製薬企業主導のメディカルエデュケーション活動 90%超が上市前からKOL・専門医に実施 活動増加を予測
公開日時 2025/09/25 04:52
国内で活動する内資・外資製薬企業22社のメディカルアフェアーズ(MA)部門を対象に「製薬企業主導のメディカルエデュケーション(ME)活動の実態」について調査(エムスリー実施)したところ、90%超が「上市前からME活動を実施している」ことがわかった。ただ、上市前のME活動はKOLや専門医を対象とし、製品にかかわらない情報で実施している。一方、上市後のME活動は一般臨床医や医師以外の医療専門職まで活動対象を拡大する傾向も示唆された。ME活動の課題については、大半の企業がKPI/KGIの設定をあげた。またME活動の展望として、半数超がME活動の重要性や活動量は増加すると回答した。
◎MA部門主導のME活動 承認2年前に意思決定 上市後は一般臨床医や医療者に拡大
調査結果によると、MA部門主導のME活動は、45.5%の企業が「承認予定日の24か月前から意思決定」しており、90.9%の企業が「上市前からME活動を実施」していることが分かった。上市前のME活動はKOLや準KOL・専門医が対象で、一般臨床医を対象とするME活動は35.0%にとどまっていた。一方で、上市後のME活動は、KOLや準KOL・専門医のほか、95.5%が一般臨床医を、63.6%が医師以外の薬剤師や看護師を対象としていることがわかった。
◎ME活動の提供情報 病態や疫学、診断が上位に 上市後はエビエンスや臨床実践も
ME活動における情報提供内容は、「病態や疫学:疾患の病態や疫学に関する確立された知識」(上市前95.0%、上市後68.2%)、「診断:疾患の診断基準や早期発見・鑑別診断に資する最新の検査技術に関する情報提供」(上市前90.0%、上市後77.3%)、「治療戦略:国内外の診療ガイドラインや専門家のコンセンサスに基づく、客観的な標準治療アルゴリズムの解説」(上市前75.0%、上市後86.4%)となっていた。
◎今後のME活動 68.2%が「重要性」高まる、63.6%が「活動量」が増加すると予測
ME活動のKPIについては、「知識・理解度の向上度」(最も重視36.4%、重視77.3%)と「医師の診療方針に対する考えの変化」(最も重視36.%、重視63.6%)となった。また、KGIについては、「医師の疾患理解度の向上」(最も重視31.8%、重視63.6%)を重視していた。また、「医師の行動変容」と「診療方針に関する考えの変化」を選択する企業が大半を占めた。MA部門におけるメディカルエデュケーションの展望については、68.2%の企業が「重要性」が高まると予測。63.6%の企業が「活動量」も増加すると見通した。
調査結果は、エムスリー主催の「MAラウンドテーブル」(8月26日)で公開された。この日のディスカッションでは、ME活動における知識や行動変容に関する長期的な効果検証手法や、RWD(リアルワールドデータ)を活用した客観的な評価の必要性が議論された。また、コンテンツの中立性担保という課題に対し、独立医学教育プログラム(IME:Independent Medical Education)のように製薬企業以外の第三者を活用した中立的なME活動が求められるとの意見が出された。