成長戦略原案 医薬品産業「官民一体で」成長・基幹産業に 世界直行型開発へスタートアップ支援強化
公開日時 2026/07/01 06:55
政府は6月30日、日本成長戦略会議に日本成長戦略の原案を提示した。17戦略分野の一つに位置付けられる「創薬・先端医療」では、「健康医療安全保障の構築に向け、医薬品産業を成長・基幹産業と位置付け、官民が一体となって取組を進める」と明記した。「創薬シーズ創出から実用化まで一気通貫で進める環境を整備し、“世界直行型”の開発を実現する」ことを掲げた。実現に向けて、実用化を担う人材育成やスタートアップ支援の強化などを盛りこんだ。患者アクセスの改善に向け革新的新薬のイノベーションの更なる評価を検討する」ことも明記し、あらゆる方向から環境整備を進める考えだ。
◎我が国企業の特許品市場規模について、世界市場と同水準の成長の実現を
「創薬・先端医療」分野で投資を優先的に行う製品として、「ファーストインクラス製品・ベストインクラス製品(医薬品、再生医療等製品)」をあげた。「ファーストインクラス・ベストインクラス製品を含む特許品の世界市場は年平均9.6%で拡大している」と説明。主な目標として、「我が国の医薬品市場の魅力度向上に向け、我が国の特許品の市場規模について、特許品の世界の成長に比肩する成長を目指す」と明記した。一方で、「我が国企業の特許品市場規模について、世界市場と同水準の成長の実現を目指す」ことも盛り込み、海外企業と同レベルで成長するよう、日本企業の民間としての成長を促す目標も掲げた。
施策としては、製薬企業からスタートアップへの人材の流動化が進まないことも指摘される中で、実押下を担う人材育成や流動化を支援。カーブアウトシーズを活用し、投資を呼び込むなど、スタートアップの支援を強化する方向性を打ち出した。「免疫・再生医療」と分野をあげ、基礎研究力を強化することもあげ、AMEDによる大学と製薬企業との橋渡し・実用化推進などにより、アカデミアシーズの実用化も促す。また、「国際水準の治験実施体制の整備」も盛り込み、開発段階での日本市場の魅力も高める姿勢も示した。
◎バイオ医薬品・再生医療等製品「国内生産基盤を維持・構築」創薬ベンチャーのグローバル展開を後押し
革新的新薬などでは生産技術の重要性も指摘される。「バイオ医薬品・再生医療等製品等」では、「iPS細胞や抗体薬物複合体等の技術的強みを生かし、国内生産基盤を維持・構築し、製造受託実績を積み上げるとともに、新領域の国産基盤技術開発、創薬ベンチャーのグローバル展開を促進して海外市場を獲得する」姿を目指す。
目標としては、「2040年の我が国企業の売上について、世界シェア10%、33.4兆円を目指す」とした。主な施策としては、「創薬ベンチャーや新薬候補を生むプラットフォーム技術開発の支援を強化する」、「革新的な基盤技術開発やバイオ人材の育成、AI・ロボティィクスの活用等を含む国内製造拠点の整備や製造受託実績獲得を支援する」方針を打ち出した。「医薬品市場の魅力度向上による患者アクセスの改善に向けた、革新的新薬のイノベーションの更なる評価の検討、多様なモダリティのライフサイクルに配慮した薬事制度の柔軟な運用、先進医療制度を活用した新技術社会実装を進める」など環境整備も進める。
◎感染症対応製品「国産抗菌薬の原薬等の製造施設整備や備蓄を支援」
健康医療安全保障上の重要性が指摘される「感染症対応製品」については、国内への安定供給に加え、「高品質な製品の輸出につなげる」姿も描いた。主な目標として、「抗菌薬等を始めとする治療薬等について、25か国以上への国際展開を目指す」ことも盛り込んだ。安定供給を目指す免疫グロブリンについて、「国内自給率100%を目指す」ほか、「次なる感染症危機での全国民分(約1.2億人分)のワクチン等の確保を目指す」ことも盛り込んだ。国としては、「サプライチェーンの状況等も踏まえ、国産抗菌薬の原薬等の製造施設整備や備蓄を支援する」方針。
大量のデータを必要とする創薬・医療機器の開発の基盤である医療DX基盤の整備も進める。オンプレミス型の医療機関情報システムをクラウドネイティブ型に刷新することにより、サイバーセキュリティ対策の強化、全国的なデータ連携基盤の構築を図る。28年度までに電子カルテ未導入の200床以上の病院(療養病床等が中心の病院を除く)について電子カルテ普及率100%を目指す。また、30年までに、電子カルテ普及率約100%、地域の拠点病院のサイバーセキュリティ対策100%、大病院向けクラウドネイティブ型製品の提供を目指すことも盛り込んだ。