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J-TEC・畠社長 色素細胞含有自家培養表皮「ジャスミン」 11日から販売開始 初の市場性製品に期待感

公開日時 2024/10/08 04:50
ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC)の畠賢一郎社長は10月7日の記者会見で、色素細胞含有自家培養表皮「ジャスミン」を11日から販売すると発表した。同剤は、自家のヒト組織由来細胞を組み込んだ再生医療等製品。同剤の対象となる尋常性白斑の患者数は国内で約15万人という。畠社長は、「白斑でお悩みの患者さんは多いと聞いている。今まで(J-TECは)極めて患者さんの少ない市場の製品開発に対応してきたが、今回は広い市場に対して技術提供するものだ」と強調。ジャスミンについては、非外科的治療が無効または適応とならない白斑の新たな治療選択肢として持続的な成長に寄与すると期待感を表明した。

白斑は、皮膚に存在するメラノサイト(色素細胞)の消失または減少などにより、皮膚の色が白く抜ける疾患。一般的な治療法は、ステロイド外用剤や光線療法などの保存療法が行われ、これらで効果が得られない場合は植皮術などの外科的治療が検討される。一方で、治療効果が得られない場合や、治療の実施が困難な場合には、患者の外見的な問題が改善されず、社会的QOLが低下するなどの課題が指摘されていた。

今回の色素細胞含有自家培養表皮「ジャスミン」は、患者の正常な皮膚から少量の皮膚組織を採取し、細胞を分離後、メラノサイトを維持するよう表皮細胞と共に培養してシート状にした、メラノサイトを含んだ皮膚の再生医療等製品。治療に際しては、ジャスミンを移植することで、表皮細胞と共にメラノサイトが患部に供給され、色素の再生により、患者の整容面での心理的苦痛の軽減とQOL向上が期待されている。

◎患者負担 「高額療養費制度の対象で月額6万円から25万円程度」

保険償還価格は、①組織運搬セット 446万円、②培養表皮パッケージ は15万4000円/枚。患者負担について山内喜久経営管理部上級マネ―ジャーは、「高額療養費制度の対象となるため、月額6万円から25万円程度になる」と見通した。またジャスミンの対象患者については「尋常性白斑で年間2000人程度」と推定。これまでJ-TECが上市した再生医療等製品の中で最も市場規模の大きい製品になると強調した。

◎使用可能な医療機関数「今年度は片手で数えられる施設数をしっかり立ち上げる」

一方で、薬事承認に際しての留意事項では、使用医師の要件として、皮膚科又は形成外科の経験を5年以上有しているほか、皮膚移植術(生体・培養)を術者として「3例」以上実施した経験を有する医師の指導下で当該手術を実施する常勤の医師であることを規定している。このため山内上級マネージャーはジャスミンが使用できる医療機関について、「治験に参加した医師にお願いしているところ」と説明。名古屋市立大学や山形大学などを例示しながら、「今年度は片手で数えられる施設数をしっかり立ち上げることを想定している」と強調した。

◎J-TEC 中期経営目標 26年3月期に売上高50億円、利益率10%超

なお、J-TECは2007年10月に日本初の再生医療等製品・自家培養表皮「ジェイス」の承認取得。その後、12年7月には整形外科領域で日本初となる自家培養軟骨「ジャック」を、20年3月には眼科領域で日本初の自家培養角膜上皮「ネピック」を、さらに21年6月には世界初の実用化された口腔粘膜上皮細胞を用いた再生医療等製品である自家培養口腔粘膜上皮「オキュラル」の承認を取得している。今回のジャスミンは5番目の製品。同社の業績は、24年3月期に黒字化を達成。中期経営計画では26年3月期に売上高50億円、利益率10%超を目標としており、今回販売を開始するジャスミンへの期待感が高まっている。


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