疾患。その用法・用量は「通常、成人及び13歳以上の小児には初回に60 mgを皮下投与し、以降1回30 mg を4週間の間隔で皮下投与する」。

リフキシマ錠200mg(リファキシミン、あすか製薬):「肝性脳症における高アンモニア血症の改善」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は6年1日。薬効分類619。

リファマイシン系の難吸収性抗菌薬。16年9月に「肝性脳症における高アンモニア血症の改善」の効能・効果で承認されており、成人での用法・用量が設定されている。小児に対する用法・用量は成人と同じく、1回400mgを1日3回食後に経口投与して用いる。小児用量の追加について、日本小児栄養消化器肝臓学会から厚労省に承認を求める要望書が提出されていた。

ベイフォータス筋注50mgシリンジ、同筋注100mgシリンジ(ニルセビマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「①生後初回又は2回目のRSウイルス感染流行期の重篤なRS ウイルス感染症のリスクを有する新生児、乳児及び幼児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制、②生後初回のRSウイルス感染流行期の①以外のすべての新生児及び乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類625。

生後初回のRSウイルス感染流行期の幅広い乳幼児に予防効果を示すようにデザインされた抗RSウイルス抗体。RSウイルス感染症の発症を抑制する医薬品として、抗RSウイルス抗体・シナジス筋注液が承認されているものの、投与対象者が早産児や先天性心疾患、免疫不全症等を有する新生児及び乳幼児等に限定されている。

ベイフォータスの用法・用量は「生後初回のRSウイルス感染流行期には、通常、体重5kg未満の新生児及び乳児は50mg、体重5kg以上の新生児及び乳児は100mgを1回、筋肉内注射する。生後2回目のRSウイルス感染流行期には、通常、200mgを1回、筋肉内注射する」。

シナジス筋注液50mg、同筋注液100 mg(パリビズマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「RSウイルス感染流行初期において、24カ月齢以下の肺低形成、気道狭窄、先天性食道閉鎖症、先天代謝異常症又は神経筋疾患を伴う新生児、乳児および幼児におけるRSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症抑制」を効能・効果とする新効能医薬品。優先審査。薬効分類625。

タイコバック水性懸濁筋注0.5mL、同小児用水性懸濁筋注0.25mL(組織培養不活化ダニ媒介性脳炎ワクチン、ファイザー):「ダニ媒介性脳炎の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類631。

ダニ媒介性脳炎の発症予防ワクチン。欧米を中心に広く承認されており、厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議において医療上の必要性が高いと評価され、同省がファイザーに開発要請を行った経緯がある。対象疾患のダニ媒介性脳炎は、重度の急性臨床経過をたどり、罹患期間が極めて長い急性ウイルス性疾患。

バビースモ硝子体内注射液120mg/mL(ファリシマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は30年3月27日まで。薬効分類626。

抗VEGF/抗Ang-2バイスペシフィック抗体。視力低下の原因のひとつのアンジオポエチン-2(Ang-2)と血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)をそれぞれ遮断し、血管を安定化させる。

今回追加された網膜静脈閉塞症(RVO)を伴う黄斑浮腫の用法・用量は、「ファリシマブ(遺伝子組換え)として1回あたり6.0mg(0.05mL)を硝子体内投与する。投与間隔は、4週以上あけること」となり、既承認の▽中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性、▽糖尿病黄斑浮腫――とは異なる。

プレベナー20水性懸濁注(肺炎球菌莢膜ポリサッカライド-CRM197結合体、ファイザー):「小児における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による侵襲性感染症の予防」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類631。

対象疾患である侵襲性肺炎球菌感染症は、肺炎球菌により引き起こされる疾患群であり、菌血症、敗血症、髄膜炎などが含まれる。現在の定期接種ワクチンである13価肺炎球菌結合型ワクチン・プレベナー13水性懸濁注に7血清型(8、10A、11A、12F、15B/C、22F、33F)を加えたことにより、さらに広範な血清型による侵襲性肺炎球菌感染症を予防することが期待されている。

用法・用量は「・初回免疫:通常、1回0.5 mLずつを3回、いずれも27 日間以上の間隔で皮下又は筋肉内に注射する。・追加免疫:通常、3回目接種から60日間以上の間隔をおいて、0.5 mLを1回皮下又は筋肉内に注射する」。

なお、国内では、小児(健康小児)に対する肺炎球菌ワクチンとして、15価のバクニュバンス水性懸濁注シリンジが23年6月に承認されている。

アブリスボ筋注用(RSV-A融合前Fタンパク質・RSV-B融合前Fタンパク質、ファイザー):「60歳以上の者におけるRSウイルスによる感染症の予防」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(32年1月17日まで)。薬効分類631。

60歳以上に対する用法・用量は「抗原製剤を専用溶解用液全量で溶解後、1回0.5mLを筋肉内に接種する」。24年1月に「妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防」の効能・効果で承認されている。

なお、国内では60歳以上のRSウイルス感染症予防ワクチンとして、23年9月にアレックスビー筋注用が承認されている。

セプーロチン静注用1000単位(乾燥濃縮人プロテインC、武田薬品):「先天性プロテインC欠乏症に起因する静脈血栓塞栓症及び電撃性紫斑病の治療及び血栓形成傾向の抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。承認条件として全例調査がついた。薬効分類634。

ヒト血漿を分画して精製し、ウイルスの除去および不活化処理を施した静脈内注射用の乾燥濃縮人プロテインC製剤。用法・用量は、▽急性期治療及び血栓形成傾向の抑制における短期補充(周術期、抗凝固療法開始時等)、▽血栓形成傾向の抑制における長期補充――で設定される。

対象疾患である先天性プロテインC欠乏症は、肝臓で産生されて血液凝固を抑制する働きがあるプロテインCを先天的に欠乏していることにより血液凝固亢進状態となり、ときに致死的な血栓症を発症する。セプーロチンは、内因性プロテインCと同様に抗凝固作用を発揮する。

オビザー静注用500(スソクトコグ アルファ(遺伝子組換え)、武田薬品):「後天性血友病A患者における出血抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。承認条件として全例調査がついた。薬効分類634。

遺伝子組換えブタ血液凝固第VIII 因子製剤。後天性血友病Aに対して現在、主にバイパス製剤が使用されているが、オビザーは直接第VIII因子を補充するもの。

オビザーの用法・用量は、「本剤は添付の日本薬局方注射用水1mLで溶解し、緩徐に静脈内に注射して用いる。18歳以上の患者には、初回投与量は体重1kg当たり200単位とする。その後は、出血の程度に応じて、血液凝固第VIII因子活性や患者の状態を確認しながら投与量と投与頻度を調節する」。

ピアスカイ注340mg(クロバリマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「発作性夜間ヘモグロビン尿症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。承認条件として全例調査や医師要件、施設要件がついた。薬効分類639。

皮下投与の抗補体C5リサイクリング抗体。一般的な抗体では、抗原に1回しか結合することができないのに対し、本剤は繰り返し抗原に結合するよう改変することで、低用量で持続的な補体阻害が可能となる。

本剤の用法・用量は「通常、クロバリマブ(遺伝子組換え)として、患者の体重を考慮し、1日目に1回1000又は1500mgを点滴静注し、2、8、15及び22日目に1回340mg、29日目以降は4週ごとに1回680又は1020mgを皮下投与する」となり、維持期は4週に1回の投与間隔となる。

ウィフガート点滴静注400mg(エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)、アルジェニクスジャパン):「慢性特発性血小板減少性紫斑病」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。承認条件として全例調査がついた。薬効分類639。

抗FcRn抗体フラグメント製剤。疾患を引き起こす原因である免疫グロブリンG(IgG)抗体を減らし、IgGのリサイクルを阻害するよう設計されたもの。IgG抗体の分解を妨げる上で中心的な役割を担っている胎児性Fc受容体(FcRn)に結合し、FcRnを遮断することで、IgG抗体値が減少する。

今回追加された慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、既承認の全身型重症筋無力症(gMG)に続く2つ目の適応となる。ITPの用法・用量は「通常、成人にはエフガルチギモドアルファ(遺伝子組換え)として1回10mg/kgを週1回又は2週に1回1時間かけて点滴静注する。週1回投与で開始し、投与開始後4週以降は血小板数及び臨床症状に基づき2週に1回投与に調節することができる」となり、既承認のgMGとは異なる。

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