旭化成・工藤社長 医薬事業「拡大投資を通じ、持続的な成長基盤を確立」 Tarpeyoの成長が想定上回る
公開日時 2026/04/16 04:51

旭化成の工藤幸四郎代表取締役社長は4月15日、中期経営計画2027の進捗状況に関する経営説明会で、ヘルスケアなど成長分野が利益拡大を牽引し、27年度の営業利益目標2700億円に向け順調に進捗していると報告した。なかでも医薬事業は、「積極的な拡大投資を通じて、持続的な成長基盤を確立した」と強調。原発性IgA腎症治療薬Tarpeyoが、「買収時想定を上回る勢いで成長している」と明かし、ピーク売上5億ドル到達が当初想定の2030年から2~3年早まると見通した。また、買収したベロキシス社(Veloxis)による新規開発パイプラインやライセンスインを通じた案件探索も継続しており、「今後3年間で累計約400億円の導入費用を折り込んでいる」と説明した。
旭化成全体の営業利益(ROIC・ROE)について工藤社長は、「医薬事業で買収したスウェーデンの製薬企業カリディタス社(Calliditas Therapeutics AB)を中心とする医薬事業の成長と、AI・半導体向けの電子材料が好調だった」と述べ、「25年度は2年連続で過去最高益を更新する見通し」と強調。27年度の目標に向けて着実に進捗していると説明した。
事業ポートフォリオ変革の進捗については、医薬事業で今年2月に行ったドイツの医薬品開発企業Aicuris Anti-infective Cures AGの買収(1431億円)を報告。FY26 1Qに買収完了を予定しているとした。また、2027年度の利益目標である2700億円の達成に向けた戦略について工藤社長は、「医薬、クリティカルケア、海外住宅、エレクトロニクスが利益成長のドライバーになる」と明言。特に医薬事業は「Tarpeyoが引き続き成長を牽引し、国内の医薬事業も着実に利益が伸長する計画だ」と明かした。一方で、「持続的成長の実現に向けてパイプライン拡充のためのライセンス活動を強化する方針」と述べ、「27年度は25年度と比較して約300億円、ライセンス費用が増加する形になる」と説明した。
◎米国の政策動向等のリスク見極め 財務健全性とM&Aのノウハウを活かして買収を決定した
事業環境変化への対応について工藤社長は、「インフレ対応をめぐる各国の政策動向、地政学リスクの常態化による分断型世界経済など、先行きを見通すことが難しい状況が続いている」との認識を示しながらも、医薬事業など重点成長分野については、「機動的に対応策を講じ、中計目標の確実な達成を目指す」と強調。医薬事業については、「米国の政策動向等のリスクを見極めた上で、旭化成の財務健全性とM&Aのノウハウを活かして企業買収を決定した」と述べた。また、医薬事業について工藤社長は、「積極的な拡大投資を通じて、持続的な成長基盤を確立し、2030年度にはこれまで申し上げている通り、売上高で3000億円に到達させることを目指して参りたい」と改めて強調した。