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24年7~9月国内医療用薬市場 20年以来のマイナス成長 コロナ治療薬の大幅減、オプジーボ再算定などで

公開日時 2024/11/14 04:52
IQVIAは11月13日、2024年第3四半期(7~9月)の国内医療用医薬品の市場規模(薬価ベース)が前年同期比0.3%減のマイナス成長だったと発表した。第3四半期の前年割れはコロナ禍の真っただ中にあった20年以来となる。24年第3四半期のマイナス成長は、新型コロナに係る治療薬や検査薬の大幅減に加え、抗腫瘍剤市場が前年同期比0.8%増と成長が鈍化したことが主な理由となる。IQVIAは抗腫瘍剤市場について、「(今期は)23年5月の新型コロナ感染症5類移行によるがん診療の本格回復により伸長した反動を受けた」と分析しているほか、市場拡大再算定によりオプジーボは24年4月に15%の薬価引下げ、イミフィンジは同年2月に25%の薬価引下げを受けたことが影響したとしている。

24年第3四半期の国内市場は2兆8845億円(1億円未満切捨て)だった。今期は全セグメントで成長が鈍化し、前年同期と比べてプラス成長したのは100床以上の病院市場のみだった。

病院市場は前年同期比1.1%増の1兆3660億円だった。ただ、前年同期の成長率は5.1%で、今期の成長鈍化がわかる。特に抗腫瘍剤の低成長や、新型コロナ治療薬を含む全身性抗ウイルス薬が前年同期比39.4%の大幅減となったことが響いた。

100床未満の開業医市場は0.2%減の5530億円だった。病院市場と同じく全身性抗ウイルス薬の大幅減があった一方で、インフルエンザワクチンやHPVワクチンが大きく伸長し、0.2%減にとどめたともいえそうだ。主に調剤薬局で構成する「薬局その他」市場は2.3%減の9654億円だった。全身性抗ウイルス薬の大幅減によりマイナス成長に転じた。

◎抗腫瘍剤の市場規模は4906億円、0.8%増 キイトルーダ11.9%増収、オプジーボ15.8%減収

上位10薬効をみると、1位の抗腫瘍剤市場は0.8%増の4906億円だった。低成長ではあるものの全市場の17%を占める巨大市場ではある。同市場の製品売上をみると、薬効内1位で全製品でも1位となったがん免疫療法薬・キイトルーダは11.9%増の453億円だった。IQVIAによると、24年5月に胃がんと胆道がんの適応追加を取得したことに加え、8月の小細胞肺がんの術前術後補助療法の追加も同剤の2ケタ成長に貢献した。

薬効内2位はがん免疫療法薬・オプジーボだが、売上は15.8%減の349億円だった。22年5月の食道がんの適応追加などで伸長していたが、24年4月の薬価改定でバベンチオの共連れで市場拡大再算定を受け、薬価が15%引き下げられた影響が大きく出た。

薬効内3位は抗がん剤・タグリッソで5.1%増の272億円だった。同剤も23年6月に市場拡大再算定により10.5%の薬価引下げを受けた。

薬効内4位はがん免疫療法薬・イミフィンジで14.6%減の267億円だった。イミフィンジは胆道がんや肝細胞がんの適応追加で成長が加速していたが、24年2月の市場拡大再算定で25%の薬価引下げを受けた影響が大きかった。

◎HPVワクチン含む「ワクチン類」、漢方薬などの「その他治療を目的とする薬剤」で2ケタ成長

上位10薬効のうち成長率が高かったのは、6位の「ワクチン類」と8位の「その他治療を目的とする薬剤」で、いずれも2ケタ成長した。

「ワクチン類」の市場規模は25.1%増の1018億円だった。特に明治グループのインフルエンザワクチンは28.5%増、キャッチアップ接種中のHPVワクチンのシルガード9は243.3%増と大きく伸長し、「ワクチン類」の市場をけん引した。「その他の治療を目的とする薬剤」は14.3%増の775億円だった。4月の薬価改定でプラス改定となった漢方薬が高成長に貢献した。

◎新型コロナ治療薬は揃って減収 ゾコーバ39.3%減 ラゲブリオ62.1%減 ベクルリー27.3%減

一方、上位10薬効のうち2ケタのマイナス成長となったのは4位の「全身性抗ウイルス薬」と9位の「診断用検査試薬」となる。

全身性抗ウイルス薬は39.4%減の1230億円だった。特に経口新型コロナ治療薬・ゾコーバは39.3%減、同ラゲブリオは62.1%減、点滴静注タイプの新型コロナ治療薬・ベクルリーは27.3%減と売上を大きく落としたことが影響した。新型コロナの検査薬を含む「診断用検査試薬」も20.9%減の771億円だった。新型コロナ治療薬の公費負担が3月末で終了し、4月から通常の医療体制に移行したことや、新型コロナに対する社会の関心が薄れたことが背景にあるとみられる。

◎糖尿病治療薬、免疫抑制剤は堅調に成長

なお、薬効別売上の2位は糖尿病治療薬で6.7%増の1893億円だった。直近の5年成長率も5~6%のため、堅調に成長していると言えそうだ。薬効内の売上1位製品はSGLT2阻害薬・フォシーガで19.7%増の250億円だった。特にCKD適応で伸びている。

薬効別売上3位は免疫抑制剤で5.6%増の1624億円だった。薬効内で売上1位のデュピクセントは59.2%増の321億円と大きく伸長。アトピー性皮膚炎の小児適応や慢性蕁麻疹の適応追加が成長ドライバーとなった。4月の薬価改定では新薬創出等加算に小児加算もあり、汎用規格の皮下注300mgペンで5.0%の薬価引上げとなったが、11月には3度目の特例拡大再算定により薬価が約13%引下げられることが決まっている。

◎製品売上ランク 1位キイトルーダ 2位リクシアナ 3位オプジーボ

24年第3四半期の売上上位10製品は、1位はキイトルーダ(売上453億9300万円、前年同期比11.9%増、前年3位)、2位は抗凝固薬・リクシアナ(374億1800万円、12.3%増、6位)、3位はオプジーボ(349億8700万円、15.8%減、2位)、4位はデュピクセント(321億7100万円、59.2%増、10位圏外)、5位は抗潰瘍薬・タケキャブ(296億2600万円、4.3%増、8位)、6位はラゲブリオ(287億8300万円、62.1%減、1位)、7位はタグリッソ(272億8800万円、5.1%増、9位)、8位はイミフィンジ(267億1200万円、14.6%減、7位)、9位はベクルリー(257億1200万円、27.3%減、4位)、10位はフォシーガ(250億3800万円、19.7%増、10位圏外)――だった。

このうちリクシアナは、出血リスクの高い高齢者への追加承認を取得するなどして順調に伸長。上市後初めて2位となった24年第2四半期に続き、第3四半期も2位を維持した。

◎24年1~9月累計売上 1000億円超に3製品

IQVIAの公表資料をもとにミクスが24年1~9月の累計売上を算出したところ、9カ月累計売上で1000億円を超えたのはキイトルーダ(1334億円、15.2%増)、オプジーボ(1093億円、11.4%減)、リクシアナ(1071億円、12.2%増)――の3製品あった。
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