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参天製薬・伊藤CEO 自主回収のジクアスLX点眼液「来年度の出荷再開に向け努力する」

公開日時 2024/11/08 04:50
参天製薬の伊藤毅代表取締役社長兼CEOは11月7日の2024年度第2四半期決算説明会で、一部ロットで発生した防腐剤である硝酸銀の低下を理由に5月に自主回収を発表したドライアイ治療薬・ジクアスLX点眼液について、「出荷再開時期を明言できる段階には至っていないが、引き続き来年度には出荷が再開できるように努力していく」と語った。伊藤CEOは、「銀含量の低下の主要因がほぼ確実に判明してきた。解決に向けていくつかの選択肢が存在しており、これらについて対応を進めている」と説明した。22年11月に発売し、期初には通期で134億円を予想していたが、この問題を受け、8月の第1四半期決算発表時に予想をいったん外し、ゼロとした。今回、これを維持した。また、24年3月に同LXの承認を取得した韓国では、上市準備をしていたところにこの問題が起こり、8月に承認を取り下げたことを明らかにした。

◎連結業績は売上高0.4%増の1464億円 日本は2.2%減の794億円

第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比0.4%増の1464億円、コア営業利益が5.7%減の297億円となった。日本での売上は、6%台後半の薬価改定やジクアスLXの自主回収の影響を、24年4月発売の加齢黄斑変性等治療薬・アイリーアの8mg製剤や、同5月発売のアレルギー性結膜炎治療薬・アレジオンのクリーム製剤などによりカバーしたものの、2.2%減の794億円と減収だった。海外売上(中国・アジア・EMEA)比率は45%となっており、為替が売上増加要因となった。

◎アイリーアは6.5%増の392億円  高用量の浸透「極めて順調に進んでいる」

国内主力製品では、アイリーア(高用量の8mg製剤含む)の売上は、6.5%増の392億円となった。このうち8㎎製剤は60億円。伊藤社長は、4月発売の8㎎製剤の市場浸透状況について「新患を重視しており、そこでこの製品の有効性をしっかり先生方に確認、認識いただいた上で、低用量アイリーアからの切り替えへと進んでいく。また、まずは加齢黄斑変性の新患をしっかり取った後に、それに続いて糖尿病黄斑浮腫の新患に使っていただくという流れで組み立ててきており、極めて順調に進んでいる」とコメントした。

アイリーアの通期売上予想については、低用量アイリーアのバイオ後続品(BS)が24年6月に承認されたが、8月に期初予想を6億円上方修正しており、今回、さらに6億円上方修正し、767億円(前期比5.4%増)とした。なお、BSの効能・効果に加齢黄斑変性は含まれていない。

アレジオン類(LX、クリーム含む)の売上は、63.3%増の106億円となった。うち、LXは85億円、クリームは17億円を占める。伊藤社長は、5月発売のクリーム製剤の市場浸透状況について「採用施設が最初の段階でスピーディーに多かった。5~9月は、アレルギーの一番オフシーズンなので、商品の動きはそんなに大きいわけではないが、本格的なシーズンを迎える年明けまでにしっかり製品価値を先生方にご理解いただけるような取り組みをして、来年の花粉期に備えたい」と語った。

アレジオンの通期売上予想については、8月に期初予想を12億円上方修正しており、今回、さらに17億円上方修正し、304億円(前期比3.8%増)とした。なお、当初、LXの後発品の24年8月承認、12月薬価収載を見込んでいたが、後発品の8月承認はなかった。

◎長期収載品の選定療養「初動は想定していた範囲内」

24年度通期の連結業績予想については、ジクアス LX の回収など前提条件の変化を受けて、8月の第1四半期決算発表時に修正しており、今回、それから変更はない。24年10月に始まった長期収載品の選定療養化の影響について、伊藤社長は「初動は想定していた範囲内での動きと捉えている。引き続き影響を注視していきたい」と述べた。同社は11成分17品目が選定療養化の対象になっており、期初には、コア営業利益の約20億円程度の押し下げ要因になるとの見込みを示していた。

研究開発面では、下期に、日本で24年2月に承認申請した近視進行抑制薬・アトロピン硫酸塩水和物点眼液(STN1012700)の承認取得や、眼瞼下垂を対象としたオキシメタゾリン塩酸塩(STN1013800)の日本での承認申請を予定している。

【連結業績(前年同期比)通期予想(前期比)】 
売上高 1464億400万円(0.4%増)3020億円(0.0%)←8月予想3020億円(期初予想2970億円)
コア営業利益 297億3900万円(5.7%減)550億円(12.4%減)
営業利益 238億7300万円(4.9%減)445億円(15.5%増)
親会社所有者帰属純利益 187億7200万円(2.6%減)325億円(22.0%増)

【国内主要製品売上高(前年同期)通期予想、億円】
コソプト配合点眼液 15.41(20.68)24.11←8月予想24.11(期初26.97)
タプロス点眼液 18.97(33.98)35.37←8月予想35.37(期初35.15)
タプコム配合点眼液 8.74(12.54)15.63←8月予想15.63(期初15.39)
トルソプト点眼液 4.13(4.54)7.66←8月予想7.66(期初7.51)
エイベリス点眼液 23.15(21.46)44.11←8月予想44.11(期初43.67)
ジクアス点眼液 32.53(36.24)68.31←8月予想62.00(期初27.46)
ジクアスLX点眼液 0(67.21)0←8月予想0(期初133.78)
ヒアレイン点眼液 25.99(26.24)44.11←8月予想49.34(期初35.19)
アレジオン類(LX、クリーム含む)106.43(65.16)304.21←8月予想287.22(期初275.02)
アイリーア硝子体内注射液(8mg製剤含む)391.89(368.04)766.67←8月予想760.25(期初754.67)
クラビット点眼液 4.46(6.12)6.74←8月予想6.74(期初6.65)

一般用医薬品 53.85(53.65)99.87←8月予想99.87(期初100.37)


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