ノボの週1回皮下投与の基礎インスリン製剤・アウィクリなど新薬5製品を審議へ 5月31日の第一部会で
公開日時 2024/05/20 04:50
厚生労働省は5月31日に薬事審議会・医薬品第一部会を開き、ノボ ノルディスクファーマの週1回皮下投与の基礎インスリン製剤・アウィクリ注(一般名:インスリン イコデク)など、新薬5製品の承認の可否を審議する。このほか、新有効成分含有医薬品の中には、ノバルティス ファーマの発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬・ファビハルタカプセル(イプタコパン)などが含まれる。
報告予定品目はアッヴィのスキリージ点滴静注・同皮下注の潰瘍性大腸炎の効能追加など3製品。審議・報告予定品目いずれも部会を通過した場合、6月の正式承認が見込まれる。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ネキシウムカプセル10mg、同カプセル20mg、同懸濁用顆粒分包10mg、同懸濁用顆粒分包20mg(エソメプラゾールマグネシウム水和物、アストラゼネカ):「逆流性食道炎、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制(小児用量を追加)」を対象疾患とする新用量医薬品。
▽ファビハルタカプセル200mg(イプタコパン塩酸塩水和物、ノバルティスファーマ):「発作性夜間ヘモグロビン尿症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
免疫系の補体第二経路の近位で作用するB因子の阻害薬。海外では、米国で23年12月に初の経口単剤の治療として承認を取得しており、欧州では24年3月の医薬品委員会(CHMP)で承認が推奨されている。
PNHに対する治療薬として、C5に対するヒト化モノクローナル抗体(C5阻害薬)が使用されているが、C5阻害薬が投与された一部の患者ではC3を介した血管外溶血が認められている。この課題に対して国内では、C3阻害薬・ペグセタコプラン(エムパベリ皮下注)が23年3月に、補体D因子阻害薬・ダニコパン(ボイデヤ錠)がC5阻害薬との併用で24年1月に承認されている。
▽ブイタマークリーム1%(タピナロフ、日本たばこ産業):「アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
アリル炭化⽔素受容体モジュレーターのクリーム剤。日本たばこ産業(JT)がスイスのDermavant Sciences社から導入し、鳥居薬品と国内共同開発した。
▽アウィクリ注フレックスタッチ総量300単位、同注フレックスタッチ総量700単位(インスリン イコデク(遺伝子組換え)、ノボ ノルディスクファーマ):「インスリン療法が適応となる糖尿病」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
週1回皮下投与の基礎インスリン製剤。既存の基礎インスリン製剤は通常1日1回または2回の皮下注射が必要。アウィクリ注は、投与回数を大幅に減らすことができ、利便性が高く、患者の治療負担感の軽減によって生活の質や治療実施率の向上が期待されている。
海外では、欧州において24年3月の医薬品委員会(CHMP)で承認が推奨されている。
▽①ブリィビアクト錠25mg②同錠50mg③同静注25mg(ブリーバラセタム、ユーシービージャパン):「①②てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)③一時的に経口投与ができない患者における、下記の治療に対するブリーバラセタム経口製剤の代替療法:てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
てんかん発作に関わるとされる脳内の神経終末にあるシナプス小胞タンパク2A(SV2A)に結合することにより作用を発揮すると考えられている。海外では、欧州をはじめ、世界50 か国以上において部分発作の治療薬として承認されている。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽①トルリシティ皮下注0.75 mgアテオス②同皮下注1.5mgアテオス(デュラグルチド(遺伝子組換え)、日本イーライリリー):「2型糖尿病」を対象疾患とする①新用量医薬品②新用量・剤形追加に係る医薬品。
持続性GLP-1受容体作動薬。現在の用法・用量は0.75 mg の週1回投与となっている。
▽ボトックス注用50単位、同注用100単位(A型ボツリヌス毒素、グラクソ・スミスクライン):「眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、重度の原発性腋窩多汗症、斜視、痙攣性発声障害、既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁、既存治療で効果不十分又は既存治療が適さない神経因性膀胱による尿失禁」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
厚労省の担当者は、「小児の上肢痙縮、下肢痙縮を追加するもの。これまで尖足とか一部限定的だった」と説明している。これにより、現在の適応症から「2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足」の部分は削除する。
▽①スキリージ点滴静注600mg②同皮下注360mgオートドーザー③同皮下注180 mgオートドーザー(リサンキズマブ(遺伝子組換え)、アッヴィ):「①中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)②③中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を対象疾患とする①②新効能・新用量医薬品③新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。
ヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体。現在、乾癬やクローン病、掌蹠膿疱症の適応を持っている。