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アステラス製薬 コマーシャル・MA統合で「ローカル・ブランド・チーム」設置 MR・MSL連携も4倍増

公開日時 2025/04/18 04:52
アステラス製薬の河野順・日本コマーシャルヘッド(担当役員)は4月17日、本誌取材に応じ、コマーシャルとメディカル(MA)部門の独立性を維持して協働する「ローカル・ブランド・チーム」への権限移譲を進めていると明かした。速やかな意思決定と顧客ニーズに基づく柔軟な戦略変更などへの対応を目的としたもの。2023年から一部取り組んだMRとMSLの現場連携も、実績ベースで初期段階から4倍程度に拡大しているという。河野ヘッドは、「MR力強化」に向け、これまでの「情報提供型」から「対話型ディテール」にシフトする必要性を強調。MRによる課題解決型情報提供モデルとして、AIを活用したディテール力診断や訪問計画の最適化など、MR支援にフォーカスした施策を導入したことを明らかにした。

同社は、コマーシャル、MAなど各部門共通の目標として「ブランド価値最大化」を掲げている。4月からはセールス、マーケティング、メディカルなど各部門の独立性を維持しながら統合し、それぞれが協働する「ローカル・ブランド・チーム」を設置し、チームへの権限委譲を行っている。河野ヘッドは、「今までは、ある程度のヒエラルキーのもとでブランドチームが活動していたが、いまはメディカル、コマーシャルそれぞれのブランドリード(ブランドヘッド)がよりカスタマーニーズに即応できる体制を構築し、そこに戦略面や予算などの権限移譲を進めている」と説明。同時に「ヒエラルキーの脱却」にも取り組んでいると強調した。

◎河野ヘッド「医師の求める科学的なニーズにMRは“アンテナ”を高く捉える必要がある」

こうした背景には、「プランドチームを中心に、より有機的に動けるようファンクションのレイヤ―を外し、ブランドチームにエンパワー(権限移譲)して、より早いスピードでビジネスを回していく」という目的がある。河野ヘッドは、「MRは、顧客である医師や医療者のニーズに迅速に対応するため、医師の求める科学的なニーズに対し、アンテナを高くして捉えることが必要」と強調。「例えば、医師が特定の副作用に関心がある、あるいはMRがプロモーションできない論文に関連したことを思いながら医師が質問している、あるいは臨床研究や学会発表に関心がある、みたいな質問をMRが受けた時に、MR自身が担当地域のMSLと直接連携する活動を現場レベルで実施している」と明かしてくれた。

◎MR・MSL連携 各部門の独立性を担保 MSLの会話内容にMRはアクセスできず

MRとMSLが連携する意義について河野ヘッドは、「MRがMSLと情報連携をするときに、MRがどういうステータスで先生に情報提供しているかは、もちろんMSLも参考にしている。どういう背景でMRがその質問をしたかを参考にすることで、医師の質問に的確に答えられる」と指摘。ただし、コマーシャルとMA部門の独立性を担保するため、「MSLのアポイントメントとは別で、MSLが医師とどういう会話をしたか、その内容については基本的にMRがアクセスできないようになっている」と語った。もちろん厚労省の販売情報提供活動ガイドラインやプロモーションコードなどに抵触するような活動は行っていない。

河野ヘッドは、「以前のMRは、そういう(医師の)質問を避けていたが、今は逃げないで医師の科学的な関心についてちゃんと聞けるようになった」と述べ、「MRのマインドセットチェンジでもある。メディカル側も同様に担当者のマインドセットが変わってきた」と成果を認めた。

◎「MR力」のスキル強化 「情報提供型」から「対話型ディテール」にシフト

一方で、こうした取り組みを通じ、専門医からのクリニカル・クエスチョンに答えられる「MR力」のスキルアップも求められている。河野ヘッドは、「アステラスのMRは、製品特性を有効性、安全性についてバランスよく説明できる能力は結構高い。説明会みたいなところでの説明が上手」と述べながらも、逆に、「医師と課題を一緒に見つけて、その診療課題に合意して、それに対するソリューションを提案するみたいなところは強くない」と分析。いわゆる「情報提供型」から「対話型ディテール」へのシフトが求められているとし、AIを活用したディテール診断を通じた課題解決型情報提供モデル構築などを進めているとした。

デジタルの活用については、オウンドサイトを基軸としたオムニチャネルの活用にも言及。同社の医療者向け専用サイトを通じ、顧客体験や行動を予測したコンテンツ配信の最適化やオンラインMRの活用にも取り組んでいるとした。

◎新組織「マーケット・アクセス・プライシング」を立ち上げ

このほか、河野ヘッドは4月から「マーケット・アクセス・プライシング」という新組織を立ち上げたと説明。同社が注力するブランドのマーケットアクセス、ページェントアクセスの確保を目指すもので、患者軸でみた診療連携や、地域単位のレセプト審査などに関する情報提供を支援する。

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