新薬2製品が薬価収載 小細胞肺がん治療薬・イムデトラは即日発売
公開日時 2025/04/17 04:49
新薬2製品が4月16日に薬価収載され、このうち化学療法後に増悪した小細胞肺がんを対象疾患とするDLL3/CD3二重特異性抗体・イムデトラ点滴静注用(製造販売元:アムジェン)は即日発売した。もうひとつの薬価収載品は遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制薬・アナエブリ皮下注(CSLベーリング)となる。
薬価収載された新薬2製品の発売日(予定、未定含む)は次のとおり。カッコ内は成分名、製造販売元。発売日、及び薬効分類/投与経路順に記載。
【4月16日発売】
▽イムデトラ点滴静注用1mg、同10mg(タルラタマブ(遺伝子組換え)、アムジェン)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:がん化学療法後に増悪した小細胞肺がん
薬価:
1mg1瓶(輸液安定化液付) 13万7100円
10mg1瓶(輸液安定化液付) 132万6870円 (1日薬価:9万4776円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数1.8千人、販売金額247億円
抗デルタ様リガンド3(DLL3)/CD3二重特異性抗体。ファースト・イン・クラスの免疫腫瘍療法で、T細胞上のCD3と小細胞肺がん(SCLC)細胞上のDLL3の両方に結合することで、患者自身のT細胞をSCLC細胞の近くに誘導する。これにより、免疫シナプスが形成され、がん細胞が溶解される。がん化学療法後に増悪した小細胞肺がん(SCLC)に対する約20年ぶりの新たな治療選択肢。
約85%~96%の患者はSCLC細胞の表面にDLL3を発現しており、正常細胞での発現はごくわずかであることから、DLL3はSCLC患者にとって有望な治療標的とされている。
国立がん研究センター東病院の後藤功一副院長(呼吸器内科長)は、SCLCは特に再発後の予後が「極めて不良」だと指摘。「これまで治療選択肢が限られている状況が続いていた」というなか、イムデトラはがん化学療法後に増悪したSCLCに対する「重要な治療選択肢になる」とし、「患者さんのアウトカム改善に寄与することが期待される」とコメントしている。
【発売日未定/非開示】
▽アナエブリ皮下注200mgペン(ガラダシマブ(遺伝子組換え)、CSLベーリング)
薬効分類:449 その他のアレルギー用薬(注射薬)
効能・効果:遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制
薬価:200mg1.2mL1キット 303万7716円 (1日薬価:10万1257円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数266人、販売金額84億円
ファースト・イン・クラスの抗活性化第XII因子モノクローナル抗体で、月1回の皮下投与が可能な初のプレフィルドペン製剤。全身の様々な部位で血管性浮腫を引き起こす原因である活性化第XII因子(FXIIa)を標的とし、遺伝性血管性浮腫(HAE)カスケードの起点を阻害する。用法・用量は「通常、成人及び12歳以上の小児には、初回に400mgを皮下投与し、以降は200mgを月1回皮下投与する」。
HAEは腹部、上気道、顔面、四肢等、身体中のさまざまな箇所に疼痛を伴う予測不能な腫れを繰り返し起こす遺伝性の希少疾患であり、生命を脅かす可能性がある。国内では、定期的投与による長期的な発作の発症抑制(長期予防)薬として、オラデオカプセル、タクザイロ皮下注、ベリナート皮下注用が承認されており、それに続く。