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AWSジャパン AIエージェントで創薬プロセスを効率化 「DMTAサイクル」の高速化で成功確率向上へ

公開日時 2025/06/27 04:51
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)が「AIエージェント」を活用した創薬R&Dの効率化に取り組んでいる。生成AIを活用した新薬候補化合物の探索や抗体設計、データ解析といった分野に加え、実験機器を連携させることで最適な機器の選定から実験作業まで一連の工程を自動化する。さらに創薬の「DMTAサイクル」(Design:設計、Make:合成、Test:評価、Analysis:分析)を高速化し、リード化合物の最適化を行い、新薬開発の成功確率の向上に貢献する計画だ。6月25、26日に幕張メッセ(千葉市)で開かれた「AWS Summit Japan」でデモンストレーションを行い、実際に実験機器と連携して作業する様子が公開された。

◎生成AI活用 部門横断の創薬R&D業務を「DMTAサイクル」として“面”で捉える

これまでの生成AIの導入は文書生成やチャットボットなどタスクや担当者レベルに焦点を当てた“点”での活用や、社内データや論文を参照して規制文書を生成するなどチームレベルの業務を完結する“線”での活用が中心だった。AWSジャパンが新たなソリューションとして構想を進める「GenPharma Lab」では、メディカル・サイエンティスト、薬理研究者、データサイエンティスト、化学情報学者など複数の部門やプロジェクトにまたがる創薬R&D業務を「DMTAサイクル」として一つの“面”として捉え、AIエージェントを活用することで機器も含めてデジタル化を図る点が特徴だ。

◎AIエージェントが計画立案から機器選定・実行、データ解析まで完結

AIエージェントは自律的に作業を行うことができ、非定型的な複雑なタスクにも対応できる強みがある。与えられた指示内容に基づいて文書や画像、動画などのコンテンツを生成する生成AIと異なり、ユーザーの指示や目的を細分化して理解し、能動的に実行することができる。例えば、製薬企業の研究者が指示したタスクに応じて実験計画を自ら立案し、計画に応じて最適な実験機器を選び、操作して得られたデータを分析する―という一連の工程が可能になるというわけだ。

ここで重要なのが「MCP(Model Context Protocol)」の登場だ。AIモデルと外部アプリと接続するための新たな標準規格で、外部のツールやデータソースとの連携がしやすくなる。これまでは個別に連携させる必要があったが、MCPサーバーを用いることで実験機器の操作やデータソースとの接続などが容易になる仕組みだ。将来的には医療機器メーカーとの API 連携なども視野に入れている。

◎AWS Summit Japan AIエージェントを使った分注ロボット操作をデモ公開

今回の「AWS Summit Japan」では、実際にAIエージェントを使った分注ロボット操作をデモンストレーションとして公開した。「抗体の温度安定性試験を実行して」と簡単な指示を出すだけで、具体的な作業内容を提案して、実際の分注ロボットの操作までを人の手を介すことなく完結した。提案した作業内容を人の目でチェックしたり、修正したりすることもできるという。現状では対応できる実験機器が限られるなどの課題もあり、今後はMCPサーバーを用いて対応する機器を増やしていく取り組みも重要になるという。

AWSジャパンの益子直樹ヘルスケア&ライフサイエンス部長は「創薬R&Dのプロセスに生成AIを導入して再設計していく構想。様々なパートナー企業との協業を通じて、さらに構想を具現化していきたい」と期待を込めた。
 
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