【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

メディパルHD・今川取締役 調剤販路で販売拡大 調剤薬局業務支援システムに「非常に評価いただいた」

公開日時 2025/11/07 04:51
メディパルホールディングス(HD)の今川国明取締役(メディセオ代表取締役社長)は11月6日の2025年度第2四半期決算説明会で、調剤販路で販売拡大が進んでいる背景に、高機能物流センター(ALC)と連動した調剤薬局の業務支援システムへの高い評価があると説明した。納品箱のバーコードをスキャンするだけで簡単に検品が完了する「個口スキャン検品サービス」や、薬剤の自動発注、在庫管理、薬歴管理などの機能を持つ調剤薬局向け業務サポートシステム「PRESUS」などを挙げ、「(顧客から)非常に理解をいただき、評価をいただいた」と述べた。個口スキャン検品の導入率は9月時点で93%(発注ライン数ベース)に達した。

今川取締役は、「調剤薬局の経営は厳しさを増している」と現状認識を示した上で、「従来から調剤薬局業務の効率化に貢献するため様々な取組みをしてきたが、(25年度上期は)大手調剤から個人経営の薬局まで共通して非常に理解をいただき、評価をいただけた」と述べた。厳しい経営環境にある調剤薬局に対し、具体的な業務効率改善策を提案し、受け入れられた格好だ。

全国13か所に設置しているALCの2万品目以上の品揃えと高い出荷精度を軸に、個口スキャン検品やPRESUSを組み合わせて調剤薬局での作業工数の減少を実現した。例えば、個口スキャン検品では検品時間を90%削減できるという。このほか今川取締役は、調剤薬局での患者との会話をAI音声入力する機能などを持つ「Solamichi」システムの導入が進んでいることも示した。

◎25年度上期の医療用医薬品等卸売事業 売上4.1%増 調整後営業利益7.5%増

メディパルHDの医療用医薬品等卸売事業(メディセオ事業)の25年度上期業績は、売上高は4.1%増の1兆2157億円、売上総利益は1.9%増の755億円、売上総利益率は0.13ポイント減の6.22%、営業利益は18.4%減の96億円、営業利益率は0.22ポイント減の0.80%――だった。

増収に伴い売上総利益率も伸びたが、成長戦略の一つに位置付ける希少疾病用医薬品の開発パイプラインの獲得に伴う「事業投資費等」が前年同期から30億円増え、営業減益となった。この事業投資費等を除外した調整後営業利益は7.5%増の131億円となり、調整後営業利益率は0.03ポイント増の1.08%だった。

メディパルHDは医療用医薬品等卸売事業が増収、調整後営業利益が増益となった要因について、「ALCの効果や成長品目への注力などによる。特に調剤販路における販売が増加した」(依田俊英専務取締役)と説明した。成長品目への注力は、常に20~30品目を設定して取り組んでいるが、詳細は非開示としている。

また、メディパルグループでは新たな流通価値の創造に向け、ALCとAR(社内呼称、MR資格を持つMS)による“物流”と“営業”が一体となった活動を推進しており、25年度上期も「ALCとARの2つの『A』の機能を生かした活動を通じ、メーカーと顧客の両方からの期待に応え信頼を高めた」とした。ARは製薬企業に対しては製品価値最大化に向けた活動を提供。同時に医療機関などには、地域の医療連携のつなぎ役を担ったほか、疾患啓発・患者発掘の活動も展開した。

◎売上総利益率0.13pt減 今川取締役「仕切価や割戻しの変化で最終原価の位置が上がった」

25年度上期の医療用医薬品等卸売事業の売上総利益率は、前年同期から0.13ポイント悪化した。これは医療機関や調剤薬局の厳しい経営環境を背景に、価格交渉の厳しさが増したためとみる向きもある。

この点について今川取締役は、想定していた通りの厳しい価格交渉だったと振り返った上で、「(粘り強い)価格交渉により、売差はほぼ前年並みを確保できた」と説明した。そして、「どちらかというと仕切価や割戻しの変化により最終原価の位置が上がった。これにより売上総利益率がダウンしたというのが実態」と述べた。

◎26年度の価格交渉 「今年度と比べてさらに厳しくなる」

26年度の価格交渉については、「今の医療機関や調剤薬局の経営内容を知れば知るほど、過去にないほどの厳しさになっている。今年度と比べて価格交渉はさらに厳しくなるということを大前提に考えている」と述べた。そして、「経営原資である薬価差を求めてくるのは当然だが、薬価の中で出せる利益額にも限度がある」と指摘した上で、メーカーに対しては「正しい仕入原価の交渉を行う」とし、同時に医療機関や調剤薬局に対しては、医薬品関連業務の効率改善につながる提案を積極的に展開していく意向を示した。

長福恭弘代表取締役副社長(メディセオ代表取締役会長)は26年度以降の価格交渉がより厳しくなると認めつつ、「メディセオは医療機器や試薬も取り扱っている。医薬品の粗利の倍近く稼げるため、これまで以上に提案し、高い利益率の商品を販売していく」と述べた。

◎渡辺社長が業務復帰 決算会見に出席 「多くの励ましの言葉をいただき、心強い限りだった」

決算会見には、リンパ腫治療に専念していた渡辺秀一代表取締役社長も出席した。渡辺社長は10月2日から社長業務に復帰したことを自身の言葉で報告。「多くの励ましの言葉をいただき、心強い限りだった」と感謝を述べた。そして、「医療の一翼を担う流通業として、この国で薬を届ける使命をきちっと果たしていきたい」と復帰後の抱負を語った。
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(1)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー