AWSジャパン・堤常務執行役員 医療データの統合活用を支援 個別化医療や創薬・治験の高速化を加速
公開日時 2025/10/08 04:52

アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)の堤浩幸常務執行役員エンタープライズ事業統括本部長は10月7日、医療・製薬分野における戦略的ビジョン説明会で、個別化医療の実現や創薬・治験の高速化には患者個々の“縦”のデータと、研究機関・医療機関などの組織横断的な“横”のデータの統合が求められると強調した。また、統合データの利活用から得た「革新的な患者体験」が疾病予測モデルの開発など、「大きなイノベーションにつながる」と意気込みを語った。この日の説明会で同社は、業界特化型の生成AI、AIエージェントのユースケースを集めた「HealthData x Agent」(ヘルスデータエージェント)を公開した。
◎患者それぞれの“縦”と組織・機関間の“横” 2軸のデータで「革新的な患者体験を実現」
AWSジャパンは、日本のヘルスケア・ライフサイエンス業界における戦略的ビジョンとして、医療データを「縦」と「横」の2つの軸で統合して活用を促進する「Journey for 2030」を掲げた。縦のつながりでは、患者一人ひとりのデータについて分子・細胞レベルから行動データまでのシームレスな統合、横のつながりでは異なる組織・機関間のデータ活用により疾患や患者の横断的な理解を実現していくことを目指す。さらに統合されたデータを活用することで、個別化医療や創薬・治験の高速化、患者主導のデータ活用による疾患予防などの「革新的な患者体験」につなげていくとした。堤常務執行役員は「データがつながることで価値を生み出す。革新的な患者体験の実現に向けて、パートナーと手を取りながら推進していきたい」と述べた。
ビジョンの実現に向けてAWSが提供する価値の一つとして、生成AI、AIエージェントによる意思決定と業務の高度化をあげた。データ探索で実績を上げたAIエージェントの活用事例や、画像やテキストを扱うことができるマルチモーダルな基盤モデル開発について紹介した。
◎生成AIの活用例集めた「ヘルスデータエージェント」公開 50のユースケース紹介
この日の説明会では、生成AIやAIエージェントのデモ動画やツールを集めた「ヘルスデータエージェント」を公開した。ヘルスケア領域では診療記録や医療データ統合、ライフサイエンス領域では創薬研究や臨床開発/製造、コマーシャルなどに分類。「退院サマリー生成アシスタント」や「マルチモーダルデータ解析によるバイオマーカー探索」などそれぞれに具体的なユースケース約50個をデモ動画などで紹介している。オープンソースツールとして公開しているものもあり、すぐに業務フローに組み込んで概念実証や本番検証につなげることができる。医療情報の取り扱いで求められる高度なセキュリティ要件や、各種規制などのコンプライアンスにも対応しているという。