外資製薬企業の25年医療用医薬品売上高上位各社の決算概況を紹介する第4回目は、13位~15位のアムジェン、ギリアド・サイエンシズ、バイエルと、高い研究開発力で知られる17位のリジェネロンを取り上げる。(全4回連載、
1回目 2回目 3回目)
【13位 アムジェン】
総売上高(医療用医薬品売上高)は前年比10%増の367.51億ドルとなり、13位だった。純利益は89%増の77.11億ドルだった。
最主力品の骨粗鬆症に対する抗RANKL抗体・プロリア(日本商品名:プラリア)の売上は1%増の44.14億ドルと横ばいだった。高コレステロール血症に対する抗PCSK9抗体・レパーサは36%増の30.16億ドル、骨粗鬆症に対する抗スクレロスチン抗体・イベニティは34%増の21.00億ドルと好調だった。
がん領域では、急性リンパ性白血病に対するCD19/CD3二重特異性抗体・ビーリンサイトの売上が28%増の15.59億ドル。24年に登場した小細胞肺がんに対する抗DLL3/CD3二重特異性抗体・イムデトラは5.45倍の6.27億ドル寄与した。
抗TSLP抗体・テゼスパイアは52%増の14.78億ドルと好調を持続。アイリーアのBS であるPavbluは7.00億ドルを売り上げた。
2026年の総売上高は370億ドル~384億ドルと増収を見込んでいる。開発パイプラインには、肥満症等を対象とした抗GIPR抗体/GLP-1受容体作動薬複合体「Maridebart Cafraglutide(MariTide)」が第3相試験段階にある。イーライリリーのゼップバウンドやノボ ノルディスクのウゴービが週1回注射なのに対し、月1回注射で開発している。
【14位 ギリアド】
総売上高(医療用医薬品売上高)は前年比2%増の294.43億ドルとなり、全体で14位だった。うち製品売上高は1%増の289.15億ドル。純利益は17.73倍の85.10億ドル(24年は多額のインプロセスR&D費計上で大幅減益)だった。
抗HIV薬群の売上は6%増の207.52億ドルと総売上高の70%を占めている。中でも同社トップ売上製品・ビクタルビが7%増の143.34億ドルとなり、総売上高の49%を占めた。曝露前予防(米国)の適応も持つデシコビは31%増の27.58億ドルとなった。
25年に米国、欧州で承認を取得したHIV暴露前予防の適応を持つHIVカプシド阻害剤・Yeztugo (レナカパビル)の売上は1.50億ドル。
乳がんに対する抗体薬物複合体(ADC)・トロデルビは6%増の13.97億ドル。B型肝炎治療薬・ベムリディは12%増の10.70億ドル。一方、CAR-T細胞療法・イエスカルタは5%減の14.95億ドルと減少した。新型コロナ治療薬・ベクルリーは49%減の9.11億ドルだった。
2026年の製品売上高は296億ドル~300億ドルと増収を見込む。うち、ベクルリーは6億ドルを見込んでいる。Yeztugoについては約8億ドルの寄与を見込んでいる。
【15位 バイエル】
総売上高は前年比2%減(為替の影響を除くと1%増)の455.75億ユーロ(514.54億ドル)となり、このうち医療用医薬品売上高は2%減(2%増)の178.29億ユーロ(201.29億ドル)で15位だった。純損益は36.20億ユーロ(40.87億ドル)の赤字だった。
最主力品の加齢黄斑変性等の治療薬・アイリーアの売上は6%減の31.10億ユーロ(35.11億ドル)だった。うち2㎎製剤は26%減の22.90億ユーロ(25.85億ドル)、8㎎製剤は3.69倍の8.19億ユーロ(9.25億ドル)となっている。競合品や2㎎製剤に対するバイオ後続品参入の影響を受けるとともに、日本で25年8月に市場拡大再算定の特例(持続可能性特例価格調整)が適用され薬価が19.5%引き下げられたことも響いた。
前立腺がん治療薬・ニュベクオの売上は57%増の23.85億ユーロ(26.93億ドル)。遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)、転移性去勢感受性前立腺がん(mCSPC)に対するドセタキサル併用療法に続き、25年6月に米国、7月に欧州でmCSPCに対するアンドロゲン除去療法(ADT)との併用療法が承認された。
2型糖尿病を合併する慢性腎臓病治療薬・ケレンディアは79%増の8.29億ユーロ(9.36億ドル)と引き続き大幅に伸長した。25年7月に米国、12月に日本で左室駆出率(LVEF)が40%超の慢性心不全に適応が拡大した。抗凝固薬・イグザレルトの売上は欧州や日本などでの後発品参入の影響で33%減の23.44億ユーロ(26.46億ドル)だった。なお、為替レートは25年の年間平均で1ユーロ=1.129ドルだった。
2026年の総売上高は450億ユーロ~ 470億ユーロ(0%~3%増)を予想。医療用医薬品部門は0%~3%増(CERベース)を予想している。引き続きニュベクオやケレンディアの伸長が見込まれ、25年10月に米国、11月に欧州で承認を取得した更年期障害による中等度から重度の血管運動神経症状(VMS)に対するNK1/NK3受容体拮抗薬・Lynkuet(エリンザネタント)が寄与してくる。
【17位 リジェネロン】
総売上高(医療用医薬品売上高)は前年比1%増の143.43億ドルとなり、17位だった。純利益は2%増の45.05億ドルだった。
最主力品の米国における加齢黄斑変性等の治療薬・アイリーアの売上は、競合品のロシュのバビースモの影響や、維持期における投与間隔を延長した高用量のアイリーアHDへの置き換え等を要因に42%減の27.48億ドルと大幅に減少した。一方、アイリーアHDの売上は 36%増の16.37億ドルとなった。2製品合計で27%減の43.85億ドルで着地した。
同社が創製したがん免疫療法薬(抗PD-1抗体)・リブタヨのグローバル売上は19%増の14.53億ドルと好調を持続した。
同社創製のデュピクセントなど抗体薬に係るサノフィとの提携収入は30%増の58.84億ドル、同社創製のアイリーアに係るバイエルとの提携収入は5%減の14.22億ドルとなった。