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エーザイ 脳内アミロイドβ蓄積予測能を評価 血液バイオマーカー用いたコホート研究 認知症発症予測に

公開日時 2024/10/21 04:49
エーザイ、島津製作所、大分大学、臼杵市医師会は10月17日、血液バイオマーカーを用いた地域コホート研究により脳内アミロイドβの蓄積を高い確度で予測できる性能が確認されたと発表した。同研究は、血液バイオマーカーを活用し、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)および軽度認知症の診断ワークフローを構築する日本で初めての試み。将来的な認知症発症の予測に役立つ可能性を指摘している。なお、研究結果については専門誌「Alzheimer's & Dementia: Translational Research & Clinical Interventions」(10月10日付)に掲載された。

同研究は、2022年11月から大分県臼杵市を実証立地としたコホート研究で、血液バイオマーカーを用いて、アルツハイマー病の重要な病理として知られる脳内アミロイドβ蓄積の予測能を評価したもの。フェーズ1研究とフェーズ2研究で構成されており、このうちフェーズ1研究では2015年から2019年に臼杵市で行われた「臼杵コホート研究」で取得し、凍結保存されていた血漿検体を用いて、地域コホートにおける血液バイオマーカー検査の脳内アミロイドβ蓄積予測能を評価した。

今回公表した論文はフェーズ1研究の結果をまとめたもの。アミロイドPET検査結果と島津製作所の測定した血液バイオマーカーを、脳内アミロイドβ蓄積予測能を評価する「Area Under the Curve」(AUC)を指標として比較したところ、血液バイオマーカーのAUCは0.94と高値を示し、地域コホートにおいても脳内アミロイドβ蓄積を高い確度で予測できる性能が確認された。

さらに、7年間の観察期間における被験者データの解析結果から、ベースライン時の血液バイオマーカー結果を用いてアルツハイマー病によるMCIからアルツハイマー型認知症への進行を予測できる可能性が示された。血液バイオマーカーは低侵襲の検査であるため、アミロイドPETや脳脊髄液検査の代替マーカーとなれば、当事者の負担軽減ができ、さらに、将来的な認知症発症の予測にも役立つ可能性があるとしている。

今後は、フェーズ2研究として、かかりつけ医から認知症関連学会の専門医に至る医療連携体制において、新規に募集した研究参加者(100例)の血液バイオマーカー検査の有用性を検証し、検査結果の開示を行った上で開示者や結果の違いによる参加者への心理的な影響の評価を行う考え。
 
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